「39*天武天皇と神々の話」の神社
熱田神宮
愛知県名古屋市/式内名神大社/尾張国三宮/旧官幣大社
四方拝の1社。四方拝は毎年元旦(元日早朝)に宮中で天皇が天地四方の神祇を拝する儀式。
草薙剣を神体とする熱田大神を祀る。天照大神と同神、または倭建命(ヤマトタケル)と同神といわれる。東征後、倭建命は妻の宮簀媛命に草薙剣を預け、伊吹山神の征討で死んでしまう。熱田神宮は草薙剣を祀るために建てたといわれる。
神剣が納められた神社ながら、記紀神話に創建由来は書かれてない。また、熱田宮旧紀で、正殿に天照大神などの5柱、土用殿に草薙剣の神(熱田大神)を祀ってる。1893年に、やっと草薙剣の神が正殿の主祭神となる。尾張氏の祖神は天火明命のため、祀られてる剣は佩刀という説もある。
記紀神話で、倭建命は草薙剣を草薙神社(静岡県静岡市/式内小社/旧県社/祭神:日本武尊)に奉じた。社伝に、のちに天武天皇が熱田神宮に遷したと伝える。
宮簀媛命の兄の建稲種命は東征軍の副将を務めた。その軍功、または尾張氏の壬申の乱の軍功で、熱田神宮を任せられ、以後後裔が宮司を務めた。伊勢神宮に次ぐ権威のある神社となり、天皇の外戚の尾張氏は畿内に勢力を広げる。
尾張氏は、謎の多い氏族のひとつ。后妃供給氏族。海部氏(籠神社の宮司家)、津守氏(住吉大社の宮司家)は同族といわれる。皇子時代の天武天皇へ援助、壬申の乱の戦功などで、美濃国、飛騨国を経て尾張国造となり、熱田神宮の宮司となる。宮司は、現在は藤原氏。嫡子はいたが、神託で祭祀を婿養子に譲り、尾張氏は歴史からいなくなる。
高座結御子神社
愛知県名古屋市/式内名神大社
熱田神宮の境外摂社。熱田七社のひとつ。創建は天武天皇の命で、熱田神宮と同時といわれる。高蔵地域の鎮守神、尾張氏の祖神・高倉下命を祀る。続日本後紀で、高座結御子神社の祭神は熱田大神の子神・高座結御子神と伝える。本来の祭神は不明。熱田神宮の境外摂社は、尾張氏の領地拡大に伴い、領地となった神社が摂社として組み込まれたため。
尾張氏の祖神は天火明命と天香山命。尾張戸神社に祀られてる。天火明命は、旧事本紀で天照国照彦火明櫛玉饒速日命といい、饒速日命と同神。その子神が天香山命。天香山命は降りた後に高倉下命と名のる。
天火明命の12世孫の建稲種命は、倭建命(ヤマトタケル)の東征軍の副将軍を務め、妹は倭建命に娶られたため、熱田大神を倭建命、高座結御子神を倭建命の子の14代仲哀天皇という説もある。
尾張戸神社
愛知県名古屋市・瀬戸市/式内小社/旧郷社
東谷山の山頂(市境)に鎮座。熱田の奥の院といわれる。天火明命、天香山命、建稲種命を祀る。建稲種命の妹・宮簀媛命が創建。かつて熱田神宮に次ぐ大社で、名古屋城の鬼門にあり、尾張徳川家の信仰が篤かったといわれる。
武神彼氏と神社を巡る wawon_novel @wawon_novel
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