act.16 王城へ向かう
ララ達一行は早めの昼食を済ませ、現在位置から北西方向へと向かう。
勿論行先は旧王都である。
この国の中心に位置する王都。そこは巨大な城塞都市でもある。中心部にそびえる巨大な城、王城。その周囲は高い城壁に囲まれている。その外側には城下町が広がっているのだが、そこも城壁に囲まれている。その城壁の周囲には有象無象の小屋が立ち並び、難民キャンプと化しているようだった。
王都の中心にそびえる王城。そこに帝国より奪われた鋼鉄人形が配備され、拉致された人員が拘束されているという情報がある。
ララと旭は双眼鏡でその王都を眺めている。
「さっきまでいたイクリプス城とは規模が100倍くらい違うな」
「ええそうですね。王城に入るには城門を数か所突破する必要がありますが、それよりも問題なのが周囲の難民キャンプですね。進入ルートが見えない」
「ふむ。難民か。とすると、戦争始めたら逃げるんじゃないかな?」
「それはそうでしょうが、どう始めるんですか? 始めたはいいが犠牲者が続出するようなやり方は承服できませんよ」
「そうだな。周囲の城下町と難民キャンプには人が大勢住んでいる。中の王城には誰もいない」
「建前ではそうです」
「ケイオス搭載のアカンサスに中央の王城を攻撃させる。遠距離砲撃で数発撃てば何かおびき出せるのではないかな?」
「それでは拉致されている人たちが危険なのでは?」
「玉座のある場所へ攻撃を集中させる。そんな場所へ人質を集めているとは思えん。砲弾は演習弾を使う。爆発せんからな。それに当たって死んだら運が悪かったと諦めろ」
「大雑把と言うか大胆と言うか、ララさんらしい戦術ですね」
「褒め言葉と受け取っておこう。マユ姉様聞こえますか?」
『ええ、聞こえていますよ』
「王城の玉座を目標に遠距離砲撃の依頼をします。弾種は演習弾。王城から南西15㎞地点から撃ってください。空中での着弾観測も同時にお願いします」
『想定されている遊撃部隊をおびき出す作戦ですね』
「はい。多分出てくると思います。恐らく支援砲撃型のアカンサス・クロウを最初に潰す行動かと」
『それで、対応はハーゲン少尉に任せるのですか?』
「いえ、私が対応します。ハーゲンには王城に突入し、拉致された人員の救出を」
『大丈夫ですか?』
「鋼鉄人形が出てこようが私が何とかします。黒猫とミハル中尉も突入させてください」
『アカンサスはどうするのですか?』
「AIコントロールでお願いします。支援砲撃と着弾観測であるならAIの方が正確です」
『ええそうね』
「それと、ネーゼ姉様に人質の位置を霊査してもらってください。もし不可能であるなら即時撤退します。改めて夜間侵入する作戦を実施します」
『わかったわ』
「私達は今から待機地点に移動します。王都南西約10㎞の地点。砲撃はその後方5㎞から。攻撃開始は
『今から30分後ね。分かったわ』
ララと旭、ソフィアとヒナ子。二人と一羽と一体が移動を始める。
やや霞んだ空だったが太陽は天頂に輝いていた。
少し暑い。
ララ達は待機地点に到着し、窪地に身をひそめる。
「ララさん。出てきた遊撃部隊がバンパイアやモンスター系の者であれば私達で何とかなるでしょうが、もしロボットでしたら歯が立たないのではないでしょうか?」
「勝つ必要はないです。ハーゲン達が人員を救出する時間が稼げればそれでいい。足止めなら私一人で十分です」
その時正午を告げる時報が鳴る。社長戦争は最初の24時間を経過し残り24時間となった。
ララ達の後方から砲撃が始まった。
アカンサス・クロウは両肩、両腕に155㎜砲を装備して一斉射撃を開始した。
王城に爆炎が上がる。
正確に着弾しているのかどうか、ララ達の場所からは確認できない。
ひときわ高くそびえている塔に命中し、その塔が崩れていく。
その時、黒と銀を基調とした14m級のロボットが王都上に浮き上がった。
「姉様、予想通り出て来ました。黒と銀の機体です。見えますか?」
『ええ確認済みです。アレは……不味いわね。オラケル。リラ・シュヴァルベよ』
よりによって代理の中で最強とうたわれるロボットであった。
しかし、ララは不敵に笑っていた。
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