第13話 料理作るぞ!
「……じゃあ……案内する」
さっきシールにこっぴどく叱られ、落ち込んでいるクラーク。
クラークと一緒に叱られマッシュ親子もしゅんとなっています。
当然です。
今晩はシールと二人きりで寝る予定になりました。
おかげで今晩はゆっくり寝れます。
ラッキー!
だが、あのままラッシュと戦っても勝つ可能性はあった。
……もちろん
でも
俺は未来のある少年に、そんなことを望んではないし、
俺は大人だからね……。
でもね、許さんよ、
これからクラークは、こないだキマイラと遭遇したところに冒険者たちを案内する。
もちろんこの俺はお留守番ってことだけどね。
部隊を引いて村から出ていくクラーク達。
ちなみにこないだの魔法の使用の痕跡は、後からこっそりと行って、
護衛の冒険者の元に行くと、
うーん、めんどくさい。
自らコミュニケーションを断っていたわけだし、今更子供の相手は面倒だ。
うん? 向こうにいるお姉さんにはだれも寄ってない。
この人になら……。
「すみません」
「ああっなに!?」
すごい顔で睨んだぞ。なるほど、こんな人だから子供は寄らないのか?
だからと言っても、ほかに選択肢ないし仕方ない。
「この村の食事美味しいですか?」
えっと驚いた顔をするお姉さん。
うん?顔は結構美人だ!それなのにもったいない。
女性の細身の身体には合わないぐらいの大剣を持っていたから、戦士系なんだろうなと思った。
燃えるような赤毛の髪は、彼女の気の強い感じに合っていた。
「美味しいね、どんなところでも、食べたことがない料理ばかりで、今回の依頼受けて正解と思ったね!」
おっ、口元が緩んだな、これはいけると思う。
「僕はその料理の開発しているのだけど、新しい料理の試食をして貰って感想が聞きたいのですが、どうですか ?!」
俺は彼女にそんな提案をした。
「是非、是非、なら君が噂の神童の少年か!! お願いする!! 」
もう興奮気味の彼女、おしっ!
「でも・・・ちょっと聞きたいことがあるのだけど、教えてくれますか!?」
俺が聞くと彼女は一瞬考えたが、人って
「いいだろう、私ができることならなんでもする!! 冒険談でもなんでも聞いてくれ!」
はい、落ちた。
「リーダーのマッシュさんやラッシュさんとか、知っていればクラークと言う人の話を聞きたいです。出来れば失敗談とかの方がいいです。」
俺はニヤッと笑った。
彼女の名はマリアン。
歳は27歳でクラークとシールのことも知っていた。
俺がその息子ってことも驚いていた。
話してみると、意外と話しやすい相手だった。
威嚇したのは昨日の宴会で、村人や子供たちがいろいろと聞いてきて
本人は食事に集中したいのに……。
そしてそのせいで見たこともない料理を沢山食べたいのに、少ししか食べられなかった。
まあ昨日は話しかけづらい感じの厳つい冒険者達ばかりが、競うように料理を沢山食べていたからね。
彼女は笑うと結構優しい可愛い顔していた。
クラークの過去話は結構楽しかった。
なにせ冒険者のパーティーに入った途端に、仲間たちと大喧嘩したらしい。それも14になったばかりのやつが敬語も喋らずに、上から発言ばっかりだったそうだ。
そして冒険者だったころは「俺より強い奴はいない!! 」とか豪語していたそうだ。
他のメンバーとはよく喧嘩はするし、いろいろとトラブルはするけど、それでも憎めない性格と強いから一目は置かれていた。
そんなクラークがシールが入ってきて激変したそうだ。
もうメロメロのクラークは、シールの気を引こうと、あの手この手をして、やっと落とした。
それで
あまりの変わりっぷりに、態度を急に変える奴のことを冒険者仲間の間では『クラーク』と言うようになったぐらいだって。
マッシュもラッシュもいろいろと悪さをしていて、マリアンから聞く失敗談は楽しかった。
でもマリアンはマッシュ親子の、どちらもしたことがあると言われたときは驚いた。
しかもラッシュの初めての相手がマリアンと教えてくれたことは、この世界の性って軽いなとも思った。
ちなみにラッシュの
「もしラーク君が、したくなったらいつでも相手するよ! 」
と言われた時はビビッてしまった。
俺の童貞が奪われそうで……。
今は護衛の仕事があるからみんなが帰ってきて、夜にうちに来てくれるそうだ。
俺の料理を食べたいのとシールと久々にゆっくり話したいからだって。
まだ冒険者達には作っていない料理もあるし、
マリアンと別れると、子供たちが一気に寄ってきた。俺と話していたから大丈夫と思われたみたいだな。あとは知らん、うん、頑張れ。
さて、料理をやるか !
俺の最近の日課は魔法の訓練よりも新作の料理を開発することが多い。
ぶっちゃけ調味料は岩塩しかなく、砂糖、醤油、酢、味噌、みりん、胡椒などがないといろいろと不便だ。
だが、できる範囲で工夫をして美味しい料理を作っている。
俺は冷蔵庫を開ける。
これは木でできた箱上部に、シールが魔法で作った氷入れて、箱全体を冷やす木製冷蔵庫だ。
機能的には保冷箱と言うべきだろう。もちろん、これは俺が開発して作ったものだ。肉などの食材が腐ったらかなわないからね。
これも村で作ったのを都で売っている。結構な値段で取引されているそうだ。
中からオークの肉を取り出して、脂肪を火のついた鍋に沢山入れて溶かしていく。
固くなっていたパンを砕いて、粉々にする。そしてやや厚みのあるようにカットして、軽く岩塩で味付け。小麦粉、たまご、パン粉を付ける。
溶かした脂から肉のカスを取り出して、油の中にさっきの肉を投入。
きつね色になるまで揚げていく。
濃厚に煮出したオークの骨スープを冷まし、岩塩を入れ、ロック鳥の肉をしばらく漬けてから、すりつぶしたイモを水に浸してから採った片栗粉をつけて同じく揚げる。
隣では小麦粉を練って適度大きさに切ったものを伸ばして、中にはオークの肉をひき肉にしてから、ニラみたいな野菜と玉ねぎみたいな野菜と白菜みたいな野菜を、細かくみじんぎりしたものと混ぜて、小麦粉を練ったもので包んで茹でる。
要はとんかつと水餃子とから揚げの出来上がり。
隣ではシールがレシピをメモりながら手伝ってくれた。
これでまた新たに村の名物料理が出来たろう。
シールは俺の料理に感心して「うちの子は天才」と褒めてくれていた。
夜にはクラーク達が帰ってきた。
もちろんキマイラは発見できなかったが、残されていたキマイラの毛を発見したそうだ。
これで確定したので、しばらくはこの村に滞在することが決定した。
そしてマリアンを呼んで家で大宴会。
料理に感動したマリアンは、俺と結婚したいとも言ってきたが、シールに丁重に断られていた。
俺もマリアンは美人だけど、マッシュ親子と穴兄弟になるのは嫌だと思った。
夜はマリアンがそのままうちに泊まり、シールとマリアンと一緒のベッドで寝た。久しぶりにゆっくり寝られて幸せだった。
うん?クラーク!?
もちろん部屋から追い出して、マッシュ親子と同じ部屋で寝たよ。
シールに縋りつくように「許して」言っていたけど、俺が耳元で。
「突然態度を変える人を『クラーク』って言うって、マリアンさんから教えてもらったけど、どういうことかな!?」
と聞いたら、泣きそうな顔をして引き下がった。
朝起きてきたクラーク曰く、隣でマッシュ親子が3Pしているのを見て、ムラムラしてなかなか寝れなかったそうだ。
これで普段の俺の気持ちが少しはわかったろう。
しっしっし
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