異世界に転生したらたいへん牧歌的で住みやすかった
kinakonn
Green Queen
1
まだ一面真っ白い壁を見て、ぼんやりと題材を思い浮かべる。この区画に描くのは今日が初めてだ。せっかくだから、何か大作にしたい。
――緑色がいいな。
目を閉じて、想像を膨らませる。最初はいつも見た事のある物からだ。
――草木、苔、黴、蜥蜴、翡翠――
段々と、思い浮かべる景色が鮮明に、目まぐるしく変わっていき、さらに見た事もないような別の場所の景色が瞼の裏に映りはじめる。
――清水の流れと降り落ちる雫の緑青。薄緑の双鎌に守られた幾千なる瞳。恍惚を梳く魔的な威厳の新緑――
沈み込むように、引き込まれるように、落ちていく、白昼夢。
その中で、私は見つける。
「……よし」
手に持ったスプレーを軽く振ると、カラカラと小気味よい音がした。
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