第31話

春華ちゃんがいなくなって約2週間経った


「そろそろやばいんじゃね」


山田と臼井さんが休み時間に僕のところに来て話していた


「うん、かなりまずいかもしれない」


「計都くん、本当に何もしてないんだよね?」


「してないよ、本当だよ」


本当に何もしていない、ただ最後の会話が修也先輩に関わってる事だけだった


「計都、お前何か俺達に隠してる?」


山田が妙に鋭かった


「う〜ん、これは言っていいのか分からない」


「大丈夫だよ、聞くよ」


僕は悩んだ、もし仮に話した場合にこの2人にも危険が迫ったらもうどうしようもないからだ


「ちょっと待って、聞いてみるよ」


「誰に?」


「まぁちょっとね」


そのあと昼休みになって修也先輩の所に向かった


「修也先輩いますか?」


僕は修也先輩の教室に行くなりすぐさま呼んだ

先輩は友達と話しながらお昼ご飯を食べていた


「ん?お前か、どうした?」


修也先輩が気づきこっちを見た


「先輩、今いいですか?例の件で話したいことが」


僕がそう言うと


「分かった、今行く」


声のトーンが変わり、修也先輩は友達に一言言ってから僕のところに来た


「場所を変える、、」


「いえ、この場で」


「大丈夫か?」


「はい、今いないですから、2週間」


「に、2週間!?」


修也先輩がビックリして声をあげたらみんなこっちをみてすぐに口を塞いだ


「悪い、2週間てどうゆことだ?」


「分かりません、ただこの件、ある2人に話したいのですがいいですか?」


「ふ〜ん、待ってくれ考えさせてくれ」


修也先輩は考え込んだ


「先輩、春華ちゃんはいなくなる前に僕に修也先輩の事を聞かれたんです」


「なに!?」


「でも僕は言いませんでした」


「なぜだ、なぜ言わなかった」


「それは先輩にもし危険が及んだらどうにもできそうになかったんです」


「そうか、、、分かった、今日の放課後お前の家は空いてるか?」


「はい、空いてます」


「ならよし、そしたら放課後は2人を呼んで俺も含めて4人で話そう、それからだ」


「はい、分かりました」


僕はすぐさま自分の教室に戻り、さっき話した放課後に僕の家で話すことが決まり、山田と臼井さんに言った


そして放課後

4人で僕の家に来て部屋に入った

部屋の中は当たり前のように広くはなく4人で地面に座ればギリギリだった

そして丸くなるように4人座った


「えっと〜、とりあえずどこから話せばいいですかね?」


僕は座るなら修也先輩に聞いた

修也先輩はあぐらをかいて腕を組んでいた


「そうだな、話すべき事はアイツの過去じゃないか?」


「分かりました、んじゃあ山田と臼井さん、今から話すことはしっかりと聞いてね」


僕は山田と臼井さんの方を向いて言った


僕は春華ちゃんから聞いた過去話を重要な部分を話した

春華ちゃんの最初の一目惚れ相手

相手の本性

修也先輩との関係

それぞれ重要な点をまとめつつ話した


「なるほど、春華ちゃんにそんな過去が」


「春華ちゃん、可哀想に」


山田と臼井さんはしんみりしていた


「そして今回いなくなった原因は僕にあるかもしれない」


僕はそのあとに問い詰められた日の事を話した


「う〜ん、まぁそれは分かったがなぜいなくなったかだよな」


山田は腕を組み考えた


「そこなんだよ、どうしてだろう」


僕は立ち上がり窓の外を見た

すると春華ちゃん似た人影が見えた


「春華ちゃん!?」


僕は声を出した


「え!?」


3人が立ち上がった


僕は急いで部屋を出て家を飛び出した


「どこだ、どこにいった」


辺りを見渡した、すると遠くに同じ人影が見えた


「いた!」


僕は走った、3人を置いてただ1人その人影を追いかけるように走った




「追いついた」


僕は息を切らして手を膝についていた

気がつくと見知らぬ公園にいた

公園には僕とその人影がいた


「春華ちゃん、だよね」


人影は振り向いた


春華ちゃんだった


「あ〜あ、やっと気づいてくれた」


「どういうこと?今までどこにいたの?」


「ここはね、私が暴力された場所なの」


春華ちゃんは思い出すかのように言った


「そしてこの先にあの人の家がある、けど今はない」


春華ちゃんは公園の先に指を指した


「そして、、、」


「春華ちゃん!」


僕は遮った


「悪かった、僕が悪かった」


「計都君は悪くない、私が悪かっただけ」


「でも、、、」


僕は俯き拳を握り締めた

すると春華ちゃんが僕の手を握った


「計都君」


僕は顔上げたそこには春華ちゃんがすぐ近くにいた


「春華ちゃん」


春華ちゃんの顔が近くに来た

僕は目を閉じなかった


「私の復讐はまだ果たされてないの、だから計都君に合う彼女にはまだ到底なれない、だから私はまだ戻れない」


春華ちゃんは僕の目の前でそう言って手を離した


「計都君、私はいつまでも君が好きだから」


春華ちゃんはそう言って去っていった

僕はその場に座り込んだ


「、、、」


言葉が出なかった、止めるべきだったはずなのに止められなかった


僕はその場で泣いた、止められたはずなのにまたどこかに行ってしまった

春華ちゃんはとても美人で可愛かった、けどどこか恐怖する部分もあり、僕に対しての愛情が深すぎたのかもしれない、けどそれでも僕は春華ちゃんの過去話を聞いて思った感情が今分かった『助けたい』とゆう感情だった

助け出すことが出来れば今よりは変わると思っていた、しかし僕には出来なかった、その証拠に止めることが出来なかった


何分間泣いたか分からない、ただ僕は泣きやみ立ち上がりフラフラになりながらもなんとか家に着いた

部屋に入ると3人はまだいた


「計都」

「計都くん」

「、、、」


山田と臼井さんは僕を支えてベッドに運んだ


「お前は止められなかったのか?」


修也先輩は僕に聞いた


「はい」


「分かった、帰るぞ」


修也先輩は立って山田と臼井さんに帰ると言った


「はい」

「分かりました」


「お前は少し休め、あとは俺達がどうにかできるか分からんが考えとく、じゃあな」


「それじゃあ計都、元気で」

「バイバイ、計都、また学校で」


山田と臼井さんは手を振り部屋を出ていった


僕はそのままベッドに横になった

もう何も考えたくはない

ただ横になりたい

そう思い目を閉じた


僕はその後、学校を何日か休んだ

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