第12話 この馬鹿!


ドン、カッカッ ドン

カン カッ ドカ カツ


俺とクラークが激しく木刀で打ち合っている。




「……よし今日はここまで」


「はあはあ……ありがとうございました。」


 

「ほお、7歳だっけ ?子供でその身のこなしはすごいな」


クラークとのいつもの朝練をしているとマッシュたちが見学していた。



「うちの子はすごいだろ、誰にも負けないぞ」


もう自慢げなクラーク親馬鹿さん。まあ3歳から毎朝訓練しているし、大人の頭脳とこの身体の性能がいいためなのか、同年代の子供よりは優れている。


クールをこらしめた時に「えっこんなに弱いの?」と思ったもんだ。


「まあうちのラッシュよりは弱い !」


「いいや!ラークの方がすごい !!!」


おいおい親馬鹿さんたち。7歳と15歳を比べてどうする?根本的におかしいだろ。


「なら戦わせるか !!」


「おうよ、どっちが優秀か !」



「「 勝負だ ! ! !」」


この馬鹿親たち、俺が圧倒的に不利だろが !!


この世界で15歳と言えば、年の誤差を計算して400日×15歳÷365日で16歳と半年ほど……単純に元の世界だとラッシュは下手すると高2ぐらいだぞ。

誤差を足しても7歳半ほどで小学1.2年の子供の俺が勝てるわけないだろ!


「クラーク、親父 !それはいくらなんでも止めた方がいい !」


おっラッシュ、そりゃそうだ。君が常識があって助かるよ。


「ほう、ラークが勝つから逃げるのか」


「「なんだと !」」


この !クラーク親馬鹿は煽ってどうする。普通逆だろ!


「わかった、後で泣くなよ」


いやーん !! 

もうラッシュが戦闘モードに入っているのがわかる。

もうね、冒険者は……いやだ。

血の気が多くて荒っぽいもん。


大体、ちくしょう、俺の意見は!聞けよ、どうか !



クラークのヤロー嬉々として木刀渡しやがった。


「そっちこそ泣くなよ」


とクラーク


もーう馬鹿! 後で絶対にシールに泣きついて言いつけてやる。






「よし、始め」


えっマジですんの!!? 魔法を使っちゃうよ!!


ラッシュ君が俺に木刀で襲ってきた!

俺は必至の受け身、くぅー本気マジじゃん!!

素早く体勢を立て直し、バックに飛び下がる。


クラークは俺に手を出すことが無いから、木刀で殴られたことないけど痛いだろうな。

仕方ない、卑怯だが、防御力教化精神魔法は使わせてもらうよ。



てか普通は絶対にハンデがいるだろこれ !!!



瞬時に距離を詰め、身長差を使い、上から叩きこむように打ってくる。

うわっ 

きつっ!! 

いくら防御魔法あってもこんなので殴られたくない。


もう一つ使っちゃえ情報処理強化精神魔法を発動。 

俺はラッシュ君の動きが読めだし、ギリギリで避けていく。


「ちっ」


ちってなによ !成人前の子供に本気になるな。


俺はなんとかかわしていく。

うわー稽古終わりにきつく体力も持たない。

息が上がる俺。


でもなんとか今は避けているけど……そろそろやばい。



「……速さを我に素早さ増強


おいっラッシュ!今『呪紋』じゅもん発動させたな。ハンデなくなるだろ。


てか子供相手にマジになり過ぎ。


素早さが上がり対応ができなくなる。


仕方ない……。



ここだ!!




俺はラッシュの横払いの木刀の動きに合わせて、軽く当たりつつ……横に吹っ飛ぶ。



派手に家の方に吹っ飛ぶ



「うわーーーん」


泣き真似プラス、水魔法ウォーターボールで涙。

すぐ近くの川があるため簡単にできる。でもこの魔法の微調整は結構テクがいるんだぜ !!


「こら !!ラークになんてことを」


クラークがラッシュを叱るが、俺的にはお前を叱りたいぞ。


「母さーん」


俺はすかさず家の中で朝飯の用意をしている、シールに告げ口にいく。




「「「あっ」」」







もちろん、クラークたちは、シールにこっぴどく叱られました。





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