15話:物乞う少女
―――――
――その少女と出会ったのは、
ぼろぼろの服にぼさぼさの髪。
しかし、その
すぐに分かった。その少女は、
そうでなければ、
弱々しくも
なんて事だ――
そこは治安が悪過ぎる。
なんと云う事もない。すぐに
――が、
奪われた小銭から、その
実に、
腐ってやがる。
なんてこった――
笑顔。少女は笑顔を浮かべている。
満面の笑み。心の底から、嬉しい、を表現するに足る本能の、本当の笑み。
俺が
――
今のこの環境は、その少女を“ダメ”にする。
正確には、犯罪者達に最後の更生の機会を与える
彼らの神は最後の更生機会を与えると共に、必要悪を説く。
大罪人であっても更生のチャンスがある事を説くには、悪の存在そのものを無いものにはできない。
戒律を維持する為に必要な矛盾とも云うべき、
俺には、全く理解できない。
俺に云わせりゃ、狂気の
だが
これこそが、怖ろしい。
奴らの説く“必要悪”が、こんなところに出てしまう。
正義感、なんてもんは持ち合わせていない。
別に、俺は“正義の人”じゃない。
正義に生きている訳じゃないが、それが
俺がガラにもない、正義感みたいなもんを出しちまったのも、
始めに、なんて声を掛けたか、もう、覚えていない。
後で聞いたら、あの時は怖かった、ってんだから、俺もどうかしていたんだな。
少女を連れた
貧民街を抜け出した時点で俺は決心。
あまり目立ちたくはないんだが、
少女を背に置き、追い
「おい、あんちゃん!
「――人攫いじゃない。こいつは、俺の“いもうと”だ。返してもらう!」
「はぁ~~~?ぬかしおる!口で
チンピラは
恐らくは、
魔力を持ったその
凡そ、“戦い”を知らぬ者であれば、その
だが――
――
刺青の作り上げた蠍は真っ二つ。
遅れて、チンピラの左腕に
だが、
“ヤル”のは
だが、街中での殺人はまずい。
たとえ相手が悪漢とはいえ、法が行き届いた街中では、
ここはひとつ――
逃げる、としよう。
「少女よ、逃げるぞ!あいつらは悪党だ。一緒に
「――…うん」
「ところで少女よ、名は?」
「――…メイサ」
「メイサ、だな?よし。君は今から俺の“いもうと”だ。さぁ、行くぞ」
「――……うん」
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