act.3 遠足ですか?サバゲーですか?
ハーゲンとセルデラス総司令は飛行艇で帝都へと向かった。帝都でネーゼと合流し、特殊艦ケイオンで直接現場へと向かう予定だ。
さて、ここに残っているのはララとマユ、そして金森である。
「それでは姫様方、準備が整い次第移動いたしましょう。私が用意した自動車で次元転送装置のある場所まで行きます。そこから自動車ごと次元転移し、オペレーター待機の場所として指定されているホテルへと向かいます。そこからは、ララ様お一人で戦場へと転送させていただきます」
「金森さん聞きたいことがある。戦闘は何日間になるのか?水と食料は現地で調達できるのか?」
「はいララ様。戦闘準備が24時間、戦闘は三日で正味48時間が予定されております。計4日ですね。最優先で水と食料を準備する必要があります。それらに関しては現地で調達は可能なのですが、衛生面でお勧めできません。一度、ホテルへ転送してから当該地で準備させていただく予定です。おやつもできるだけ詰め込みます。武器も歩兵用の火器や刀剣類であればご用意できます」
「なるほど。マユ姉様はどうなる?」
「私は4日間ホテル暮らしでよろしいのですか?」
「はい。基本的にはそうなります。しかし、戦闘開始後はモニタールームで付きっ切りになり、優雅な滞在ではないと思います」
「分かりました。私は準備は出来ておりますが、ララさんはどうしますか?」
「着替えは大丈夫ですが、ちょっと武器庫を覗いて来ます。面白い物があれば持ってきます。少しお待ちください」
ララは部屋を出ていくのだがすぐに戻ってきた。
「姉様。大変良い物を見つけてきました。ご覧ください」
ララが見つけて来た物とは……
日本刀一振り。暗殺用自動人形トロワが一体。そして宇宙軍用の光剣だった。
「ねえマユ姉さま。この人形って料理洗濯テント設営とかできるかな?」
「その情報はありませんね。この砦に暗殺人形があっただけでも驚きなのですが、起動して確認してみましょう」
それは全長30センチほどの金属製の人形だった。雑な八角柱で構成されるボディはお世辞にも良いデザインとは言えず、シンプルというよりは不格好であった。
マユが操作するとそれは起動した。頭部にある三つの赤い目が光り立ち上がる。
「起動していただきありがとうございます。私はDD03A00318でございます。ご主人様。お仕事のご説明をお願いいたします」
恭しく頭を下げる人形だった。
「貴方のお名前は?」
「私には名前はございません。DD03A00318とお呼びください」
「それでは味気ないと思います。ではソフィアと呼びましょう。よろしいかしら」
「ありがとうございます。マユ皇女殿下。私の事はソフィアとお呼びください」
「あら、私の事がお判りなのですね」
「はい皇女殿下」
「ではソフィア。貴方にお願いしたい事はこのララさんについて行って日常のお世話をしていただきたいのです。可能ですか?」
「可能でございます、マユ様。戦闘ではなく、こちらのララ姫様のお世話でございますね。私は侵入欺瞞工作に使用できるよう設計されております。日常生活に支障はございませんし、野外でのキャンプ等にも十分対応可能です。ただし、重量のあるものを運ぶことは出来かねますので、その点はご了承ください。人の姿に変形した方がよろしいですか?」
「はい。お願いします」
すると金属の棒をつなげた様なボディから細い極薄のリボンが無数に伸びてきて人体のような形状を構築していく。その身長が155㎝くらいの女性型となり、表面が見る見るうちに人と同じになっていく。メイド服を着た白人の少女が出来上がったのだ。金髪をお下げにしている青い目の少女だった。
「ありがとうソフィア。私がララです。よろしくお願いします」
「ララ姫様。よろしくお願いします」
その光景を見て唖然としているのは金森だった。
「ああんな不格好な人形がこんな美人さんになるなんて信じられない」
「金森泰三さまですね。この程度の技術など異世界転移の技術と比較すらできない低レベルなものでございます」
「しかも、自分の事まで把握しているとは!」
ソフィアの一言にさらに驚く金森だった。
「先程から音声情報を取得して状況は把握しております。説明は不要でございます。さあ準備いたしましょう」
金森は部屋の外へ追い出され、少女二人の着替えが始まった。着替えが終わってから部屋へ入った金森は唖然とする。
三人そろってグリーン貴重の迷彩服に身を固めていた。米海兵隊仕様の戦闘服だ。
迷彩の帽子を被っているララだけ半袖で他の二人は長袖を着用。そしてララは背中に日本刀を背負っている。
「ふふーん。カッコいいだろ」
「なかなかお似合いです。しかし、マユ様までそのような格好をされる必要はないと思うのですが」
「金森さん。あなたもオペレーターとして参加する以上は服装は揃えていただきます。よろしいですか?」
「了解しました!」
思わず敬礼をしてしまう金森だった。
四人はこの後4WD車に乗って砦を離れ、転送装置のある山岳地へ向かう。
そして光り輝く門の中へ入り次元の壁を飛び越えて行った。
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