3話:予言の子ら
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グリムガル族の老王ガランドラスは、若き天才司祭ダンファラスの
風の大神から待ちに待った予言が
予言は
「長年待ち続けてきた予言が
「予言は3つ。1つは朗報、もう1つは悲報、そして、残る1つは吉報に
「ほほう。話してみよ」
「まずは朗報から。
我ら風の民に英雄が誕生します。その者は天空信仰者との間で
その
「…天空信仰者、だと?呪い生まれるとは、
純粋な風の民からではなく、そのような呪われた子が英雄とは…
――それが朗報とは、
で、悲報とは?」
「はい、お怒りにならずに冷静にお聞き下さい。
我ら風の民は、月の民に敗れます。我らの国も部族も信仰も多くが失われ、残った者達は月の民に
「――英雄が誕生し、
実に不愉快極まりない話だな。そのような
して、最後の吉報とは?」
「はい――
英傑の意思を継いだ者が大いに活躍し、新たな風を吹かせ、月の民を討ち破るでしょう。悪い風は止み、新たな風の部族が生まれ繁栄する、と」
「我らではない風の民の勝利が果たして我らの勝利と云えるのかどうか、正直不明だが、あの
でだ、まずは英傑たる稚児の確保からだ。
すぐに探し出すのだ」
「はっ!」
―――――
「今日、
鮮やかな青髪の少女はあどけない表情を浮かべ、
「えっ!?どういうことなの、ファボロ?」
「僕らはここに来て、今年で
「うん、そうだね」
「12年経った子供達は、この
「そうなんだ!?」
「僕が14歳、君は12歳。いよいよ、真の戦士になれるんだ」
「とうとう私達も部族の為に戦えるんだね!」
「そうとも!今迄、
双子の
「うん!」
少年と少女は手を
二人の瞳には、大きな
―――運命の最終試練
14人の少年少女達を前に、老司教は
「よくぞ、ここ迄
「ダンファラス様と寺院の皆様のおかげです、今迄本当にありがとうございました」
「
「はいっ!」
「双子の
「
「それでは最終試練“
――!!!?
居並ぶ子供達は、何を云われ、何をすべきかを理解できない様子。
「司教様…ど、どういうことですか??」
「
今ここに居る者は14名。
「そ…そんな……」
「司教様ッ!そんなこと、できる
「戦わぬ者は二人共、
試練を越える
泣く者、
少年少女達の想いは複雑を通り越して、
やがて、
「――くっ、くそぅ……ごめんよ、いくぞ!」
始まってしまった、
強い意志に満ちた力強い
少年は、決意、した。
「かかってこいよ!」
「な…なにを云ってるの、ファボロ!?あなたを相手に……本気で戦える
「ぼ、僕はラッキーだったよ――君と双子の契りを交わしていて。
君は今いる仲間達の中で最年少…そ、その君にっ、僕が負ける訳がないからねっ!」
「!?――ファ、ファボロ…」
「俺の“
ファボロは素早く剣を突き入れる。
目にも止まらぬ無数の突きは、まるで巨大な
これ
それ程、彼の戦士としての実力は一級品。
――
ダンファラスは、ファボロの剣術を横目でちらり、
自ら定めた
直後、体中に電流が走る程の衝撃に
フォボロの眼前にいた筈の少女の姿は今そこになく、
少女の
目にも止まらぬ少女の電光石火の突きが少年の胸を
勝負は一瞬、既に決していた。
眉と瞳に光りの玉を
「――ファボロ…」
がくりと膝を地につき、
「ぼ、僕は本当にラッキー…だったよ――…き……君の手にかかって死ねるなんて…――」
「もう、
「――君は一番
か、必ず、君は、偉大な戦士になれる…え、英雄にだって…」
「ファボロ…」
「――ぼ、僕の分まで、い、生きておくれ…よ……ア…アンジュ……君に出会えて、、、幸せ、だった…ありが、と…ぅ―――――」
「――ファボロォーーッ!!フォボロお兄ィちゃぁぁぁーーーんん!!!」
……――
「アンジュよ、
――聞こえておらぬか…
予言の子らよ、いや、予言の
苦しかろう。
悲しかろう。
悔しかろう。
だが、其方の歩むその先には、
その運命を呪うことなかれ。
祝福こそをその身に、生きるのだ、生き延びるのだ、我ら希望の娘よ。
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