県内の遺跡をみんなで回ってみっど~
暫く古代史関連の資料を読み漁り時間を潰した後、シャワーを浴びて汗を流し、着替えて待ち合わせの場所へと向かった。
他の三人と合流し、すぐ近所にある全国チェーンの格安系居酒屋に入る。
「では、雄治の引越作業お疲れさま~」
と、敬太郎君の音頭で乾杯した。全員、飲み放題のビール。いや、発泡酒かな?
飲み会経験って、あたしはまだ三度目だから、すっごくワクワクする。
……ってか普段、四人で集まる時ってあたしと智ちゃん、そして向かいに敬太郎君と雄治が座るのよね。ところが今日はどういうわけか、雄治が横に座ってるのよ。当然、
いや違うわ。席の位置取りからして、あたしが無意識のうちに雄治の横へ座ったっぽい。
ってことは、容疑者はあたしじゃん。どうしよう。――
とりあえず素知らぬ顔を保つが、しかし内心はやってしまった感で、ドキドキしてる(恥)
そんなあたしのデリケートな乙女心を知ってか知らずか、いやおそらく知っての上で、向かいの智ちゃんがニコニコと小悪魔のような笑みであたしを眺めている。あたしは頬が紅潮するのを感じた。ヤバい、ピンチだ。
あ、いやいや大丈夫。あたしはビールジョッキを掴むと、一気に半分程を飲み干す。「お酒のせいで顔が赤いのよ」作戦を発動。
あの後ちゃんと髭を剃ったらしい、雄治の顔を眺めつつ、智ちゃんが口を開く。
「これで雄治君も、今日から宮崎人だね」
「じゃっどじゃっど」
「紗耶香ちゃんとも距離が近くなるし、良かったじゃん。おめでと~」
「
あたしも雄治も赤くなる。ほら、やっぱ智ちゃんは小悪魔だ。コワい~~。
料理が何皿も運ばれてきた。あたしは作戦遂行のため、早々にビールを飲み干し、おかわりを注文する。
「いやマジで、引越し出来て良かったわ。四年間、ずっと実家から通いやち思ちょったから、すっげ~嬉しいわ。引越祝いも
「良かったな」
「他にもサプライズがあったとよ。
「ほう……」
随分古い、二十年ばかし前のスポーツ車らしい。従兄弟が大切に乗っていて、程度はかなり良いんだとか。
「日常生活にも便利やろけど、やっぱあちこち遺跡を見て回りてえとよね……」
雄治は嬉しそうに語る。
うん、確かに羨ましい。あたしなんか、県外の大学に行かせてもらえなかったどころか、未だにバイトすら許されない、過保護過干渉家庭の娘だもんね。……
「っちゅう訳で、折角足が手に入ったかイ、古代史に絡みそうな県内の遺跡をみんなで回ってみっど~。生目古墳群も勿論やけど、西都原古墳群やら、県北高千穂やら」
雄治の提案に、皆、目を輝かせた。
うんうん。これぞ大学生活だよ。――
あたしは興奮してきた。
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