21話:もう一人の暗殺者
―――――
ヨランタに
とは云っても、ンドランガリアの大物
スカリーチェの死と共に姿を消しては、余計な
それに、確認、しておかねば。
大物の死は、
実際、それを目にするには一週間では足らなかった。
――ンドランガリア中核団体“
見出しの記事に目を通し、
死因――
「呼吸不全、だとォ!?」
思わず、声に出していた。
そんな馬鹿な。
奴の心臓を
にも関わらず、呼吸不全だと?
どう
考えられるのは一つ。
俺の暗殺は失敗していた。そして、俺のケツを別の誰かが
死因からして、そうと分かる。
では、
――ああ、そうか。
俺は今、満足しているんだ。
生活に、生き
そう、俺はメイサと共に
満足しているが
ふふ――
まぁ、いいさ。それでも。
俺はこいつが立派に育ってくれさえすれば、それでいい。
兄貴、というよりは、親父、みたいなだな。
しみったれちまったが、一人くらい、こんな
さて――
早々に
それなりの期間、このヨランタに滞在していたので荷物も増えた。
メイサに
俺の荷は多くない。
武具の
程なくして自分の
メイサの使っている部屋は、
俺が彼女にプレゼントしたもの、それが大部分を
そんな中、ふと気になったのが
――魔力?
違う。
冷気。
一体、これは?――
思わず、
――シュコオォォ。
きりきりと
すらり、と
なんだ、これは!?――
そう
儀礼用の
いや――これは……
この、背筋に冷たいものが走る感覚、これは、
俺が与えた護身用の、それとはまるで違う、なにか。
――はっ!!?
まさか、な――
だが、これ程の“
メイサに、そんな殺し方、教えてなどいない。
メイサは、氏族の
だが――…
「グイン――…」
「ッ!?ああッ、メイサ。戻っていたのか…」
俺に
全く、
師である俺を、
「ナニをしていたの?――…」
「…ああ、お前の荷物がどれくらいあるのか、ちょっと見ていた」
俺の握る
「――…それ」
「……あぁ、コレ。お前の持ち物、か。
「――…うん」
「……取り扱いには注意するんだぞ。炭酸ガスは、思っている以上に、
「――…グイン」
「……なんだ?」
「スカリーチェは…――あたしが
息を呑み、吐き出す
「……そう、か」、と。
一瞬、表情が
気付かれたかも、な。
いや、それでもいい。
いいんだ。
――そうか。
氏族は、
氏族の一員と認める為の通過儀式。
そんなところ。
そして、彼女は――
見事に、それを
もう、メイサは、闇の影氏族の立派な一員、だったのだ。
彼女を、その少女を、まだ保護すべき対象と見なし、甘やかそうとしていたのは、正に俺の
俺の方こそ、甘ったれていたんだ。
氏族は、氏族の判断は、俺よりも遙かに切れている。
彼女は、その少女、メイサはいつの間にか、一人前の
――そうか。
そろそろ。
そろそろ、覚悟しなけりゃならんな。
ああ――
――彼女との、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます