⑤登場キャラ『ハルオ・サカキ』登場怪獣『ゴジラ』

《ハルオ「幼少の頃親父に怪我をさせて以来封印してきた伝説の技『サカキサイバーマルチバケーション』!!」》


 

 劇中、ハルオはメトフィエスによって精神世界にいざなわれてしまった。


 そこでメトフィエスが語る。文明を極めた人類には滅びが必然的にやってくる。その前に終焉ギドラによる救済が必要であり、それが最も最善な方法だと。


 必ずやってくる滅びの象徴であるギドラは、おそらくは『宇宙の熱的死』を怪獣化した物だろう。熱的死とは必ずやってくる宇宙の最期であり、それにはエントロピーが関わっているとか何とやら。ここで熱的死を扱ってくる辺り、まどかを制作した虚淵玄氏らしいと思ったものだ(知っての通り虚淵氏はアニゴジ制作者。この方が手掛けたまどかでも似たようなテーマがあった)。


 あわやハルオがギドラ教に洗脳すると思いきや、マイア達が助けに入る。怪獣の中で唯一人類の味方であり続けたフツアの神モスラと共に。


 卵の状態ながらも、やはりフツアの神はハルオを陰ながら守っていた事だろう。そうしてハルオは自分の名前の由来を思い出す。


 終焉の中でも咲くだろう『春』。どんな困難の中でも輝く希望。


 確かに終焉の前ではそんな希望はちっぽけかもしれない。しかし確かに存在するそれを、ハルオは信じたいという気持ちがあった事だろう。 

 ここはマイア達が言っていた「災厄に勝つ事は生きる事」とよく似ている。つまりギドラに勝つ唯一の方法とは、このちっぽけでも必ず存在する幸福と希望なのだ。


 そうしてハルオはメトフィエスの支配から脱し、ダイナミック☆目潰し!! それからある理由でギドラに触れる事が可能になり、ゴジラは猛反撃に出る(ゴジラファンなら『ゴジラVSキングギドラ』のオマージュだって分かっていた事だろう。実際自分もです)。


 まさしくゴジラVSギドラはハルオとメトフィエスの代理戦争なのだ。ハルオに拒絶された以上、メトフィエス=ギドラは何もする事が出来ない。


 そうしてゴジラの熱線がギドラを直撃!! かくして世界は滅びから脱する事が出来たのだが……。




《ハルオ「我が魂はゴジラと共にありいいいいい!!」》

 



『アラトラム号』がギドラによって撃沈。そしてそんな文字通りの神を倒したゴジラを、誰にも止める事は出来なくなった。

 こうしてハルオ達はフツアと共存するようになる。彼らはマイアのあの言葉に従って生きる事に決めたのだ。ゴジラに勝つ唯一の方法だと分かって。


 そんな時、マーティン博士が一機だけ残されたヴァルチャーの修復に成功したそうな。するとハルオの脳内にメトフィエス(追記:後に発売された小説版などから『メトフィエスの声を借りたギドラ』という説が有力になっている。何それ怖い)の声が聞こえてくる。


(ハルオよ、聞こえますか……今あなたの心に直接語りかけています……文明が栄えたその時……ギドラは必ずやってきます……その時がハルオという英雄がトリガーとなるでしょう……)←意訳


 やはりギドラは不滅のようである。いくらゴジラの熱線を受けたからって、神の如き存在が死ぬはずもない。

(こいつ、直接脳内に……!?)とうろたえるハルオですが、あのギドラが来るとなるとどんな結果になるかなど分かっていたはずである。そうして彼はゴジラに対してある行動をするようになる。それは映画で己の目で確かめてほしい。


 この事に対して色んな憶測があるが、まずはハルオの名前の由来から考えていきたい。

 劇中の由来は上記の通りだが、メタ的には『中島春雄なかじまはるお』氏から取られている。ゴジラファンなら知っていると思われるが、かつて初代ゴジラのスーツアクター(怪獣の着ぐるみに入って演技する人)でもある。


 アニゴジ公開当初『ハルオがスーツアクターの方から取ったのはちゃんと意味がある』という制作者のコメントをどこかで見た覚えがある。そして劇中のハルオの行動。


 もうお分かりだろう、ゴジラとハルオは一心同体なのだ。というよりゴジラはハルオの影と言うべきか。


 憎しみで動いていたハルオは、どこか文明に対して怒りを抱いていたゴジラと似ている。この一人と一体はまさしく運命共同体。だからこそ運命を共にしたら……もう言うまでもないだろう。


 そしてラスト、ミアナが老婆になるほどの時代ではフツアによる『お怒り様』の儀式が始まる。


 このお怒り様は、憎しみを抱いてきたハルオだという説が有力。これはフツアなりの、ハルオやゴジラに立ち向かった人々への鎮魂歌だったかもしれない……。

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