act.21 vsグスタフ&アズラ
重装備を外し格闘戦仕様としたアカンサス・クロウが草原に立っていた。カラーリングはライムグリーンと黒のツートンカラーに変更されている。ララの希望により突貫で塗り替えられた。Ninjaカラーだからという理由だった。そのグリーンに塗られた左肩にちょこんと座っているのはララだった。
その正面に立つのはアズラ。グスタフ・シュネー・アイゼンヘルツが搭乗している10m級のロボットである。恐らく魔力駆動型で先に戦ったオラケルと同系だと推測される。濃い赤色の機体。そして腕が六本ある。
「どこかの仏像みたいな奴だな」
「そうですね。日本の国宝に指定されている阿修羅像が有名かと。三面六臂の造形ですが、目の前にいるのは顔が一つです」
「何を考えて作っているんだかな。アレは一旦魔界に落とされた戦神が再び天上の守護者として復活したというストーリーだったか?」
「恐らくそうかと。他国の宗教ですので詳細はわかりかねます」
これはララとミハル中尉の会話である。今、ミハル中尉はアカンサス・クロウに搭乗している。
「グスタフよ。先ほどは私に治療を施してくれて感謝する」
「いえ。どういたしまして」
「まず、戦闘の条件について話し合いたい」
「はい」
「私のベルはこれだ」
ララは首から下げているペンダントを見せる。
「貴様のベルの場所はどこか」
「今はこのアズラの頭部に仕込まれています。後頭部の奥、脳幹の部分になります。しかし、僕がこの機体から降りた場合は左腕のブレスレットへ移動します」
「分かった。双方そのベルの破壊をもって戦闘終了とする。ベル破壊後の戦闘は認めない」
「はい」
「もう一つ。見ての通り私はほぼ素手で戦う。光剣や手榴弾を使う事もあるがロボットは使わない」
「知っています」
「そこで貴様に選ばせてやる。アズラを降りて私と戦うのか、それとも、そのアズラでこのアカンサスと戦うのかだ」
「それは、このぼくを軽んじているのですか。直接手を出す必要が無いと」
「そうではない。貴様の自尊心を尊重しているのだよ。そのアズラで私を捻り潰しても何の自慢にもなるまい。対等な条件での勝負こそ男としての矜持が満たされるのではないかな」
「それはそうですが」
「私を叩き潰したいのならアズラを降りて私と戦え。どちらでも受ける。貴様が選べ。そして一つ約束しよう。このアカンサスが敗れた場合は私のベルを貴様に渡す。行動不能にすれば貴様の勝ちだ」
暫く黙っていたグスタフであるが、おもむろに言葉を放つ。
「分かりました。そのロボット、アカンサスと戦います。ぼくが勝てばベルを渡してくれる約束、違えないようお願いします」
「もちろんだ。私は後方に下がるぞ」
アズラが頷く。
ララはアカンサス・クロウの肩から飛び降り後方に消えた。
「私の出番ですね。私はアルマ帝国軍中央司令部所属、ミハル・ジュドー中尉である」
「ぼくはベルグリーズ魔術師協会会長リラ・シュヴァルベ様の一番弟子グスタフ・シュネー・アイゼンヘルツだ」
「いざ。勝負!」
アカンサス・クロウは実剣を抜刀した。
アズラはその六本の手に小型の打突武器
その
アズラは瞬間的に間合いを詰めその炎をまとった
「へえー。魔術障壁ね。どこまで耐えられるのかな?」
「思ったより動きは速い。どう距離を詰める?」
アズラとアカンサス・クロウが対峙している。
その後方でララは旭達と合流した。
「ララさん。任せちゃって大丈夫なんですか?」
「ぴよよ!」
「大丈夫だろ。デカブツ相手ならミハルの方が強い」
「本当ですか? そんな助っ人戦わせて……」
「ぴよ?」
旭とヒナ子が不安そうにララを見つめる。
「ミハルがやらせろってうるさかったからな。まあ、なるようになるだろ。戦いの推移を見守ろうじゃないか」
「そうですね」
「ぴよ」
今度はガトリング砲を撃ち込みながらアカンサスが距離を詰める。超振動をまとった実剣がアズラを打つのだが魔術障壁に阻まれ眩い光球が弾けた。
再び両者は接触する。
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