「37*神が天香具山で見る夢」の神社
紀三所社
静火神社
和歌山県和歌山市/式内名神大社/旧村社
紀三所社の1社。紀三所社は、和歌山市にある式内名神大社の静火神社、伊達神社、志磨神社(旧社県社)の3社の総称。住吉大社神代記で、住吉大社摂社の船玉神社が皇別紀氏の祖神であり、3社の本社と伝える。船玉は船の守り神・船霊で、航海安全や豊漁を司る神。
現在は竈山神社の境外摂社。静火大神を祀り、祭祀は竈山神社とともに鵜飼家が務める。静火大神は船灯の篝火の神・火結神といわれる。
大和国と大陸を結ぶ航路は瀬戸内海、紀伊水道を通り、東漢氏の枝氏・紀氏の治める紀ノ川を遡るルートであったが、難波津が整い、西漢氏の枝氏・津氏の治める難波津を通り、大和川を遡るルートに代わる。やがて紀三所社は廃れる。
龍王神社
和歌山県日高郡
海神(龍神)の豊玉彦神、岬神の猿田彦神を祀る。紀伊水道の難所、竜王崎の断崖に航海安全の祈願社として建てられた。境内のアコウの巨樹は亜熱帯性の植物で、樹齢は350年。絞め殺しの木といわれ、多樹の表面を枝葉で覆い育つ。和歌山県日高郡は、郡内に志賀の地名があり、また、沙雙神社があり、安曇族、出雲族と深く関わる。アメリカ村もある。
天香山神社
奈良県橿原市/式内大社・論社/旧村社
式内社・天香山坐櫛眞命神社の論社。畝傍山、耳成山とともに大和三山と呼ばれる香久(香具)山の北麓にあり、櫛眞命(櫛眞知命)を祀る。旧称は大魔戸乃神社。本殿後方に三枚の屏風のような巨石があり、磐座信仰と考えられる。櫛眞知命は卜占を司る神。もうひとつの論社は頂にあり、国常立命を祀る国常立神社。
香久山は天から降りた山といい、天香久山という。国見の山であり、雨乞い、日乞いを行う山、卜占で神意を伺う山。また、香久山の金で国懸大神の神体の日矛を作り、鉄(くろがね)で日前大神と天照大神の神体の日鏡を作ったといわれる。宮崎県西臼杵郡高千穂町も天香具山がある。
香久山の北方に月の誕生石と呼ばれる巨石がある。月が生まれた石という。
畝尾都多本神社
奈良県橿原市/式内小社/旧村社
香久山の北西麓にあり、泣沢神社(啼澤神社/哭沢神社)といい、泣沢女神(啼澤女命/哭沢女命)を祀る。井戸が神体。イザナミが火神カガヒコを産んで死んだとき、悲しむイザナギの涙から生まれた神。延命の神、命乞いの神。泣き女の神格化。
桧隈女王
奈良時代の皇族で、出自は不明。高市皇子の死に、泣沢女神に延命を祈ったが、甦らなかった。泣沢女神を恨む和歌がある。桧隈女王は高市皇子の娘、または母という説もある。
高市皇子
天武天皇の長子で、大和国高市郡で育つ。皇位は嫡子の草壁皇子、大津皇子に次ぐ。天智天皇の実子で、天武天皇の養子となった説もあり、天武天皇死後、草壁皇子、大津皇子は早生。次代天皇も目されたが、次代を継いだのは持統天皇。キトラ古墳、または高松塚古墳は高市皇子の墓所と言われる。妹の十市皇女と恋愛関係にあったといわれる。十市皇女は天武天皇の子で、天武天皇が討った天智天皇の子・大友皇子(弘文天皇)の正妃。
飛鳥神社(五郷飛鳥神社)
三重県南牟婁郡/
飛鳥村(熊野市飛鳥町)に建ち、古伝に、大野御子が阿須賀神社の分霊を受けて建てたと伝える。明治時代の神社合祀前は、周辺に5社の飛鳥神社があった。祭神は事代主命、若宮大神、不明一座。事代主命と若宮大神は合祀のため、本来の祭神は不明。
阿須賀神社
和歌山県新宮市阿須賀/村社
熊野速玉大社の境外摂社。蓬莱山を神体とする自然崇拝の祭祀場といわれる。事解男命と熊野大神(熊野速玉大神・熊野夫須美大神・家津美御子大神)を祀る。摂社の阿須賀稲荷神社は天狐、地狐、人狐の三狐神を祀り、元は御饌神(稲荷神/食物神)といわれる。境内に弥生時代の遺跡がみられ、原・熊野信仰の発祥地といわれる。熊野権現御垂迹縁起で、熊野大神は、豊前国、伊予国、淡路国、紀伊国と渡り、神倉神社に降りた。阿須賀の森(阿須賀神社)に遷り、熊野大神のうち家津美御子はさらに北の石淵の谷(貴袮谷神社)に遷ったが、結速玉(夫須美と速玉)の二神は阿須賀の森に留まった。家津美御子は熊野川上流の熊野本宮大社に遷り、結速玉は熊野新宮大社に遷ったと伝える。
また、秦の始皇帝に仕える道教方士・徐福が不老不死の神薬を求めてきたという伝承があり、徐福の宮がある。
事解男命(泉津事解之男)は、約束、契約を固めるため、唾を吐く。イザナギとイザナミの絶縁の約束で現れたため、絶縁の神といわれる。唾に生じた神が速玉男命。掃きはらって生じた神が事解之男。約束、契約を固める神と、状況を終わらせる神と考えられる。速玉男命は、熊野速玉神社の速玉神と同神という説もある。熊野神社など、イザナミと合わせ祀られる神社が多いが、熊野信仰と異なる神と考えられる。
貴袮谷神社
三重県南牟婁郡/
熊野権現御垂迹縁起の伝える北の石淵の谷を貴祢谷と称し、熊野大神の分霊を祀る。
烏止野神社
三重県南牟婁郡
熊野三山を統べる熊野別当家(新宮別当家)のながれで、かつて当社周辺を治めた烏止野氏(鵜殿氏)の本拠地に建つ。祖神・饒速日命を祀る。熊野速玉大社の御船祭で、当社の氏子総代が神船の先導役を務める。近所に本宮と言われる大上神社がある。
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