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少女の背後で、ふいに欠伸する声が聞こえた。
「ふわぁ……、おや、おはよう」
「師匠、こんにちは」
師匠と呼んでいるのは、彼女がそう自称するからだ。特に、何か教わったりしている訳ではない。それでも、皆、彼女の事を師匠と呼んで慕っている。
「こりゃ、また……何かの動物かな?」
「ええ」書き上がった半分の胴体を見て少女は言った。「多分そうです」
「これが脚か。随分大きくなりそうだね」
「この壁に描くのは初めてですから。せっかくなので、大作を、と思って」
少女は、壁を見回しながら言う。陽が眩しくて思わず手を顔にかざした。
「完成楽しみにしてるよ。じゃ、私は仕事があるから」
「さようなら」
師匠の言う"仕事"とは何なのか、私は知らない。
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