第2話 狼も同じ過ちを繰り返す
オオカミが目覚めたのはお婆さんの家の前であった。そして目覚めると同時にオオカミの腹がぐぅ~と大きく鳴った。
「とは言えこの空腹だもんなぁ。このドアの向こうには婆さんがいる。待っていれば赤ずきんも来る。だが食ったら地獄行き。どうすりゃいいんだ。」
オオカミはお婆さんの家の前で頭を抱えていると、赤ずきんがお婆さんの家に到着した。
「あらオオカミさん。こんにちは。こんなところでどうしたの?何か困っているみたいだけど。」
「あー。腹が減ってな動けないんだ。」
オオカミは今すぐにも赤ずきんに噛みつきたい衝動を必死に抑えると、唸るようにそう答えた。
「だったらこのアップルパイを挙げるわ。出来立てよ。」
赤ずきんはそう言うと小さなバケットからシナモンの香りが漂うアップルパイをオオカミに差し出した。
勿論肉食の狼はアップルパイなんて食べるわけがない。馬鹿にされたと勘違いしたオオカミは一気に赤ずきんに爪と牙を向けた。
「俺は狼だ!アップルパイなんて食えるか!お前を食うんだよ!」
オオカミは一気に赤ずきんに襲い掛かり、ぐちゃぐちゃに食べつくした。
食べ終わって間もなくして、足音が聞こえた。
「ここらで狼の目撃が報告されたから来てみれば、早速おでましか!」
「お前がどの程度人を食うかどうかは知らん。だがどう見ても今は人を食った後の様だな。その罰として死ね。」
1つ銃声が響き、狼は自分と赤ずきんの2人の血で赤く染まった。
オオカミが目覚めたのはお婆さんの家の前であった。そして目覚めると同時にオオカミの腹がぐぅ~と大きく鳴った。
「分かったこととしては、俺の行動で展開は確かに変わる。とりあえず下調べをしてみるか。」
オオカミはお婆さんの家の裏に隠れ狩人達に見つからないようにした。そして腰を据え考えを巡らせた。
「病気の婆さんと赤ずきん。狩人は2人セットだな。時間的には到着した赤ずきんを食い終わる頃に狩人がここに来る。人間を食べなければこの場は凌げるだろうか。」
しかし考えを巡らせても空腹は満たされない。オオカミの腹が再び音を鳴らした。
「あら?だれか裏庭にいるの?」
赤ずきんの声が聞こえた。オオカミはこの後赤ずきんが差し出すだろうパイで腹を満たし、この場をやり過ごす作戦を決めた。
「あらオオカミさん。こんにちは。こんなところでどうしたの?何か困っているみたいだけど。」
「あー。腹が減ってな動けないんだ。」
この展開なら赤ずきんは次にアップルパイを自分に差し出す。それで腹を満たしこの場を離れ狩人から逃げる。オオカミの頭の中を今後の予定が流れていく。
「だったらこのアップルパイをあげるわ。出来立てよ。」
赤ずきんはそう言うと小さなバケットからシナモンの香りが漂うアップルパイをオオカミに差し出した。
勿論肉食の狼はアップルパイなんて食べるわけがないが、オオカミは必死に食らいついた。死ぬよりかマシだ。
「あら、とってもお腹が空いていたのね。お婆さんの分はダメだけど、私の分をもう一切れあげるわ。」
オオカミはそれを受け取ると一心不乱に食べた。
「ありがとうよ。赤ずきんちゃん、お婆さんは苦しそうにしていたからお見舞いしてあげるんだよ。」
そういうとオオカミは裏庭から立ち去ろうとした。
ただオオカミは2つ忘れていることがある。
1つ目はアップルパイを食べている間に時間は経過すること。
「ここらで狼の目撃が報告されたから来てみれば、早速おでましか!」
「お前が人を食うかどうかは知らん。だが食うならその罰として死ね。そうでないなら人を食う狼という種族を恨め。」
1つ銃声が響き、オオカミは自分の血で赤く染まった。
2つ目にオオカミが忘れていたことは、この狩人はオオカミが人を食ったかどうか関係なく銃を撃つことである。
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