act.42 原子炉区画へと向かう
エレベーターに乗ったのはララとDr.クルックス、フィーレ姫とグスタフと旭、シュナイゼルとゾン子。ソフィアは人形に姿になりララの肩に座っている。黒猫とミハル、ヒナ子は研究所外で待機している。
ゾン子は相変わらず目がハートマークになっている。そして今ではシュナイゼルにまとわりつき、服のすそを引っ張ったり手を握って頬ずりをしたり、好き勝手に振舞っている。
「ララ姫。この少女は……」
「ゾン子だ。ちょっと我が儘だが大事な戦力だ。機嫌を取ってやってくれ」
「はあ、分かりました」
「シュナイゼル様。お似合いですわ」
「フィーレ姫。そのような言われようは……」
「でへへ♡(♡∀♡)。✧♡」
「ほら。お似合いですよ」
「フィーレ姫……」
「♡(・´з`・)♡」
ゾン子にまとわりつかれて困惑するシュナイゼルであったが、シュナイゼルを助けようとする者は誰もいなかった。
エレベーターは終点へと降りて扉が開く。ホールの先には自動ドアがあり、そこからは一本の長い廊下が続いていた。
「セキュリティは?」
「私の研究所がセキュリティですよ。ララ姫」
「なるほど」
何事もなく開いた扉に首をかしげていたララであったが、先頭を進むクルックスの後に続いていく。原子炉があり稼働しているからだろうか、廊下の照明は煌々と輝き眩しいくらいの光量があった。さらに進むとそこにはまた自動扉があり、その向こうにはこじんまりとした駐車スペースがあった。そこに駐車してある電動カートに乗る。全員が乗るとそのカートはゆっくりと動き出した。
「あと五分程度で到着します」
「ありがとうございます。その、原子炉区画の中には戦闘員はいますか?」
「いないはずだよ。武器の持ち込みも禁止だ。基本的にはアンドロイドだけしかいない。万一の事故の際、多少の放射線は無視して作業できるからね」
「その中に人間に肉体を保存してある場所はわかりますか?」
「そうだね。話を聞いて信じられない気持ちで一杯なんだけれども、仮にその精神移植をしたとして、その元の肉体を隠しておく場所としてはあの区画が最適なのは間違いない」
「そうなんですか。ではその具体的な場所はご存じないのでしょうか」
「もちろん知るはずがない。おそらく居住区のどこかとは思うが探してみないことにはな」
そこへシュナイゼルが口を挟む。
「居住区内の医療施設です。そこであることは調べております」
「おお、医療施設か。そこなら話が早い。こちら側から行く場合はその医療施設に出る」
そう言って何かの図面を投影するクルックスだった。眼前の空間に原子炉区画の図面が現れ、赤いマーキングで目的地を示す。
「ほほー。この通路は医療施設からの避難用なのか」
「そういう事だ。医療施設は大した広さではない。何せ人が少ないからな」
程なく通路は終わりとなり大型の自動扉が行く手を阻んでいた。その扉はクルックスの生体認証であっさりと開いた。
「ふむ。サイボーグ化しても生体認証が通るとはどんな認証なのだろうな」
「ところでクルックス博士。その姿はLG2-R1ロボットなのだろう? ミラクル・ヤンの言っていた
「うむ。奴め余計なことを言いおって。まあ。世に
「バトーとかトグサではなく少佐だったと。Dr.クルックスは見た目少佐になりたかったと……」
「それ、何の話ですか?」
「僕も知りたい」
フィーレ姫とグスタフが質問してくるのだが、ララは顔を引きつらせていてヘラヘラ笑っていた。
「そんなシュールな世界観について子供は知る必要がない」
「ララさんだってそう変わらないじゃないですか?」
「そうですよ。子供だからって隠し事されるのって、僕は嫌い」
「無駄話は止めじゃ。皆行くぞ」
カートから降りたクルックスが原子炉区画へと入っていく。ララ達一行もカートを降りクルックスに続いていった。
中に人はいないと聞いていたのだが、なぜか女性が一人立っていた。白衣をまとい銀縁眼鏡をかけているその女性をララは知っていた。
「ようこそララさん。待っておりましたよ」
「ミサキ姉さま。どうしてここに……」
そこにいたのはララの姉、アルマ帝国第三皇女であり高名な法術科学士でもあるミサキ・アルマ・ホルストだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます