第23話

「とりあえず、あの子の親と相談した結果、文化祭でウチのクラスの出し物は出せることになった、親の話ではあの子は文化祭を楽しみにしていたそうだ、出し物は委員長に任せる、それと計都はこのあと職員室に来てくれ」


次の日の朝の時間に担任の先生は女子生徒の親と昨日話したらしく、親はクラスの子には楽しんでもらいたいとの事で出し物する事になった

クラスの委員長男女2人が先生と入れ替わるようにして黒板の前に立った、しかし僕はクラス委員長が話す前に先生のあとについていった



「失礼します」


先生が職員室にはいり、そのあと僕もはいった

そしてこの前と同じそのまま会議室に入った


「今日はすぐ終わる話だ」


先生は立ったまま話し始めた


「やっぱあの子の事ですか?」


「まぁ、そうだな」


「親から手紙を預かった、これは計都に渡すように言われたらしいからな、本当は渡そうか迷った」


先生は内ポケットから手紙を取り出して僕に渡した


「どうしてですか?」


「本当は渡さずに見ようと思った、そこに自殺に追い込んだ犯人が書かれてるかもしれないかと思って」


「それは、、」


「うん、俺は一教師だ、そこはさすがにいけないことだと確信した、だから見てない、計都に渡す、その内容がもし犯人が書かれているのであれば言うのは計都の自由だ、俺はその手紙については目を瞑る、本当は言ってほしいがこの時期だ、これ以上大事には出来ない、そういうわけだ」


先生はそう言って会議室から出た

僕は手紙を開けて読んだ


『計都君へ

この手紙をもし読んでいるならば私はもういないでしょう、あのあと帰り道で春華ちゃんと会ったの、そこでその日のことを全て話して、そして春華ちゃんはこう言ったの「〇〇〇」と、でなければ「〇〇〇」と言ってきて私は怖くなった、そしてこの手紙を残したの、けどこの事は誰にも話さないで計都君なら理由は分かってるはずだと思うから』


手紙にはそう書かれていた


「分からない」


僕は手紙の最後の部分が理解が出来なかった


「どうして話しちゃいけないんだ」


この手紙を話せばすぐに終わると思っていた、しかしこの女子生徒の手紙の内容を優先して他の人には話さない事にした、しかし最後の部分がなぜ僕に理解できると言ったのかが分からなかった


「クソっ」


不思議と僕は怒りが込み上げてきた、あの子の事をもう少し話していれば、あの子の事を春華ちゃんにちゃんと説明していれば、こんな事にはならなかったはずなのに、と


気持ちを整理してから僕は教室に戻った

すでに授業が始まっていた


「すみません、担任の先生と話していました」


「分かった、座っていいぞ」


僕は授業をしていた先生に担任の先生に呼び出されたことを言った


「計都君、ウチのクラスの出し物は喫茶店に決まったよ」


春華ちゃんがうしろから声をかけてきた

先生は黒板に向かっていたので僕は軽く顔を後ろに向けつつ話した


「え?早くない?僕がいないあいだに?」


「うん、なんか多数決でほとんどが喫茶店に手を挙げたの、だから決まった」


「へぇ、案外決まるもんなんだな」


僕はその後春華ちゃんから出し物の事を軽く聞いた


放課後になり僕は春華ちゃんに聞いた


「春華ちゃん」


「ん?なぁに?」


「春華ちゃんは、、、」


僕が質問しようとした瞬間


「お〜い計都、今日空いてるか?」


クラスの友達が声をかけてきた


「え?」


「いや〜、今日は他の奴が色々と用事があって俺だけなんだよなぁ〜、一緒に帰ろうぜ〜って春華がいたか、すまん気づかなかった、しゃーない俺は一人で帰るかぁ」


友達は一人でべらべらと喋ってから帰っていった


「なんか嵐みたいだったな」


「うん、驚いた、計都君凄い友達もってるのね」


「やめてくれ、確かにアイツはあーゆー感じだけどかなりいい奴だから」


僕は笑いながら言った


「ところで計都君、話ってのは?さっきいいかけてたけど」


「あー、それはね、ごめん忘れた」


僕は忘れていなかったけど、さっきの友達のおかげで少し考える事が出来た、今は話すべき事でははい、と


「なーんだ、てっきり別れ話かと思った」


「そ、そんなわけないじゃん」


「もし」


春華ちゃんが近づいてきた


「もし?」


「別れる、と言ったら」


春華ちゃんの手は僕の首を触った


「殺しちゃうかも」


「!?」


僕は背筋が凍った、その春華ちゃんの一言は静かにも言ったにも関わらず声は重く、空気は凍った感じに陥った


「嘘嘘、そんなわけないじゃん、計都君大好き」


春華ちゃんは笑って僕に抱きついた


「あ、ははは、嘘かぁ安心した」


本当に安心した、しかしもし本当に別れると言ったら本当に殺されると思った瞬間だった

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