第2話

女の人が俺らを見るなり、剣を抜き取り俺と柴田の頭上を斬りつけようとしたが、柴田が咄嗟に避けた。


「いきなり、失礼しました。ちょっと、好奇心が湧いてしまいまして。王様より遣わされた国家騎士団のレベッカと申します。今日は、この王都の案内を担当させて頂きます」


レベッカの好奇心が気になってしまった俺だったが、柴田は斬られかけたのに、依然とニコニコして答えた。


「はい。いいですよ」


俺と柴田はメイド長のローリンに事情を説明して、家を出た。


レベッカと街を歩いているとレンガで作られた大きな建物があった。


「ここは、ギルドです。ここでは、モンスターの討伐、捕獲、テイムの依頼をこなす事ができます。是非良かったらやって行きませんか?じゅるる………」


「はい!見てみましょうか」


なるほど、レベッカは俺らの強さが気になっているのか。


ギルドの中に入ると、樽でできた椅子と、木のテーブルが数個置いてあった。また、掲示板もあり、冒険者達が依頼を選んでいる様だった。


「あそこで登録できます」


レベッカが指を指した所をみると、上の方に『ギルド登録』と看板に書かれてあった。俺らが近づくとカウンターのお姉さんが話しかけてきた。


「確か、勇者様達でしたよね?」


「はい、そうですが?」


「やっぱりそうでしたか!今日はギルド登録をしにきたんですね! 」


カウンターのお姉さんが真っ白い握力計を取り出した。


「これを握って下さい。そうすると、レベルが分かります。魔眼より正確に測れる機器です。また、レベルの情報は他人に漏れることは無いのでご安心下さい」


最初に柴田が右手で軽く握った。すると、レベル999と出た。


「流石勇者様ですね!そちらの勇者様もお願いします」


俺がスライムの肉体で測定器を覆った。すると、レベル1と出た。


俺はショボンとした。レベッカは残念そうな顔をした。


何だ?その残念そうな顔は?


「落ち込まないで下さい! みんな最初はそんなものですから! では、とりあえず勇者様なので、ギルドとして優遇措置を取らせて頂きますね」


俺らはギルド登録が終わったので商店街に向かった。


「ここが商業区です。いろんな服や雑貨などが売っていますよ」


と、レベッカが言った瞬間ベルが鳴った。


カンカンカンカン!


すると、買い物をしていた人が突然建物の中に避難し、商人もシャッターを閉めた。すると、アナウンスがかかる。


「冒険者ランクの方は直ちに門の外に集合して下さい!レッドドラゴンが現れました! 繰り返します! 冒険者ランクの方は直ちに門の外に集合して下さい!レッドドラゴンが現れました!」


との放送が入った。


「レッドドラゴンってなんだ?」


俺の問いにレベッカが丁寧に説明しくれた。


「火属性のドラゴンです。冒険者が100人いてやっと倒せる敵なんです。私もAランクなので行かなければなりません。ピノ様とサバ様も付いてきて貰えると心強いです」


あれ?レッドドラゴンって俺がゲームでボコボコにしたやつじゃん


と柴田が心の中で言った。


「俺らも行くぞ。なぁ、柴田」


「はい、行きましょう」


俺らは走って門の外側に向かった。


すると、もう戦闘は始まっていた。今戦闘しているは15人弱だった。負傷している人もいた。


え?レッドドラゴンってこんなに強かった?……いや、冒険者が弱いんだ!


見兼ねた柴田が戦闘に加わろうとした瞬間レッドドラゴンがブレスを吐き始めた。すると辺りは草原だったので、ブレスによって草が燃え始めた。


「このままでは、ドラゴンの元まで行けないですね。あ!水魔法なら消せますよね!」


「魔法には属性の適性がないと使えないんです!」


レベッカの忠告にそんなん御構い無しに柴田は適当な詠唱で魔法を放つ。


「我の元に水の精霊よ!くるがいい!ウォーター!」


少し厨二臭いセリフを言い終わった瞬間、辺り一面に津波が起きた。俺らと戦闘してた冒険者、そして、ドラゴン共々水に飲み込まれた。辺り悲鳴の合戦が始まった。


しばらくすると、津波は収まった。


「な、なんであんな適当な詠唱でこんな水がたくさん出るんですか!死ぬかと思いましたよ!」


「勇者ですから」


柴田はその一言をレベッカに言って、弱っているドラゴンの側に行った。すると、ドラゴンが低い声で話しかけてきた。


「我を…どうか…殺さないでくれ…」


そう、命乞いだった。そして、柴田もおかしなことを言い始めた。


「俺らの仲間にならないか?」


「おい!柴田!ドラゴンだぞ?流石に仲間にはならないだろう!」


俺が抗議するが、柴田は仲間にする気満々だった。すると、ドラゴンが即座に言った。


「いいのですか?…我を仲間にしてくれるのですか?」


「勿論いいが、条件がある。ドラゴンは人間の姿になれると昔聞いたんだが、なれるか?」


「はい!勿論なれます!ですから、どうか殺さないで下さい!」


すると、レッドドラゴンはすぐさま人間の姿になった。金髪の髪の毛で、赤色の目のした17歳ぐらいの女の子だった。


レベッカが怒りながらこっちに来た。俺らはレベッカが怒っている理由が分からない。


「勇者様がドラゴンを仲間にするとは聞いてないですよ!しかもドラゴンを一撃で無力化した挙句、命乞いをさせるとはどんだけ強いんですか!」


「勇者だから」


今度は俺が言った。俺は何もしていないけど。


そしてこの言葉は、後にお決まりの台詞になって言った。



俺らとレベッカとドラゴンは俺らの家に行った。そして、食堂に入れた。


「そういえば、名前はなんて言うの?俺はピノ、そっちの少女がサバ、そして、そちらの方がレベッカです」


スライムの俺が問うと、もの珍しそうにドラゴンが言った。そして、近くまで来て俺を観察し始めた。


俺はスライムの本能か分からないけれど、ビクッとしてしまった。


「私の名はミナです!なんで、スライムが喋れるんですか?」


「勇者だから」


俺が言った。もはや、定番のこの言葉!


ミナが柴田の頭に乗っている俺を手のひらにすくった。


「このスライムも勇者なんですか!興味が湧きますね!」


すると、メイドが「夕食の準備ができました」と言って、料理を人数分持って来てくれた。俺はスライムのままだと食べられないので、人型になる。


「今日は、ハムの和風あえ、ビーフシチューです」


スプーンで、ビーフシチューを一口食べるとほっぺが落ちそうなくらい美味しかった。


「おいしぃですね!あ!ピノ様!お口に付いてますよ!」


ミナがナプキンで俺の口元を拭き取ってくれた。


その後夕食を食べ終わり、レベッカは王様に報告があると、お城に帰った。一方、俺らは3人で浴室にいた。


「ピ・ノ・様!! ピノ様の肌はすべすべしてて弾力のあるので最高ですぅ! あぁ、可愛い!」


ミナが俺に抱きつきながら、俺の肌の解説をしてきやがった。そして、説明を付け加えてきた。


「ピノ様の体は未成熟にして今尚成長し続けている!ピノ様の髪から流れ落ちた水滴はうなじのラインに沿ってお腹に到達し、下半身へと誘われる。今でもこのエロい体つ…ゴフッ!」


俺が桶で頭を叩いてやった。柴田はニヤニヤ笑っていた。ここには変態しかいないのか!


「うるさい!この変態ドラゴン!」


「申し訳ありません!ピ・ノ・様!!」


再度、俺に抱きついてきた。やはり、変態ロリコンドラゴンだった。


翌朝、目覚めるとミナがスライムに戻っている俺を自分の頭に乗せてきた。俺はすぐさま逃げようとするが、ミナが手で上から押されて逃げられなかった。


ミナと柴田が朝食を食べていると、レベッカが入ってきた。

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