第16話

月日は流れて私達が東堂先輩の事はもう忘れかけていようとした時に起きた


授業も終わり帰る準備をしていた時


「七海はいるか?」


廊下からななちゃんを呼ぶ声が聞こえた

ななちゃんを呼んでいたのは東堂先輩だった


「はい、なんでしょう?」


ななちゃんは恐る恐る東堂先輩に向かった


「ちょっとついてきてくれ」


ななちゃんと東堂先輩はそのままどこかに向かった、私は胸騒ぎがしたのであとから気づかれずについて行った


着いた先は体育館の倉庫だった

そして二人は話し始めた

会話の内容はよく聞き取れなかった


しかし、数分経ったあとに二人の様子が変化した

その後から声が大きくなったが全ては聞き取れないままだった


「……だから言ってるだろ!違うんだって!……」


「…違わない!………」


そんな会話が続いたあとに東堂先輩はななちゃんの腕を掴んだ、そしてそのまま押し倒した


私はすぐに止めに入った


『ちょっと!何やってるの!』


東堂先輩は振り向いて私の方を見た


「あれ?佐藤さん、お久しぶり」


東堂先輩はそう言いながら立ち上がり私の目の前に来た


『先輩何をしてるんですか?』


私は東堂先輩の目を見て言った


「いや、ただ俺は七海とまた付き合いたいと思って話していただけだよ」


東堂先輩は笑って話していたがななちゃんを見ると怯えた表情をしていたからすぐにそんな話じゃないと分かった


『先輩もう一度聞きます、何を話していたんですか?』


「だからぁ、、、」


東堂先輩が同じことを言うと思った、しかし次は私の耳元に顔をよせて言った


「今ここでの事は見逃してくれないか?君は俺に借りがあるでしょ?」


東堂先輩が言ってきた、借りとは私がこの前に東堂先輩の家に泊まらせてもらった事だと思う


『それは、、、』


私は考えた、確かに借りはあるけど今はどちらを優先すべきか考えた


『それは、、、できません』


「え?」


予想外な答えだったのか東堂先輩は気の抜けた声が出た


『ほら、帰るよななちゃん』


私はななちゃんの所に行って起き上がらせてその場を立ち去ろうとした


「佐藤さん、まさか君は、、、」


『東堂先輩、もう私達には絶対に近づかないでください、それとこの前は助けてくれたのは感謝しています、しかし最近ある話を聞いて先輩を信じられなくなりました、すみません失礼します』


私はそう言ってななちゃんとその場から離れた


教室に戻り私はななちゃんに聞いた


『東堂先輩と何を話したの?』


「もう一度付き合いたいて言われたんだけど、そのあとに先輩の事を話し始めてあの前に鏡花先輩と話した事を聞かれたの」


『それって?』


「うん、もしかしたら私達が会ったことは知ってるかもしれない」


『気をつけた方がいいかもしれないね』


「うん」


その後からは二人で帰るようにした


数日間は何事もなかったがある時、ななちゃんがクラスの用事で私は先に帰っていた帰り道


「佐藤さん」


突然、声をかけてきた


『だれ?』


振り返るとそこには東堂先輩がいた


『先輩?』


「佐藤さん、今日は話があるんだけどいいかな?」


『話ですか?』


「そう、すぐに終わる話だよ」


『すぐに終わるなら聞きますよ』


「良かった、なら単刀直入で聞くね」


『はい、なんでしょう』


私は唾を飲んだ、何を聞かれるか分からなかったがもしかしたら聞くのはあのことだとおもった


「佐藤さん、俺の何を知ってるの?」


予想通りの質問だった


『なんのことでしょう』


私はシラを切った


「ははっ、嘘はダメだよ」


『嘘?嘘は言ってないですよ私は本当に何も知らないです』


「なら聞くよ、これは誰と話していたの?」


東堂先輩はそう言って写真を見せてきた


そこには写っていたのは喫茶店の中にいた私とななちゃんと鏡花さんがいた


『それが、どうかしたのですか?盗撮ですか?』


「いや、違うよ鏡花さんがなぜ一緒にいたのかが聞きたい、どうしていたの?」


『……』


私は黙った


「何を聞いたのかな?」


東堂先輩が近づいてきた瞬間に私は走り出した


「あっ、、」


私はまずいと思った、無我夢中で家に帰った


家に着いてすぐに電話をした


『鏡花先輩!』


鏡花さんに電話をした


「やっぱり電話してきたのね、するとは思った」


鏡花さんは落ち着いた声だった


『やっぱり、てことは』


「私の所にも来たわ、けどすぐに帰った」


『どうすればいいですか?』


「そうね、とりあえず逃げることだけを最優先に考えて、なんとかするから」


『それしかないんですかね?私に何かできることがあればいいんですけど』


「私達はもう少しで卒業するからそれまで我慢をすれば大丈夫だと思うのだからそれまでの辛抱よ」


『はい、分かりました』


「それで七海さんは?」


『あっ!』


私は思い出した、クラスの事でまだ学校にいたこと、すぐに鏡花さん別れを言わずに受話器を置いて学校に向かった


『まずい!間に合って』

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