第2話 わいわいなこおり

 ワイワイな氷



「おじいちゃん、それ前にも聞いたよ」


「そうか、じゃ覚えてるか?」


「もう絵も描けるよ」



 手首の機械で青を選んで空をなぞれば、コップにカクカクコロコロした氷が入った氷水が描かれる。



「浮かんでる!?」


「絵だからね?」


「こぼれないのか」


「大丈夫」


「飲めないのか?」


「飲めるわけないでしょ」


「性悪な水だな」



 むすっとして見つめるおじいちゃん。

 隣を歩く子もむすっとする。



「こおりの話でしょう」


「そうそう、そうだった」


「冷たくなるんでしょう」


「そう」


「べろにくっつくんでしょう」


「そのままだとね」


「夏にいっぱい使うんでしょう」


「コーヒーもジュースも飲むからね」


「いつも作ってたんでしょう」


「水入れるだけだけどね」


「ワイワイな氷はジュースでしょう」



 そこでだいだい色や紫色の氷が絵に追加される。



「カラフルな色になるようにね、友だちが喜ぶんだ」


「作っても作ってもなくなるんでしょう」


「友だちや家族分一気に減るからね」


「むぎちゃも作ってみんなに出すんでしょう」


「みんな飲みたいからね」


「嫌だったんでしょう」


「そうかもしれない」


「だからもうなくなったからね」


「そう?」


「もう夏になっても作らなくていいからね」


「そうか?」



 そして絵は消えた。




「そうだ、俺が小さい頃な、小さな鳥を飼っていて」


「ちいさなとり?」


「そうそう、ことり」


「聞いたことないよ、おじいちゃん!」


「そうかそうか!」


「聞かせてよ、おじいちゃん」


「よし!」


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