第28話

「計都〜、助けてくれ〜」


文化祭が終わり数日が経った

僕が教室に入ると山田がすがりついてきた


「うわっ、どうした山田」


「今回のテストやばいよ〜」


「あ、そろそろテストか」


山田にテストの事を言われて思い出した

今週末にテストだった


「教えてくれ〜、頼む〜」


「そんな事は臼井さんに頼めば」


「無理無理」


「なんで?」


「恥ずかしいから!」


「は、はは」


僕は苦笑いした


「分かった、とりあえず放課後教える」


「本当か!ありがとう!」


山田は犬みたいに喜んでいた、心做しか尻尾と耳が見える気がするな


「あら、計都くんに山田くん?」


ちょうど臼井さんが教室に入ってきた


「あ、おはよう臼井さん」


「おはよう計都くん」


「お、おはようございます臼井さん」


山田はスグにビシッと姿勢を正して挨拶した


「ふふ、おはよう山田くん」


臼井さんは山田の行動が面白かったのか笑った


「あ、そう言えば臼井さん」


「何かな計都くん」


「コイツに勉強教えてくれませんかね?」


僕は山田を指さした


「あ、計都お前!」


「いいよ」


「ほら、臼井さんだって嫌だって言っ、、いいの?」


「うん、いいよ」


臼井さんはニコニコしていた


「おお、ありがとう」


「それじゃあ放課後ね」


臼井さんは自分の席に座った


「良かったな、山田」


僕も自分の席に座ると既に春華ちゃんが後ろに座っていた


「うお、びっくりした〜、来てたんだ」


「ええ、今さっき」


「ところで春華ちゃんは今日の放課後時間ある?」


「あるよ、どうして?」


「いや、ちょっと山田と臼井さんで勉強しようかな〜、思ってて」


「ん〜、いいよ分かった」


「良かった、ありがとう」


こうして僕と春華ちゃん、山田と臼井さんで放課後4人で勉強することになった


放課後、みんなが帰ったあとにほかの人の机を借りて4つくっつけて勉強していた


「うん、分からん」


山田が第一声を上げた


「どこだ、ああここか、それはこーするといいよ」


僕は隣で山田のノートと教科書を交互に見てやり方を教えていた


「おお、なるほど納得」


山田は理解してスラスラと書き始めた


「ところで計都くんは前回の小テスト何点だったの?」


臼井さんがノートを書いてる手を止めて向かい合わせに座っていた山田を差し置いて隣にいる僕に聞いてきた


「ん?ああ、確か84点かな、まぁまぁ良い方だった」


「へぇ〜、私よりいいじゃん、私なんか76点だったよ」


「臼井さんも良い方じゃないですか」


「春華さんは何点でしたか?」


臼井さんは隣にいた春華ちゃんに聞いた

春華ちゃんは手を止めてニコニコしながら臼井さんに答えた


「私は満点だったよ」


「へぇ〜、凄いですね」


「別に凄くはないわ」


「ぜひ勉強を教えてください!」


「ええ〜、ちょっと困るな〜」


春華ちゃんと臼井さんは仲がいいようだ、前に体育館裏で見た雰囲気とは違く全く別人のようだった


「ちょっ、それよりも俺の事を教えてくれよ!」


山田は2人の会話を遮るようにして会話に入った

僕はその光景を見てとても微笑ましかった

すると、誰かの携帯が鳴った


「ん?誰かの鳴ってるぞ」


山田は聞いた


「あ、私だ」


臼井さんの携帯だった

メールだった


「ごめん、生徒会に呼び出された行かなきゃ」


生徒会からの呼び出しだった、臼井さんは急いで片付けてバッグを持って教室を出ようとした


「ごめんね、山田くん、また明日教えるから」


臼井さんは手を合わせて謝ってから教室を出て生徒会室に向かった


「しょうがないな、けどまた明日教えてもらえるから良かったな」


「うん、なら今日は春華ちゃんに教えてもらう」


山田は春華ちゃんにお願いした、しかし


「嫌!」


春華ちゃんはキッパリと断った


「ええ〜、なんで?」


「私は計都君にしか教えません」


「そう言われたらしょうがないなぁ、そしたら計都!教えてくれ」


「うん、いいよ」


僕が了承したら、いきなり山田のノートを盗られた、犯人は


「やっぱ私が教えます」


春華ちゃんだった、春華ちゃんは山田のノートを素早く取り、再度山田の手元に広げた


「まずここは、、、」


そして山田に勉強を教えた


日が暮れそうな時間になり


「今日はここまで」


春華ちゃんが一通り勉強を教え終わった

山田は


「、、、、」


机に突っ伏したままだった


「おーい、山田」


返事はなかった、ただの屍のようだった


「はっ!!」


すると山田が起き上がった


「うぉ!ビックリした」


「三途の川を渡るところだった」


「そいつはやばいな、帰ってきて良かったな」


山田は夢の中で壮絶な旅をしてきたらしい


「それじゃあ帰りましょうか」


春華ちゃんは片付け始めていた


「うん、そうだね」


僕も片付け始めた


「帰る、おウチに帰る」


山田は今にも死にそうな声で嘆きながら片付けた


その後、春華ちゃんと別れて僕と山田で帰り道を歩いていた


「なぁ、計都」


「ん?なに?」


「お前どうして春華ちゃんに告白したんだ?」


山田が急に聞いてきた


「う〜ん、まぁそれは一目惚れかな」


僕は恥ずかしながら答えた


「ふ〜ん」


「なんだよ、その反応は」


「いや、ただちょっと気になっただけさ」


「何が?」


「ん〜、計都は春華ちゃんの事は本当に好き?」


「え?そりゃ好きだよ」


山田は不思議な事を聞いてきた


「急にどうしたん?」


「いや、なんでもない」


そう言って会話は終わりあとは何も喋らずに別れの挨拶をして帰った


僕は家に帰り山田が言ってきた言葉を思い出した


「本当に好き、かぁ」


春華ちゃんに一目惚れして付き合ってきて、そして修也先輩に春華ちゃんの本当の姿を目撃した、そして春華ちゃんの過去話を聞かされた


僕はそれを見て聞いて、最初に一目惚れした気持ちで今でも本当に好きなのか自分に問いかけた


「好きだけど、、なんだろうなぁこの気持ち」


モヤモヤとは言えない、もどかしさでいっぱいだった、好きなんだけど、嫌いにはなれない

自分の気持ちが右往左往してる

けど春華ちゃんとは一緒にいたい、ただその気持ちだった


「修也先輩に聞いてみようかな」


僕はテストが終わったらに修也先輩に聞くことにした

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る