act.11 vs大悪魔シトリーとまだまだ共闘の旭様♡ピヨ?
銀色の髪をまとい豊満な体格をしているネーゼ。何時も着ているような純白のドレスを着こんでいる。
ララはネーゼの言うとおりに光剣を仕舞いホルスターに収める。
「このような場所へ来られるとはどうされたのですか。ネーゼ姉様」
「貴方が心配だからに決まっているでしょう」
その一言に眉をひそめるララ。
「白々しい嘘を言う。この悪魔め」
腰の後ろから小型拳銃を抜き、迷わずネーゼに向けて引き金を引く。5連発の弾倉を打ち尽くし、銃を投げ捨てる。
「銃など使えんな。悪魔にはまるで通じない」
鬼の形相とでもいうのだろうか。
ネーゼは眉間にしわを寄せ目を吊り上げ犬歯をむき出しにして唸っている。彼女の穏やかな微笑みだけしか見たことがないララにとって、目の前のネーゼは出来の悪いイミテーションでしかない。
「悪魔よ名乗れ。私はアルマ帝国皇帝警護親衛隊隊長ララ・アルマ・バーンスタインだ。魔は容赦なく討つ。姉様の姿を盗み私の前に出てくるなど言語道断だ」
「私はシトリー。大悪魔シトリーだ。何故気が付いた」
「何もかも違う。姉様の胸は118㎝Oカップ。貴様の胸は101㎝Jカップだ」
「なっ、そんなサイズだとは聞いてない……」
「公表してないからな。あの超爆乳は国家機密だ。それにな。高貴と言う意味を知らん者が姉様の姿に化けても意味が無い。身にまとう高貴なオーラを真似することなど出来ないからだ。そんな未熟者にこの私が騙される訳が無い」
「オーラだと」
「そう、私には毒々しい魔のオーラしか見えない。騙す相手を間違えたな。はあっ!」
ララが右手のひらを突き出し衝撃波が放たれる。それは目の前の偽ネーゼを捉えそのドレスを剥ぎ取った。グラビアアイドルのような見事な裸体が晒される。
「許さない。戦うわ、この小娘と」
その時周囲にアナウンスが流れる。
「デュエル承認されました。プリンセス・フーダニット陣営の代理、ララ・アルマ・バーンスタイン様とビンイン・ジ・エンペラー陣営の代理、大悪魔シトリー様のデュエルを開始します。5……4……3……2……1……開始です」
「僕に戦わせてください。その悪魔とは僕が戦います」
「デュエルは一対一と決まっております。第三者の介入はご遠慮ください」
「そんな。この悪魔を待っていたのに」
悔しそうに顔を歪める旭だった。
「旭さんごめんさない。今回は譲ってもらいます。手出し無用です」
ララの言葉に仕方なく頷く旭。その目の前でシトリーはその本来の姿に変化していく。ネコ科を思わせる女性の顔。黄金の豊かな頭髪はソフトクリームの様にふわふわ盛り上げている。白い肌を包んでいるのは黒いドレス。背中には大きな黒い翼が生えておりその異形は悪魔そのものだった。
「ララさん。シトリーは
「姉様、油断はできません。先程も私の衝撃波を喰らって微動だにしないのですから……実力の底が見えません」
「大丈夫。貴方こそが帝国最強戦力なのですから。自信を持ちなさい」
「はい姉様」
マユとの通信が終わるその時、地面を滑るように近づいたシトリーの拳がララを捕えた。咄嗟に腕を組みガードしたララだったが数メートル後方に吹き飛ばされる。更に右腕を数本の太い触手に変形させ、ララを捕まえようと素早く伸びていく。その触手がララに触れようという瞬間ララの姿が消えていた。ララを見失ったシトリーがララを探して左右を見るがララはその懐にいた。ローキックで膝を砕き、体が傾くのを見計らい顎に強烈なアッパーをお見舞いする。シトリーは2m程浮き上がってから倒れた。
「馬鹿な。見えなかった。見えなかったぞ。お前は瞬間移動の魔術が使えるのか?」
「魔術ではありません。私には加速装置が付いているのです。スイッチは奥歯の横です」
「何だそれは?」
「え?009知らないの?」
「だから何なのだ!!」
シトリーが立ち上がる。顎と膝からは白い煙がでており体組織を急速に再生させているようだ。
「だから私の能力は瞬間移動の魔術ではなく加速装置みたいなものだと説明してる。話が通じないな」
再び瞬間的に距離を詰めたララがシトリーのボディに正拳突きを放つ。シトリーは数メートル後方に飛ばされた。
「この小娘が! 後悔させてやる!!」
正に鬼の形相となったシトリーは立ち上がった。更に
身長5mにもなる獅子の巨人。黒い巨大な翼もさらに巨大化してその存在を誇示していた。
「体を大きくすれば強くなると思っているのか? そんな事だから貴様は二流なのだ。悪党に限って自分の事を魔王だ大悪魔だとほざく。自分が大物だと言い張る者が大物であったなどという話は古今東西聞いたことが無い」
「な、生意気な小娘が」
シトリーは大きな口を開き巨大な火球を吐き出した。しかしそれはララの衝撃波によって空中に弾き返され爆散する。
眩い火の粉が周囲にまき散らされる。
「ぴよ?」
火の粉が熱かったのだろうか。ヒナ子が突然目覚め嘴を開く。
「ぴよよよよ!」
安眠妨害に怒りが沸騰したのか、強烈なビームをシトリーに向かって放つ。
「ぐはあああ」
超高温のビーム砲が着弾したシトリーは業火に包まれる。苦悶の呻き声をあげ転げまわった。
ララは光剣を抜きその胸に突き刺した。光剣は胸のブローチを貫きベルを破壊した。
「只今、ビンイン・ジ・エンペラー陣営の代理、大悪魔シトリー様のベルが破壊された事を確認しました。デュエルの勝者はプリンセス・フーダニット陣営代理のララ・アルマ・バーンスタイン様です。繰り返します。勝者はプリンセス・フーダニット陣営代理のララ・アルマ・バーンスタイン様です」
全身が黒焦げになって胸を貫かれてもまだ生きているシトリーは起き上がった。体はだんだん縮まり身長は170㎝ほどになる。火傷は急速に回復し胸の傷も消えていく。
「覚えていろ。そこの小娘。貧乳のくせに生意気なんだよ」
その瞬間ララの光剣がシトリーの首を落とす。
「うるさいな。これでも胸の事は気にしてるんだ」
「お前の顔は絶対に忘れん……」
そう言い残してシトリーは消えた。頭も胴体も。
首を断たれても死なない。大悪魔とはそういう存在なのだろう。
「ぴよ」
ヒナ子がララにすり寄って来る。頭のてっぺんに火傷を負っていた。
「ソフィア。治療をしてやれ」
「はいララ様」
旭の合図で九つの陽光もその姿を消した。周囲は真昼の明るさから漆黒の闇へと変化した。月はもう沈みかけていた。
「旭さんはあの悪魔を追っていたのですか?」
「追っていたというよりは待っていたと言う方が正しいでしょう。あの魔の城に膨大な魔力を持つものが潜んでいるのは分かっていましたが、さすがに一人で乗り込むわけにはいかなかったのです。強い力を持つララさんの側にいれば必ず現れると踏んでいたのですが、私の代わりに退治していただきましたね。ありがとうございます」
「いえいえ」
頭を下げる旭と顔を赤らめて恥ずかしがるララ。
「ララさん、三勝目ですね。ご苦労様」
「ああ。そうでした。ところで、ヒナ子の共闘は可なのでしょうか?」
「不都合は無かったようですね。おや、ヒナ子さんはララさんのペット扱いになってます。ペットは装備品に分類されていますよ。ソフィアさんと同等の扱いです。現地で装備を入手となってますね」
「そうなの?」
「そうです。だからと言って戦わせないように」
「分かっています」
「今夜は遅いのでもう休みなさい。私が見張りをしますから安心なさい」
「分かりました姉様」
ところが、ララ用のテントは先ほどの火の粉で焼け落ちていた。
「燃えちまったものは仕方がない。ヒナ子、寝るぞ」
「ぴよ~」
眠り始めたヒナ子に寄りかかりララが眠りにつく。
旭もその場で寝ころび目を閉じた。
明朝、この二人はデュエルを開始する。
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