9話:吹けよ風、呼べよ嵐
―――――
収縮する空間、収束する大地、
辺りを包むその異国風の
『
恐るべき
「馬鹿げてる……こんな広範囲に及ぶ術式なんて…」
――なんて事…
奴の力は、
何もない荒野の、これだけの広範囲に、自らの意思で自身を優位となす空間を作り出す能力、それが彼の
まるで、
遺跡の
この
遺跡をなす物体による攻撃は
肌が
意識が
躱し切れない奴の創造物が、体内に侵入してくる。
感染、いや、汚染、か。
彼が創り出したもののは、一体、どこまでなのだろう。
建物や彫像は勿論、岩や砂、虫や植物、風や湿気、空気
周囲、その全て、私を取り囲む環境、その全てを、彼は創り出しているのだろうか?
――いや、違う。
見えて、いた。
星々の瞳は、彼の姿を
そう、全てではない。
少なくとも、
祝福の風よ、星々の
「終わりだ、小娘!
無数の
鼻に、口に、目に、汗腺に、穴という穴を、呪われた
意識が――
理性が、思考が、信条が、その意思が。
――
<僕の分まで生きてくれ!>
苦しみの果てに、
ファボロの、そう、ファボロお兄ちゃんの言葉。
――そうだ。
私の命は、私だけのもの、ではないんだ。
「――負けられない……私は――負けないッ!」
敵に、
自分、自分の体に、自分の活力に、その電撃を流す。
意識を、体を、細胞レベルで
アンジュを
地上の、あらゆる動物よりも素早い動きでファラオに駆け寄り、槍を
「なっ、なにィ!?」
「これで終わりよッ!」
ファラオは
その軌道を追い、左下を瞳で
ガハァッ!――
「ぬ……ぬ、う――」
――ズブゥ、ブッ!
神槍は、ファラオの胸中央、左寄りを
確かな
穂先から伝わる脈動が、一瞬激しくなるのを感じる。
「
せめて、
通った鼻筋に目一杯の
「――…ま、まだ、だ……
傷を覆う
大規模な
治癒の術式、我々の知っている全ての儀式や魔術、手法とは異なる治療法、その
これ程、
――させるかっ!
両手を
<
一瞬の静寂――
――ドヒュン!
爆発的な暴風域は、収束しつつあった
「ぬ……な、なんっ――だと…」
作られた遺跡は消え失せ、夜空の下に広がるは
血の気の失せたファラオを見据え、確信。
――頭部。
奴の頭を砕き貫く。
驚異の生命力の
「次だッ!次で、本当に決めるッ!!」
神槍の最後の一撃が放たれる――
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