第6話

夏休みが終わり二学期が始まった


俺はダルいと思いつつ高校に向かっていた


正門に着くと春華ちゃんが立っていた


「あ、おはよー!」


春華ちゃんは俺を見て手を振ってこっちに近づいてきた


「春華ちゃんおはよ、ふぁ〜」


「むっ、計都君起きなきゃダメだよ!」


「いてっ!」


春華ちゃんは俺の顔を両手で挟むように叩いてきた


「もう夏休みが終わったんだからしっかりしなきゃ」


春華ちゃんはそのまま俺の顔を両手で抑えて言ってきた


「ふぁい」


俺は腑抜けた返事をした


「さ、行こ」


春華ちゃんは俺の手を握って歩き出した


「りょ〜かい」


俺は引っ張られながら返事をした


「ん?」


その時、俺は視線を感じた


「どうしたの?」


春華ちゃんが振り向いて聞いてきた


「いや、なんか視線を感じた」


俺は春華ちゃんにそう言って周りを見渡したが周りはみんな高校の正門から入っていって俺をずっと視線を送る人は見られなかった


「ん〜?気のせいかな?」


俺は首を傾げた


「計都君寝ぼけてる?」


春華ちゃんが聞いてきた


「え?いやいや違うよ、確かに感じたんだ」


「やっぱ寝ぼけてるね、顔を洗いに行こうか」


「ちょっ、本当だってば」


俺はそのまま春華ちゃんに引っ張られて行った


昼休み


「本当だってば」


昼休みになり俺は椅子を反対に向けて春華ちゃんの机の上で弁当を広げて、春華ちゃんもお弁当を持ってきて一緒に食べていた


「まだ言ってる、計都君はま〜だ寝ぼけてるの?」


「いやいや、だからさぁ…」


「ちょっといいかな?」


俺の言葉が途中で遮られた

その遮った人物は俺達の横に立っていた


「はい?」


俺は横を見た

そこにはでメガネを掛けて髪はショートカットの女子生徒だった


「えっと、、計都君これ読んでください」


恥ずかしそうに女子生徒は頭を下げて俺に手紙を渡してきた


「あ、ああ」


俺はそのまま受け取った

すると女子生徒はそのまま俺の目線の先の窓際の席に戻りお弁当を食べ始めた、その顔は少し赤くなっていた


「ん?何だったんだ?」


俺はそのまま手紙を開け読んだ


[今日の放課後、教室で待っていてください、話があります]


の一文だけだった


「え?なになに?」


春華ちゃんが渡された手紙を覗いてきたがすぐに閉じた


「ちょっ!なによ!閉じないでよ」


「べ、別にいいじゃん、そこまで大したことは書いてなかったから」


俺は焦りながら必死に言い訳をした


「ま、いいや」


春華ちゃんはそのまま興味を無くしたようにまた弁当を食べ始めた


「あ、そうだ計都君」


春華ちゃんは思い出したかのように俺に言ってきた


「ん?」


俺は手紙を自分のバッグにしまって聞いた


「今日ね、私は予定があるから放課後先に帰るから」


「ああ、、」


俺はタイミングがいいなと思った


「あ!今なにか余計な事を考えた?」


「え?いやいや考えてないよ」


一瞬ビックリしたまさか俺のココロのなかを読まれてると思ったからだ


放課後


春華ちゃんは先に帰った

そして俺はそのままみんなが帰るまで席に座って待った

横を見ると昼休みに手紙を渡してきた女子生徒も少しモジモジしつつも待っていた


そして二人っきりになった


「…」


「…」


俺と女子生徒は無言だった


「えっと…」


俺が立ち上がり女子生徒に近づいた


「あ、あの!」


女子生徒も立ち上がり俺の方を向いた


「つつつつ、付き合ってください!」


女子生徒はテンパりつつ頭を下げて言ってきた


「へぁ?」


俺は間抜けな声を出してしまった


「だ、ダメ、ですか?」


女子生徒は見上げた、その顔は少し涙目だった


「ちょっっと、考えさせて」


俺は女子生徒は反対の方向を向いて頭を抱えて悩んだ


『待て待て待て、なぜイキナリ?なぜこのタイミング?なぜだ?それに俺と春華ちゃんが付き合っているのは周りは知っている人もいるかもしれないがこの子は知っているのか?いやでも昼休みに一緒にお弁当食べていたんだぞ、普通にあの場所で渡すか?……』


俺は頭をフル回転させて考えた


「あの、ダメでしたら、いいですよ別に、それに私は分かっていて渡しました、だから答えは分かっています、ごめんなさい」


女子生徒は俺が頭を抱えて考えているところに言ってきた


『知っていて渡しに来たのかぁぁーー!』


俺は驚愕した

そして振り返り


「ごめん、君とは付き合えない、僕には春華ちゃんがいるから」


俺はそういった

すると


「ですよね、これで私はスッキリ出来ました、ありがとうございます」


女子生徒はその場から立ち去った、その時女子生徒は涙を流していた


「悪いことしたな、でも俺と春華ちゃんが付き合ってるのを知って渡してきたんだよなー、なんとも言えない、、帰るか」


俺は自分の机に置いたバッグを持って教室から出た

そしてそのまま何事もなく家に着いた

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