ユートピア

勝利だギューちゃん

第1話

浜辺で、イーゼルを立ててキャンバスを乗せる。

ここからは、僕だけの時間・・・


誰にも邪魔はさせない・・・

僕だけの時間・・・


時間が経つと人であふれる・・・

なので、その前に仕上げる・・・


朝の早い、この時間・・・

肌寒くはあるが、それが心地いい・・・


白いキャンバスの中央に、青い線を横に引く・・・


ここからがスタートだ・・・

見るものをそのまま描かない・・・

心に浮かんだもの・・・


それを形そして、キャンバスに記す・・・

何でも自由だ・・・


空と海・・・


同じようで違う世界・・・

違うようで、似た世界・・・


それを融合させる・・・


しかし、その時間は長くない・・・


僕は人が嫌いだ・・・

人も僕が嫌いだ・・・


なので、少しでも人が来れば。この場を去る・・・


また明日のお楽しみだ・・・


ある朝、いつものように、自分の時間を楽しんでいた・・・


すると、空から天使が降りてきた・・・

夢でも幻覚でもない・・・

正真正銘の。天使が降りてきた・・・


その天使は、女の子の天使・・・

白いワンピースに、白い翼が背中から生えていて、

頭には輪っか・・・


絵に描いたような、天使だった・・・


その天使は僕に言った・・・

「私たちの世界へ、あなたを招きます」

僕は訪ねた・・・

「どうしてですか?」

天使は答える・・・

「ここは、あなたのいるべき場所ではない」と・・・


僕はふたつ返事で、承諾した。

確かに僕は、普通とは違う・・・


この世界にいても、うとまれるだけだろう・・・

逃げたいとは思っていた・・・


そして、その天使に手を握られて誘導された・・・

辿り着いた場所は、僕の理想郷・・・

まさしくユートピアだった・・・


今は、幸せに暮らしている・・・


地上では、僕の遺体が発見されて、少しの間だけ騒いでいたようだが、

僕はもう、どうでもいい・・・


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ユートピア 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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