どう考えても単なる私の夢や幻覚ではないよ……

 いやホント、いろいろスゴいよ。――


 他人に話したとしても、オカルト扱いされて笑い飛ばされるだけだろうけれど、知り得た情報の一つ一つがまさに事実としか思えない。

(どう考えても、単なるあたしの夢や幻覚ではないよ……)


 あたしは大きく溜息をつくと、椅子に腰掛けた。PCに向かうと先程の「卑弥呼様口述メモ」テキストファイルを開く。


 [奴国]

 奴国→の国本体?

 「なこく」でも「どこく」でもない。魏の役人の誤解か!?

 場所は佐賀平野から筑後平野一帯。

 肥の津も不弥も、支惟きいも、その周辺集落。

 つまりの国の一部。

 倭国的には「集落」だが、魏朝の役人が「国」と見做す。


 [投馬国]

 とぅま国。

 現在の鹿児島市、霧島市、鹿屋市一帯付近。

 もしかして「さつま」の語源?


 ※なお、以上は卑弥呼様の「推測」らしい。

  直に行ったことはなく、全て男衆(おとこし)から聞いた話に基づく推測、とのこと。

 ※ただし「投馬」薩摩語源……は私の推測。


 ファイルを保存し、クラウド側も更新をかける。

 こうしておけば、歴史研究会のメンバーとも随時、情報共有出来るの。


(ふう……)

 あたしは椅子に座ったまま大きく後ろにのけぞりつつ、伸びをした。

(しかしまあ、ちょっと困るよなあ……)

 卑弥呼様と会話出来るのは、スゴくありがたい事だと思う。興味深い話をいろいろ聞き出せるし。


 でもさあ、いわゆるその……アレをする度に卑弥呼様が出現するってのは、ちょっとマズいよね。

 おちおち気兼ねなくアレできないじゃん。困ったもんだ。どうしよう。……

 いやらしいニオいがする、とか卑弥呼様に言われてからかわれちゃうし(恥)


 あたしは立ち上がり、そばの棚から百均で買ったアロマお香を取り出すと、着火した。

 そうそう。うっかり忘れてたけれど、こういうアイテムもあるんだよ。女子のハズカシいナイショのヒミツは、これで誤魔化すべし……と。あははは。

 とほほほ。――


 あたしはすっかり疲れてしまい、そのままパンツ丸出しでベッドに転がると、たちまち深い眠りに落ちた。

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