6話:愛戦士
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カナーシュとの決戦を
カナーシュとの
始め、
彼女は、独身。
風の民は自由を愛する者達、故に比較的性に関して開放的であり、
族長の娘であり、今や女傑として知られる
その彼女が、
しかも、子の父を問われた時、彼女は答えを
これは
父である族長ゲランドムスは当初、怒りに
子の父を決して明かさぬジョシュカは、グ・ヒュー部族の賢人組織『
族長の娘ということで奴隷に落とされることはなかったが、七年寄達は子の父が何者かを明かさなければ、強制
ジョシュカへの最後通告がなされた日の夜、彼女は自ら舌を切り落とした。
やがて、彼女は娘を産み落とした。
娘には、アンジュ、という
時を
異教徒との間に生まれた子を新設した
決して評判の良いものではなかったが、戦争孤児や
ジョシュカは、ヴァン・ヒュー族の故郷『風の谷』で過ごしていた。
氏族から
奴隷ではないものの、その生活は奴隷のそれよりも
満足な食事はできず、父ゲランドムスからの届け物も浅ましい隣人達に奪われる
ジョシュカもまた、自身の呪われた運命
ジョシュカのかつての名声を聞き付けた天才司祭ダンファラスがここに訪れたのは、アンジュの首が据わった頃の事であった。
アンジュの眉に星々の祝福を見たダンファラスは一目見ただけで、アンジュの父が天宮神殿の、しかもかなり高位の信徒である事を見抜き、ジョシュカに問い
舌を失ったジョシュカは話せない、そもそも話すつもりもない。
だからこそ
口には出さずとも驚嘆したジョシュカに、ダンファラスは他言しない旨、その場でエイラーンに誓ってみせた。
ダンファラスは自身の問いに対して、イエスかノーで答えるように伝え、ジョシュカを刺激しないよう、注意深く、穏やかに、且つ、細かく慎重に
全てを悟った時、ダンファラスはジョシュカを真の女傑と見抜き、彼女の復権を提言する旨を約束した。
ダンファラスは一瞬
この時、ダンファラス
―――――
例外は一切ない。
親や近親者、親類との遣り取りは、手紙のみ。
その手紙も月に一度のみ。
寺院といえば聞こえはいいが、
何せ、異教徒、特に敵対する異教徒との間に生まれた
アンジュの下には、必ずダンファラス本人が外部からの手紙を届けていた。
手紙の差出人はゲランドムス、ヴァン・ヒュー族族長の名。
だが、その手紙に
内容は、山より高く、海より深い“愛”に満ち
成長してゆく
アンジュ自身が手紙の意味を理解できる迄かなりの時を要したが、元より大切な宝物として、アンジュは手紙を大事に保管していた。
アンジュも自ら筆を取り、祖父であるゲランドムス宛に手紙を書いた。
その日、手紙を届けにきたダンファラス
10歳になっていたアンジュは、いつもと様子の違うダンファラス翁に気付きはしたものの、
併し、渡された手紙を見た瞬間、表情が曇った。
そこに
差出人はいつも通り、祖父ゲランドムス。だが、そこに書かれた文字は、荒々しく雄々しい文字、そして、現実。
ゲランドムス当人からの手紙の内容で、アンジュは母の死を知った。
決して
立場上、ゲランドムスは娘を救ってやれなかった、とアンジュに
手紙から祖父の悲しみや自身への怒りも伝わってくる。
云いようのない感情が高まり、手紙を読み終える前にアンジュは泣いた。三日三晩。
目の周りを赤く
私の、私の父の名が、そこには書いてある。
<“
母さんは、祖父には話していたのだ。
私の父が誰かを、その正体を。
そして、祖父はそれを知って、口を閉ざした。
祖父の手紙には、母さんが話した父との事が
父との出会いは、ザンジムの丘での戦い。
何度も
いざ、決戦となる前、名誉ある選択を母さんは
ザンジムにあった遊牧民は皆、
それは食にだけではない。
性、にもだ。
一人で丘に訪れた母さんを、
それを止めに入り、仲間であり部下である遊牧民を
オルガは母さんにこう
「餓えているとは云え、
不釣り合いなのは
オルガは、母さんに自らの命で謝罪をする、その
母さんは、オルガに命を奪うつもりがない旨を伝え、その
オルガはこれを
母さんはオルガを、オルガは母さんを信じ、愛に落ちた。
たった、六日間。
母さんと父さんは、
母さんは、その生涯の全てを、父さんを愛する事を誓い、私を
人々は口々に、私を
呪われた子、
父親も分からぬ
でも、
私は、母さんにも、父さんにも愛され生まれた子。
祝福された子!
母さんは手紙にいつもこう書いていた。
「生まれたばかりの時から、あなたの眉に
アンジュ、わたしのことは
私の名は、アンジュ。
アンジュ、という名の意味は、遊牧民の言葉で“
父がいずれ生まれるであろう自分の子の為に
私は、アンジュ!
“
慈愛の女戦士、愛を
――愛こそ全て!
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