2話:風の民の物語
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風の部族達は危機に
急速に勢力を伸ばしてきた北方の帝国に次々と土地を奪われ、生活圏は縮小した。
定住の農耕民族である風の部族達は
小さな土地であっても満足に暮らすだけの知識と習慣を持ち合わせ、自由な
穏やかではあったが
そんな風の部族に
その氏族は、自分達を“月の風の民”と呼んだ。
風の部族のあらゆる氏族も賢者も長老達も、“月の風”なる風を知らず、しかし、部族の新たな一員として、その氏族を受け入れ、
彼らは見知らぬ言語や文化、風習、宗教を持って生活していたが、文明的で教養があり、風の部族の一員として我々の言語や文化を熱心に学び、良き隣人として生き、痩せた土地を豊かにした。
彼らへの信頼が高まり、風の神殿に彼らの神を招き入れた
我らの
時に武力で、時に
だが、風の部族は始め、これを重大な裏切りとは見なさなかった。
彼らが遊牧民を
遊牧民達のように虐殺や強姦を行う事はせず、法を
強制的な改宗を
そう、彼らは我々の
我々がおかしいと不安を感じ、彼らを裏切り者と見なす切っ掛けはそれから
我々部族の持つ最も裕福な国、中原に位置するガルマ・タギ王国の王位継承問題。
ガルマ・タギの王は2席あり、物質的な王位として風の民の男が、精神的な王位として大地の民の女がそれぞれ継承していた。
王と女王により円満に統治され、それは風の神殿と大地の神殿における神話をそのまま
風の民は元々、大地の民と強力な同盟関係にあり、その関係性は互いが互いを必要とし、切っても切れない
風の神殿と大地の神殿は互いに神々を
我々が定住民として生きて行けるのは、農耕に適した大地神殿の恩恵が強く、天候に影響力を持つ我々の力があって
神話において、風の主神と大地の主神は夫婦であり、これがその根拠になっている。
そんな中、大地神殿の女王が
月の石は、大地の民の
大地の民は、風の民とは違い、極めて保守的だった。
伝統と伝承を
そこで王は、月の石の巫女と大地神殿で最も位の高い司教との霊力による問答を提案した。
この問答の結果、大地神殿の代表司教は気が触れてしまい、月の石の神は大地神殿における正式な神となり、その巫女が女王の座に就いた。
この結果にガルマ・タギ以南の大地神殿から抗議が起こり、国だけに
大地の民から要請を受けた風の民は、この事件を機に本格的に過去の状況を検証する事にした。
近代の歴史を検証をして行く事で、
そもそも、
月の民は、自身の王を、王の中の王“皇帝”と呼び、全ての王や首長、族長らの上に立つ不可侵の存在と見なしていた。
月の民の神殿において、あらゆる神々の上に月の神が立ち、至高神として他の神々を
明らかな
と云うのも、自由を愛する風の民において、
月の民を認める者達と月の民達を認めない者達とに。
風の民の持つ最も大きな国、中原南に位置するオルクレス王国は3つに割れる。
月の民に親しみを感じる北のカナーシュ、月の民を敵と見なす南東のガナランド、我関せずでどちらにもつかない南西のフーバドーン。
オルクレス1つで見れば、各々の勢力は
そして、とうとうガナランドの部族連合の王は倒され、新たな王はカナーシュへの
併し、恭順した王はカナーシュの副王になる約束を取り付けている事が発覚し、これにガナランドで最も勢力を誇る部族グリムガル族らが反抗し、ガナランドは二分される。
月の民に刃向かう純粋な風の部族は
これが後に、偽りの風と悪い風の伝承として知られるのだった。
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