狼が生き残るにはどうすればいい

ぷりぷりのイクラはいかが?

第1話 終幕そして開幕

「どうしてお婆さんのお口はそんなに大きいの?」

「それはね


            


             お前を食べるためだ!」




「あぁ~。やっぱ餓鬼の方がうめぇな。ばーさんはダメだ。そりゃロリコンも発生するわ。」


そう呟きながらお婆さんの家のドアを開けるとそこには


「ここらで狼の目撃が報告されたから来てみれば、早速おでましか!」


2人の狩人が銃を構えていました。


「お前が人を食うかどうかは知らん。だが食うならその罰として死ね。そうでないなら人を食う狼という種族を恨め。」


1つ銃声が響き、狼は自分とお婆さんと赤ずきんの三人の血で赤く染まりました。





「んあ?ここはどこだ?」


狼は特に何もないところで目が覚めた。


「たしか、撃たれたな。んっじゃここは天国か。」

「ざんね~ん。ここは天国じゃないのさぁ。ここは死後の行き先を決める待合室的な場所だよ。私はそれを決める審判者。」


ポロンポロンと情けない音を伴いながら男が現れた。

手にしたウクレレを弾きながら続けて口を開いた。


「いやぁ、オオカミ君。あっけない終わり方だったねぇ。もっと面白くしてくれて構わないんだよ~。」

「やっぱ死んだのか。」

「ん?随分冷静だね君は。もっと、どひゃーとか、うわーとかやってくれないと。」


確かに審判者の言う通りオオカミは至って冷静であった。その冷静さにはオオカミ自身も驚いていた。


「まあいいや。この私が死んだ生物を天国か地獄か決めるんだ。あ、君は地獄ね。後は私が指パッチンで君は地獄へGO。ばいばーい。」


サラッとオオカミの進路を宣告した。

これには流石のオオカミも狼狽える。審判者の足元に転がり込み、足を抱きしめた。


「いやいや、待ってくださいよ。確かに最後に人を食っちまったけどさ。俺はそれ以外は人なんて食ってないんだよ。悪いことなんて何もしていない。信じてくれよ。それに弁明しようとしたら問答無用で撃たれたんだ!」


オオカミは足に頬ずりし、舐め回しながら懇願する。審判者はとても嫌そうな顔をしている。


「いんや。君は地獄。もう決めちゃったからねぇ。あっちにも連絡しちゃったしさ。」


数回は同じようなやりとりを繰り返した後、オオカミは諦めて足元を離れた。


「分かりました。じゃあひとつお願いを聞いてください。俺の母ちゃんに伝言をして欲しいんです。母ちゃんに『オオカミと人間は共存して生きてきたんだから、何があっても害を与えてはダメだよ。』と教えられていたんだ。その約束を破って死んじまってゴメンって。母ちゃんは天国にいるだろうから。」


オオカミは覚悟を決めた顔でそう願った。


「そんなオオカミ君に朗報でぇす。なんと君に人生をやり直す大大大チャンスがあるんです。上手く出来たら天国行き。聞きたい?聞きたい?」


オオカミは目を輝かせた。さっきまでのしんみりとした空気はどことやらだ。


「もちろんです。次こそ上手くやります。でも何故?」

「君が最後の狼だったからね。最後の一匹となった個体にはこのチャンスを必ず与えているのさ。最後の一匹となってしまった孤独に慈悲をかけてといったところ。」


ポロロロロとウクレレを鳴らした。オオカミには耳障りなその音すら救いの音楽に聞こえた。


「それじゃ頑張ってねぇ。チャンスは3回。あ、でも運命に定められている部分は何をしても変わらないから、ヨロシク!」


パン!と審判者が柏手を1つ打つとオオカミは消えた。

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