第10話 ダンジョン探索

「暗いわね」


「そうですね」


ダンジョンの中は真っ暗であった。

ただでさえ深い渓谷の中に洞窟のような形であるためだ。

各々が持ってきたランタンで周りを照らす。

ソーマは、光魔法で作った光球によりさらに明かりを確保する。


「それにしても何もないわね」


くねくねと曲がりながらも何もないダンジョンを見てアリサがつぶやく。


「ここのダンジョンは広いですからね」


「迷わないかしら」


「それは魔法でマッピングしてるから大丈夫だぞ」


「さすがソーマね」


そんなことを話しながらダンジョンの奥へと歩を進める。

彼らの当面の目標は水源を確保することだ。

何日か分の水と食料は持ってきたが、長期探索するとなると足りない。

水源を確保できなければ最悪、それだけでリタイアもあり得るのだ。


「ソーマさんのどが渇きました」


「そうだな、ここらで休憩にするか」


ソーマたちは洞窟の広くなった所で休憩をとることにした。


「それにしても何もいないわね」


「だめですよ、アリサさん。そういうこと言った時に限って何か出るんですから」


「ちょっ!やめてよカグラ。恐ろしいこと言わないd…」


にゅるん


アリサは頬にいやな感触を感じて振り返る。そこには、巨大なカエルがいた。

アリサの顔が青ざめる。


「でっ、でっかいカエルー!!」


そういってソーマに近寄る。


「おい、アリサ!?」


「かかかかカエルは無理!無理なんだって!!」


「仕方がないな。下がってろ」


そういってソーマはカエルに向かって火球を放つ。

しかし、カエルの湿った肌に阻まれ、まったくダメージを与えていない。


「くそ!これならどうだ」


今度は、雷魔法を用いてカエルに微弱電流を流す。

カエルの動きが止まった。

しかし、火球がきかないため決め手に欠く。


「アリサ!!」


「カエルは無理ー!!」


アリサは断固として動こうとしない。

そうこうしているうちに、再びカエルが動き出した。


カエルが伸縮性のある舌を伸ばし対象を補足しようとしていた。

その先には…

アリサがいた。


「なんで私なのー!!!!!」


アリサは絶叫しながらカエルの舌をかわす。

しかし、カエルはそれを読んでいたのか、アリサがよけた地点に向けて、大口を開けて飛び込んできた。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


再びアリサは絶叫し、ツバイヘンダーを振り回した。


一振り目がカエルの大きな口を切り裂く、二振り目でカエルの脳を捉え、カエルは絶命した。

しかし、アリサはツバイヘンダーを振るのをやめない。


「ああ、カエルさん…」


カグラが今では肉片となったカエルを眺めながらつぶやく。


「俺たちにできるのはあいつの冥福を祈ることだけだ」


「はい、カエルさん、来世では幸せに生きてください」


その後も、アリサの絶叫はしばらく木霊するのだった。


「そういえば、水の音がしませんか」


カグラが言う。

実は、ソーマも探索魔法でこの辺りに水源があることはわかっていた。

音を頼りに水源を目指す。


「ソーマさん!!ありました!!」


カグラが手招きする。そこには水の湧き出る泉があった。


「よし、じゃあ、ここをひとまずの拠点にするか」


その後は、時間も遅いため、夕食にすることとなった。

料理好きのカグラが調理をする。


カグラが作ったのはハンバーグだった。

ダンジョンでこのようなものを作れる人がいるのは本当にありがたい。


「すごい!!カグラこれおいしい!!!」


一時は疲れ切っていたアリサも元気を取り戻したようだ。


「素材がいいんですよ。新鮮なお肉ですからね!」


「え?」


アリサの表情がゆがむ。


「新鮮って...?」


「アリサさんが仕入れたんじゃないですか」


「ま…まさか…」


「カエルのお肉っておいしいんですよ!!」


ぱた…


「おい、アリサ!?」


「おかわりもありますよ」


「アリサー!!」


アリサが目を覚ましたのは、結構後のことっだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

召喚獣はぷよぷよスライム ごまふおっとせい @y171169

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ