第25話

文化祭まで1週間きった


僕は放課後、教室内に飾るものなど小物をクラスの男子と作っていた


女子達は最後の仕上げのために被服室で作業をしていた


「よぉ、計都」


「ん?ああ、山田か」


クラスの友達の山田が陽気な感じで話しかけてきた


「どうした?何か用?」


僕は教室内に飾るための折り紙を折っていた


「いや、そこまで大した用じゃないんだが〜」


山田は頬を軽く掻きながら言ってきた


「計都ちょっとこっちに来てくれないか?」


「な、なんだよ」


話すかと思いきや、僕は山田に手を引っ張られてそのまま教室を出て男子トイレに入った


「ここなら言いか」


山田はそう言い僕から手を離した


「いきなりなんだよ、用があるとおもったらいきなりトイレに連れ込むとか」


「悪い!いきなりなんだが聞いてくれ」


「さっさと話してくれ、まだ途中なんだ」


「いや、話ってのは俺、告白しようかと思うんだ」


「へぇ〜、、、ん?本当に?」


僕は疑った、山田は昔は無邪気で元気なヤツで女の子には見向きもしないぐらいに友達と馬鹿みたいにはしゃいでいたからだ、僕もその一人だったけど


「本当だ」


「ちなみに誰?」


「えっと〜、委員長の臼井さん」


クラス委員長の臼井さんは春華ちゃんと違って背が小さく守りたいぐらいの可愛さだったが意外としっかりしておりクラス委員長を務めることになった

僕は山田の告白相手が臼井さんと聞いて唖然とした


「お前、マジで言ってるのか?」


僕は恐る恐る聞いた


「な、なんだよ、悪いかよ」


「いや、山田は告白するタイプじゃないと思ったから」


「それを言ったらお前もじゃね?」


「あ、、」


山田に言い返された、確かに僕も自分から告白した、しかも初日に


「と、とりあえずなんで臼井さんに告白を?」


「それは少し前に話した時に臼井さんの可愛さに惚れちゃって、、」


山田は照れながら話していた


「なるほど、じゃ僕は戻るから」


「ちょっ、待ってそこは手伝ってくれるんじゃないのか?」


「僕はド直球で言ったよ、だったら山田も直接言えば?」


正直、僕は告白する時はドキドキしたがしないよりはマシだ、と思ったから思いきって言った


「え?無理無理、絶対に無理」


「なんで?」


「だって、恥ずかしいじゃん」


山田からまさかの言葉だった


「はぁ?」


僕は呆れたと言うより意味が分からなかった、あの山田が恥ずかしいと言ったのが初めてだったからだ


「だから手伝ってくれ」


山田は両手を合わせて僕に頭を下げてきた

僕は頼まれたら断れないタイプだったのと親友の山田の頼みは断れないと思い手伝うことにした


「わかった、具体的になにをすればいい?」


「ありがとう!具体的には文化祭に一緒に回れればいいかなと思ってる」


「それだけ?」


「それだけ」


「あとは?」


「ない」


山田は計画を立てたつもりだったのか分からないが全くの無計画に近かった


「お前、本当に告白する気あるの?」


「あるある」


「文化祭の最後の日に告白するのはどうだ?」


「そうだな、そうしよう」


文化祭は土日の二日開催だったため日曜日の最後に告白することになった


「そしたら僕は見守っとく?」


「う〜ん、そしたら頼むわ」


「わかった、臼井さんの当番は土曜日だから僕達も土曜日にしよう、そして日曜日に回るってのはどうだ?」


「それでいこう」


文化祭当日はクラス内で土曜日の午前、午後、日曜日の午前、午後の4つに分かれていてクラス委員長は土曜日と日曜日に分かれていた

そして僕と山田は土曜日の午後のグループに入ろうと計画した


「ところで春華ちゃんはどうなんだ?」


山田が聞いてきた


「ああ、前に聞いたら土曜日の午後だってさ」


「なんだ一緒かぁ」


「なんだとはなんだ」


「いや、本当に仲がいいんだなって思っただけさ」


「まぁね、けど春華ちゃんのことは確かに好きだけど時々見る怖い側面的なところもあるからちょっとね」


僕は前に見た体育館裏の出来事や、そのあとの教室の出来事が脳裏に浮かんだ、そしてあの女子生徒の事も


「はは、なんだよそれ、別にいいじゃん春華ちゃん、美人なんだから」


「そうだね、さて教室に戻ろうか」


「そうだな、そろそろ戻らないと怒られるからな」


山田はそう言ってトイレから出て僕もあとからついて行き、戻りつつも軽く話しながら戻った

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