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「ごきげんよう、今日は何が題材かな? お嬢さん」

「おや、こんにちは、帽子さん。何を描いているかは、知りません」

 『帽子』は、そのつばを手で少し持ち上げた。いつも帽子を被っているから『帽子』と呼ばれている。

「いつもそれだね。面白いからいいけれど」

 改めて、描き上げた部分を見る。まだ、太い一本線が緑色に引かれただけだ。

「木か、草かな?」

「いえ、これは……脚です」

?」

「いや、。です」少女は指で自分の腿辺りを指差し言った。

「何かの動物かな」

「多分そうです」

 手を動かしながら、少女は答える。作業は、胴体へと取り掛かる所だった。

「そろそろ行かなくちゃ。また完成したら見に来るよ」

「ありがとうございます。また」

 『帽子』は靴を鳴らして去って行った。

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