第4話 迷走

 修行を始めて二週間が経過しようとしていた。修行をしつつ弱い魔を倒し、少し戦闘に安心感を持てるようになったころ、現実では色々なことが起こっていた。

 まず一つ目は、夏休みに入ったことであった。鬱陶しい梅雨も去り、快晴が続く良い日和であった。そしてそれに関連してもう一つ。


「もー、早く起きて!」


 二つ目は、日向宅の隣人トラブルであった。


「ちょっと、あんたいつまで寝てるのよ!」

「えぇ~良いじゃん休みなんだから~」


 このやり取りが数日前から続いてた。そして毎回このやり取りで陽平は目を覚ましていた。


「ふぁ~あ。また喧嘩してるな」


 …………。

 数日前、ちょうど夏休みに入って二日目だった。修行を終えて帰宅した陽平は、自宅でテレビを見ながらそうめんを食べていた時、いきなり外から大きな物音がしたのだ。


「ぼっ、ゲホ。あぶねー、そうめん出るところだった。ったくなんだ?」


 陽平は物音にビビり、食事の手を止めた。

 バンバンバン。バンバンバン。

 どうやらドアを叩いている音のようだ。陽平は気になり玄関のドアを開け、共通廊下に顔を出した。するとそこには、


「おねーちゃん! おねーちゃん!」


 夜中に大きな声を上げる、傍若無人な少女がいた。


「あ、あの。もう深夜なんすけど?」

「あ、すみませ……」


 赤い髪をツインテールにした少女は陽平のほうを見ると、顎を微かに振るわせ始めた。少女は陽平の金髪オールバックを見て、自分の過ちを悔いていたのだった。


「あ、あの、あの。ほ、本当にご迷惑おかけしました!」


 少女は深く頭を下げた。


「ちょ、だから大きな声出すなって」


 陽平は見た目にそぐわぬ小さい声で少女をなだめる。

 ……。少女は黙り込み、ずっと頭を下げたままでいる。陽平はと言うと、年下が大の苦手でその場で固まってしまう。すると当然ぎこちない空気となってしまった。


「あ、えと、インターホン押してみたらどうかな?」


 陽平は黙り込んだ少女に提案をしてみた。すると少女は黙ってインターホンを押した。しかし隣の穂村さんが出てくる気配は無かった。


「……ちゃん」

「ん、どうした?」

「おねぇーちゃん! 助げでぇ!」

「えぇぇぇ! なんでなんで、静かにしてって言ったよね!?」


 陽平は少女の気持ちを鎮めようと近くによる。


「ぎゃああ! 殺されるぅ!」


 するとその声で、千亜希はようやくドアを開けた。


「どうしたの!?」


 勢いよく開けたドアが陽平に直撃する。


「ぶはっ」

「あわわ、すみません!」


 千亜希は謝りながら、すぐに陽平のもとに寄った。


「大丈夫です。ちょっと横っ腹にドアノブが入っただけです……」


 陽平は左わき腹を抑えながら、今できる満面の笑みを浮かべた。しかしそれは苦悶の表情にしか見えなかった。


「大丈夫じゃないですよ! 手当てします!」


 そう言うと千亜希は陽平に肩を貸し、自宅に連れ入った。少女はそのあとに続き、穂村宅に入り、ドアを閉めた。


 …………。


「あんた言うことあるでしょ?」


 千亜希は陽平の手当てを済ませると、少女を正座させて説教を始めた。


「私悪くないし……」

「はぁ、またそれ……。彼はお隣の日向陽平くん。真面目な高校生よ」

「え、その頭で高校行ってんの?」

「わりーかよ」

「だってそんなの見たらどこかの組の人に見えるじゃん!」

「そういうこと言わないの! ほら、まずは謝りなさい」

「はいはい。どうもすみませんでした」


 陽平が高校生と分かると、少女の態度は一変した。


「なんで素直に謝れないのかな……。本当にすみませんでした」


 千亜希は陽平の方に向き直ると、少女の代わりに頭を下げ、非礼を詫びた。


「良いんですよ。ちゃんと謝ってくれましたし」

「ほら、こいつも良いって言ってるし、私は寝るから。おやす~」


 少女はすくりと立ち上がると、居間に置いてあるソファにダイブした。


「あの子、私の妹なんです。穂村千夏ほむらちなつって言うんですけど、今年で中学三年生で私が大学一年生なので、四つ離れているんです。どう接したらいいか分からなくて……」


 千亜希は切実に悩みを打ち明けた。しかし陽平には兄妹がいるわけでもなく、千亜希の悩みに答えられるはずは無かった。


「あ、えと。俺も年下が苦手なんです。えっとだから、その気持ちわかります」

「そっか……。ウフフ、ありがとね。いきなり変なこと言ってごめんなさい」

「あ、いえいえ。俺でよければいくらでも助けになりますよ! いっつつ」

「あ、大丈夫? 今日はもう帰ってゆっくり休んで」

「はい、ありがとうございました。痛みもだいぶ和らいできました」

「良かった。歩ける?」

「はい、全然余裕です!」


 陽平は軽くストレッチをして見せた。


「ウフフ、良かった。でも一応、肩を貸すわ」

「あ、ありがとうございます!」


 陽平はその言葉に甘え、千亜希の肩を借りた。日向宅まで送ってもらうと、千亜希は再び頭を下げて、「おやすみなさい」と小声で言った。


 …………。そして今に至る。


「分かったよ! そんなに言うなら出ていくよ……。結局お姉ちゃんも一緒なんだ」


 バタン!

 千夏はドアを強く閉め、階段を速いテンポで下っていった。その音は陽平の耳まで届いていた。


「ちょっくら様子見て来るか」


 陽平は体を起こし、穂村宅のインターホンを押した。


「はい……?」


 千亜希は元気なく顔を出した。


「あ、どうも。ちょっと聞こえちゃって……」

「そうよね……。上がって」


 千亜希はそう言うと家の中に入っていった。陽平はドアが閉まる前に手で支え、自分が入れるほどまでドアを開けた。


「お邪魔します」


 陽平は先日お世話になった突き当りの部屋まで歩き、千亜希の姿を探した。


「ソファあたりに座ってて~」


 千亜希の声が奥からする。


「はい!」


 陽平は返事をし、言われたソファに腰かけた。


「はいどうぞ」


 千亜希は氷と麦茶をいっぱいに注いだグラスをテーブルに置いた。


「あ、どうもです」

「ごめんね、毎朝うるさくて」

「いえ、そんなことないですよ。現に父は起きていないですし」

「あら、本当? ウフフ、日向さんは眠りが深いのね」

「ハハハ、親父は寝起きも悪いんで困ったもんですよ」


 陽平は必死に千亜希の気を紛らわせようとしたが、千亜希の表情は曇ったままであった。


「えと、探しに行ってきましょうか?」

「いいのよ、どうせ夜には帰ってくるわ。どっちかの家にはね」

「どっちかって……」

「私の実家、結構近くなのよ。電車で二駅しか無くて。でも家に居たくなくて一人暮らしを始めたの……」

「そ、そうだったんですか……」

「本当は妹も連れて行くつもりだったの、でも私は大学があるし、あっちは中学校がある。さらに二人分の食費が数時間のアルバイトで稼げるとも思えないし……」

「……。俺、探してきます!」


 陽平は千亜希の寂しそうな、悔しそうな顔を見ると、居ても立っても居られなかった。


「私も……」


 千亜希も行こうと陽平の後を追おうとするが、千亜希は出かけた言葉を飲み込んだ。


「大学、夏休みでもあるんですね?」

「あ、えっと……。丁度今日だけ……」

「俺が行ってきますよ。どうせ用事もないんで!」


 陽平はそう言うと、千亜希に返答の隙も与えず、アパートを飛び出して行った。


「ありがと……」


 千亜希は閉まるドアに向かって囁いた。


 …………。


「はぁはぁはぁ、ったくどこ行ったんだ……」


 陽平は数時間町を走って回ったが、それらしい影は見当たらなかった。


「しゃーねぇ、もやもやするけど一旦帰るか」


 陽平は捜査を切り上げて、一旦帰宅することにした。夏空は沈んだにも関わらず、明るさが残っていた。それでも刻は既に六時を回っており、陽平の腹も空き始めていた。陽平はコンビニに寄り、父と自分の弁当を買うと、足早に帰宅した。


「ただいま~」

「おう、お帰り~」


 父はこの時間は起きて現世の仕事をしている。と言っても詳しく話を聞くと、狭戸家に雇われ、現世に出てきてしまった魔の事件について調べているだけらしい。


「ったく、それで金出してくれる幸蔵さんもすげぇよな」

「俺もよく知らねーんだよ。誰にも言えねー事情があんだろ、あいつにも」

「そうだよな! 俺にだって親父にだってあるもんな」

「お前あんの? 俺はねーけど」

「え、ねーの?」

「ったりめーよ。あるわけねーだろ」


 光平はそう言うと席を立ち、トイレに入った。陽平はそれを見送ると、席についてそばを啜った。

 食事中に今日あったことを光平に告げた陽平は、今夜の修行を休みたいと申し出た。しかし光平はそれを許さなかった。


「なんでだよ?」

「今お前に必要なのは人助けじゃねぇからだ」


 陽平はその言葉に言い返すことが出来なかった。それは光平の言っていることが正しかったからである。人助けをするために、陽平は強くならなくてはならないのだ。


「ちっ、分かったよ」


 陽平は逃げるように自室に籠った。光平は閉まった扉を数秒見つめると、ため息をついて外出した。


 ……。陽平はいつも通りに夕寝をすると、いつも通りの時間に目を覚ました。すっかりこの習慣が身についていた。

 少し寝ぼけながらリビングに出ると、そこには光平と兎鞠がいた。


「おう、起きたか」

「ふぅ、おはよ」

「あ、えーっと、おはよう、ございます」

「あたし、下に越してきたから、よろしくね。ふぅ」

「下!? 俺らの部屋の……」

「そう、真下よ」

「ハ、ハハハ。よろしくっす」

「後、こいつには保健室の教師になってもらう。いろいろ訳ありでな。幸蔵が手を回してくれたから、安心してくれ」

「え、何が安心なの!? この人ちゃんと治療できるの!?」

「ふぅ、いやぁね。女の子ならちゃんと見るわよ」

「ほら言わんこっちゃない!」

「まぁまぁ、落ち着けって。こいつにはちゃんと学生を見張るって任務付きだ」

「あんまり派手な行動取らなければ良いけどな……」

「ふぅ、なんか言った?」

「いえ、何でもないです~」

「っしゃ、今日も行きますか。夏休みだけど気ー抜くなよ」

「たりめーよ」


 こうして三人は修行のために家を出た。

 鉄でできたアパートの階段を下り、共通玄関に着く、頭だけだして左右を確認し、安全を確保してから道に出る。


「事故に遭ってから慎重になったな」

「あぁ、もう御免だぜ」

「そりゃいてーもんな」

「随分近場で事故に遭ったのね。ふぅ」

「あぁ、あん時は驚いたぜ」

「俺の方が驚いたっての」


 三人が陽平の事故話をしていると、小さな人影が右方向に走っているのが陽平に見えた。


「今の見たか?」


 陽平は何気なく二人に聞いた。


「何がだよ。早く行くぞ」

「ふぅ、何も見てないわよ」

「そうか……。ちょっと知り合いに似てたもんだから」

「そうか、んじゃあちょっくら見て来いよ」

「良いのか!?」

「あぁ、どうせ昼間言ってた探してる子だろ」

「親父……。さんきゅ!」


 陽平は父に感謝を述べるとすぐにその影を追って、アパートを出てすぐ右に曲がり、最初の角をまた右に曲がって消えていった。


「兎鞠、陽平のこと追ってくれ」

「ふぅ、分かってるよ」


 兎鞠はタバコを一本だし、ライターで火を点けると口にくわえた。右手をポケットに突っ込み、ヒールを鳴らしながら最初の角を曲がっていった。光平は兎鞠が曲がるのを確認すると学校に向かって歩き始めた。

 陽平は道なりに進み、若者が集まる大通りに出た。特に名称が決まっているわけでは無いが、商店街の人たちは「魔道」と呼んでいた。深い理由は無く、ただ客がとられたという意味でそう呼んでいるらしいのだ。


「はぁはぁ、確かにこっちに走って行ったんだけどな……」


 陽平は大通りの中核あたりに出ると、左右を見回した。すると背後から足音が聞こえてくる。


「後ろ?」


 陽平はその音に振り返ると、そこには兎鞠がいた。


「ふぅ、目当ての子はいたかい?」

「げ、兎鞠さん」

「げ、ってなによ」

「あ、いえ、来てたんですね」

「ふぅ、あんたの監視係よ」

「な、なるほど。ハ、ハハハ」


 陽平が苦笑をしていると、道路を挟んだ向こう側に小さな人影が見えた。人影は左から走ってくると、ちょうど陽平の目の前に建っている鏡屋に入っていった。


「おいおい、あの店入るやついるのかよ」

「ふぅ、意外と需要があるのかもよ」


 二人がそのあとを追おうと道路に出ようとしたとき、今度は右側から人影が二影。それはなんと先ほど鏡屋に入ったはずの千夏であった。そしてその後に続くのは、姉の千亜希であった。


「え、お、なんだ!?」


 陽平は分かりやすく取り乱した。


「ふぅ、どうしたの? 走っているのは女の人だけ……」


 そこまで言うと兎鞠は口を止めた。そして再び口を開いた。


「ふぅ、走っているのは二人?」

「あぁ、一人はさっき店に入っていった子と同じ子だ」

「なるほどね……」


 そして陽平の目に映る姉妹は順に目の前の鏡屋に入っていく。


「あいつらも鏡屋行くのかよ!?」

「ふぅ、先に言っておくわね」


 兎鞠は徐に話始めた。


「貴方が見た小さい子って言うのは、魔の前兆よ。魔の前兆は顔見知りにしか見えないの。だからさっき私には女性が一人走って鏡屋に入っていく姿しか見えていないわ。ふぅ」

「ってことは……、早く行かねーと!」


 陽平はガードレールをジャンプで乗り越える。


「待ちな。車、来てるよ」


 陽平はその声で立ち止まり、ギリギリ車に撥ねられずに済んだ。


「あっぶね~」

「こっちの世界じゃ普通に死ぬんだからね。二度目は無いよ」


 兎鞠もガードレールを乗り越えると、少なくも通っている車に気をつけながら道路を渡る。そしてガードレールを乗り越えると、鏡屋の前に立った。


「もうあっち側に行っちまってるかな?」

「えぇ、恐らくね。ただ、あの子を追ってあの女性もこの店に入っているとしたら……」


 兎鞠は一人ごとのように呟いた。

 陽平は既に鏡屋のドアノブに手を掛け、開けようとしていた。


「ふぅ、親父さんには報告しなくていいの?」

「……早く行かねーと死んじまうかもしれねーだろ」


 陽平の声は突然暗くなる。


「ふぅ、そうね。とりあえずは思念世界に入って、向こうの世界で合流しましょうか」


 陽平はそれに答えるように頷くと、鏡屋のドアを開けた。

 ガチャ。と言う音が鳴ると、ドアは唸りをあげながら開いていく。店主は少し前に失踪してしまい、施錠はされていないようであった。


「お邪魔しま~す」


 小声で一応挨拶をしながら店内に入っていく。店自体は広くなく。入って少し歩くとすぐに会計があり、その道すがらに手鏡やら壁掛け鏡やらが置いてある。そして入り口からすぐ右にある螺旋階段を上がり、二階に辿り着くと大きな鏡が何枚か展示してある。陽平と兎鞠は迷わず二階に上がって行く。


「千夏……? どこに行ったの?」


 二階に上がると、そこにはへたれ込んでいる千亜希がいた。


「大丈夫ですか!?」


 陽平はすぐに駆け寄った。しかし陽平の声は届いていないようであった。


「ふぅ、この子、仲間?」

「いえ、違います……」

「なんで貴方にしか見えないはずの妹がこの子にも見えていたのかしらね……。素質があるのかもしれないわ……」


 兎鞠はそう呟きながら一本の注射を取り出した。


「おい、何するつもりだよ。彼女はただの隣人だぞ!?」


 しかし兎鞠は取り出した注射を持って千亜希に近づいて行く。


「ちょ、ちょっと――」

「そこのお姉さん、妹を助けたいならこれを使いなさい。ただしあなたは死ぬことになるわ」


 陽平と兎鞠は千亜希の返答を待った。


「……それで私は……変われるの?」


 千亜希は鏡に向かい項垂れながら答えた。


「ふぅ、それはあなた次第ね。それじゃあ私たちは、妹さんの後を追わないと行けないから」


 兎鞠はそう言うと、千亜希の前に注射とミサンガを置き、鏡の中に消えていった。


「えっと、それ、打たなくても良いですからね!」


 陽平は千亜希にかける言葉が見つからなかった。その場の空気に耐えられず、陽平も兎鞠の後に続き思念世界へと入っていく。

 ブォォォォン。


「あの子、どうだった。ふぅ」

「何も言いませんでした」

「そう、それじゃ行くわよ」

「あ、は、はい!」


 兎鞠と陽平は鏡屋を出ると、ひとまず大通りを探索し始めた。


「ぱっと見、いなさそうっすね」

「ふぅ、そうね。学校側も調べようかしら」


 兎鞠と陽平は道路を渡り、アパート付近まで歩いた。


「今日はやけに静かですね」

「ふぅ、そうね。あのおチビちゃんはどこに行ったのやら……」


 ――そんな話をしていると、突然学校方面で大きな爆発が起きた。


「なんだ今のは!?」

「ふぅ、急ぐわよ!」


 珍しく兎鞠はその足を速めた。陽平は歩きなれた通学路を走り、高校へ急いだ。

 商店街が見えてくると、陽平と兎鞠は左に曲がり、高校を視野に捉えた。すると校門前に人影が見えた。


「大丈夫か~!」


 陽平は叫びながらその影に向かった。近づくにつれその影は鮮明になり、正体が分かった。それは光平と雪月であった。


「親父がやられたのか!?」

「ふぅ、珍しいわね。なにか事情がありそう……」


 陽平と兎鞠が二人のもとに到着すると、雪月が妖術を使って光平を治癒していた。


「はぁはぁ、どうしたの狭戸さん!?」

「あ、陽平くん。実は、その……」


 雪月は事情を話そうとするが、なかなかそれ以上先に会話を進めようとしない。


「ふぅ、なにがあったの?」


 兎鞠の本気トーンに雪月は苦い顔をして、現状を話始めた。


「私たちがこっちに来ると、光平さんがいきなり校庭に走って出て行ってしまって、それを追いかけていたら大きな爆発があって、校庭に着いたら光平さんはもう……」

「勇仁は!?」

「今、敵を探しに行ってます……」


 ――すると下駄箱で大きな爆発が起きた。


「また爆発!?」


 爆発で起きた煙の中を人影がこっちに向かって歩いてくる。


「ゴホゴホ! クッソ、校内じゃ狭すぎる」


 煙の中から出てきたのは勇仁であった。


「大丈夫か!?」

「あぁ、大怪我はしていない!」


 勇仁は小走りに陽平らと合流した。


「親父がやられるくらいの強い魔者まものなのか?」

「いや、本来なら光平さんが一番相性が良いはずだ、能力だけなら……」


 そう言うと勇仁は黒煙のほうを指差した。


「あれは……、女?」


 黒煙の中から姿を現したのは、黒く艶やかな長い髪に、モナ・リザのような美しい顔をした女性であった。そして印象に残ったのは左目の下にある泣きぼくろであった。


「あぁそうだ、敵は女だ。しかし奴は理性がある」

「りせい……。意識があって俺らを攻撃してきてるのか?」

「あぁ、そう言うことだ」

「ふぅ、なるほどね……。敵が分かった上に光平が攻撃できなかった理由も分かったわ」

「マジか!?」

「でも、あなたには言えないわ、ふぅ、大人の事情でね」


 兎鞠はそう言うと、太ももに差しているエアガンを抜いた。


「戦うんですか!?」

「ふぅ、当たり前でしょ。あいつは魔に操られているんじゃなく、魔を操っているんだから」

「は、どういうことだ?」

「な、なるほど……既に包囲されているってことですね」


 黒煙から出てくる女性に気を取られていると、すでに前方の校庭と、背後の道路から挟み撃ちにされていた。


【グルルルル】

【グルァァァァ】

「ふぅ、面倒だね。あんたらは道路側の片付けときな。あたしは少し確かめたいことがあるから」


 兎鞠はズボンの左ポケットからタバコを取り出すと、弾倉に息を吹き込み、校庭の敵を攻撃し始めた。


「兎鞠さんの言った通りだ。今は光平さんの治療が先だ。俺と貴様で退路を切り開くぞ!」

「お、おう。俺に魔を制する力を!」

「貴様は左だ!」

「おう、任せときな!」


 勇仁は右、陽平は左に行き、それぞれの神具を振るう。


「でぇぇや!」


 陽平は兎鞠との特訓で、自分の磁気範囲を理解するまでに至り、戦闘力は格段に上がっていた。


「クソ、キリがないな……。これで!」


 勇仁は左掌を地面につき、雑魚たちの足元を凍らせた。


「よし、これでこっちは当分来ないはずだ。陽平! そっちの道を切り開け!」

「よし来た! いっくぜぇえ!」


 陽平は商店街に続く道に向かって走り始めた。高速移動で敵を翻弄し、一体二体と敵をなぎ倒していく。


「そろそろ行けるか!?」

「あぁ! 光平さんは俺と狭戸様で担ぐ、お前は追ってくる敵を倒してくれ!」

「任せとけ!」


 陽平が切り裂いた道を勇仁と雪月が光平に肩を貸し、日向宅に向かって歩いて行く。そしてようやく商店街前まで来たところで、


「行けそうか!?」

「あぁ、貴様は兎鞠さんの援護に行け! 俺も後から行く!」

「分かった!」


 陽平は勇仁と雪月の後を追う魔を数体退けると、再び学校に戻った。


「兎鞠さん……何か知っているみたいだったよな……」


 陽平は兎鞠を救うため、光平が負けた真実を知るために走り出した。


「兎鞠さん!」

「あら、来たのね。ふぅ」


 兎鞠はこの短時間で相当な爆破を食らったようであった。


「大丈夫ですか? その、だいぶ黒くなってますけど……」


 兎鞠が愛着している白衣は真っ黒になっていた。


「えぇ、大丈夫よ。ただまったく近づけないわ。ふぅ、めんどくさい」


 女は黒煙の前から動かず、ただ両手を宙に舞わせている。


「あの手の動きに何かあるんですかね……」

「ふぅ、分からないわ。でも一つ分かっていることは、あれが千恵子ってことよ」

「ち、千恵子って……」

「えぇ、恐らくね。ただ――」

「俺が止めます。止めて話を聞きます」

「ちょっと待ちなさ……。ふぅ」

「くっそぉぉぉぉ!」


 陽平はマチェーテを両手に構え、真っすぐ千恵子らしき人物に向かって行く。


「くふ、くふふふ。惨めな子ね……」


 千恵子らしき人物は、両手を口の前に持ってくると、天に掌を向け、掌に息を吹き始めた。

「何やってんだ……」


 ――その姿に目を奪われていると、陽平の耳元で、チリチリ。と言う音が鳴った。すると次の瞬間には、陽平の横顔を引っ叩くように小さな爆発が起きた。


「どわぁ!」


 陽平は自分の左真横での爆発で、右方向に吹っ飛んだ。


「ふぅ、しっかりしな。あたしもさっきからあれで近づけなくてね」

「なんなんだよアレ!」

「ふぅ、落ち着きなさいよ」


 兎鞠は陽平を引っ張り、物陰まで逃れた。


「まずは対策を練らないとね……」

「でもどうやって……」

「あたしが気を引くから、あんたが高速移動でちゃちゃっとで良いかしら?」

「だいぶ雑だな! まぁそれでやってみますよ」

「ふぅ、それじゃ行くわよ」


 兎鞠は白衣のポケットから別のタバコを取り出すと、右ポケットから別のカートリッジを出し、エアガンをリロードした。


「まずは私が行くわ。ついてきてね」


 兎鞠は勢いよく飛び出すと、早速相手に向かって空気弾を放った。弾は標的に近づくにつれ、だんだん火球となっていく。


「そんなものが当たるとでも? くふふ」


 陽平はそれを木陰から窺っていた。

 弾が着弾する瞬間、女は陽平側に回避をした。もちろん陽平はそれを見逃さなかった。陽平は隠れている場所からマチェーテを投げ、それが相手に当たる寸前に能力を発動する。

 ――高速で女の横に移動した陽平は、空中でマチェーテを掴み、そのまま切りかかった。


「きゃあ! ……なんて言わないわよ?」


 女は読んでいたかのように陽平をいなし、後ろに回避して黒煙の中に消えていった。


「クソ!」


 陽平は着地をすると、今度は左手のマチェーテを黒煙の中に放り込んだ。


「また瞬間移動まがいかしら?」

「へへ、残念だったな」


 マチェーテは校舎の壁に刺さり、陽平が左手をかざすと、マチェーテと陽平の左手を繋ぐように水色の線が浮かび上がる。


「きゃあああ!」

「へへへ、当たったみてーだな。兎鞠さん!」

「ふぅ、分かってるわよ」


 陽平に気を取られていた女は、左に隠れていた兎鞠に気づいていなかった。そして兎鞠は先ほどと同様に炎の球を撃った。

 しかし、陽平と兎鞠も気づいていなかった。彼らの周りにはすでに罠が張られていたことに。ジリジリ――

 校庭には再び大きな爆発音が鳴り響いた。二人を囲むように謎の大爆発が起き、二人は大ダメージを負った。


「ゲホゴホ、クッソ何が起きたんだ……。兎鞠さんは?」


 陽平はすぐさま左側を見ると、兎鞠は気絶して木陰に倒れていた。陽平は自分の身と兎鞠の身を守るために、再び木陰に隠れた。


「兎鞠さん? 大丈夫ですよね?」


 いくら呼びかけようと兎鞠の意識は帰ってこない。


「なんでこんな時に親父は……。いや、親父はじゃねぇ、俺がやらねーと!」


 陽平は兎鞠を木陰に寝かせ、広がった黒煙に目を凝らした。しかし何も見えず、それどころか人の気配すら感じなくなっていた。


「なんだ、逃げたのか……?」


 チリチリ。


「またか!?」


 陽平はすぐさま兎鞠を担ぎ、校門付近の一本桜まで退避した。


「結局ここまで戻されちまった……」


 ドン!

 先ほどまで陽平がいたところに小さな爆発が起きた。


「やっぱりなにかあるはずだ……」


 陽平はそう分かっていても、正体不明の力にその一歩が踏み出せずにいた。

 そして数分間無音のにらみ合いが続いた。黒煙は徐々に薄れていき、薄っすらと人影が見えるようになってきた。


「まだいる……。しかもまた意味不明な動きをしている……。さっぱり分かんねー」


 陽平がしり込みしていると、校門に一人の人影が見えた。


「は、勇仁か?」


 しかし勇仁とは思えないほどの長い青髪、くびれた腰に長い脚、そしてキレイな佇まい。


「おいおい、嘘だろ……」


 そこに立っていたのは千亜希であった。


「注射を打っちまったのか」


 千亜希は陽平の気配に気づき、ゆっくり近づいてくる。


「陽平くん、ここは現実なの?」


 千亜希はこの世界のことを全く理解できていない。しかし陽平が単純に説明できるほど簡単な世界でもない。陽平はあたふたした。


「ふぅ、接種したのね?」


 その時丁度、兎鞠が気絶から目覚めた。


「とりあえずあたしたちは今、とても危険な状態なの、出来ればあなたの能力で――」

「ちょっと何言ってるんですか? 変な注射を突然渡して、それを使えば妹を助けられるなんて……。嘘ですよね?」

「嘘なんかじゃないわ、ふぅ、でもその口ぶりからして注射は打ったのよね?」

「……だって、だって妹、千夏を救いたいもの!」

「その意気よ……。ちょっとしたイメージをして……、狐と、炎よ」

「狐と、炎……」


 千亜希は言われた通りにその二つをイメージした。すると千亜希のお尻からしっぽが伸び、頭にはあからさまなケモミミが生えてきた。


「めっちゃ可愛い……」

「ちょ、ちょっと。これなんなんですか!?」


 千亜希が焦るのとは裏腹に、変化はドンドン進んでいく、耳としっぽは炎を纏い、狐を擬人化したようになっていき、終いには千亜希の周りには青白い炎が飛び交っていた。


「あわわ。なんですかこれ~」

「あなたが打った注射には、あたしが研究で育てた狐の血が入っていたわ。ふぅ、最初から妹の魔が見える、そして今の自分に満足していない。そんなあなたにはピッタリだと思ったのよ」

「え、ちょっと、そんなこと聞いてないですよ~!」

「そうね……、これでどう? 妹を本当に助けたければ、黒煙の中にいる女を倒さなきゃいけない」

「本当に、本当に妹を救えるんですか?」

「ふぅ、これは夢だもの」

「夢……。これは、夢」

「ふぅ、そうよ。だからあなたがイメージすれば、どんなことだって出来るわ」

「私が思えば……私は何にでもなれる」

「そ、そうですよ! 俺も手伝いますから!」

「分かったわ。私やります。これは夢だもの」

「そうだ千亜希さん。手に巻いているミサンガは、絶対に切られないようにしてくださいね?」

「それがこの夢から覚めないルールなのね!? 私頑張るわ!」


 意外と乗ってきてしまった千亜希に、陽平はただただ驚いていた。兎鞠は満足げに笑うと、陽平の手から抜け、木に腰を預けた。


「ふぅ、今日はとりあえず、私が言うものをイメージして戦って。いい?」

「はい! えっと……お姉さん!」

「は、え、ちょっと。お姉さんだなんてぇ~。照れる~」


 これでも抑えていた方だったが、ついに兎鞠特有の女好きが発症してしまった。


「兎鞠さん。早く説明の続きを」


 陽平は兎鞠に耳打ちした。


「あぁ~、キモイな。わかってるよ」

「キモ……」

「ふぅ、そうね~。あなたは蜃気楼が出せるわ。それで相手に幻なんかを見せられる。その幻もあなたの自由よ。そしてあなたは火を出せる。自在に操れて、大きさから早さまで、火なら何でも自由自在。でも火の玉はいっぺんに五個ずつしか出せないわ。ふぅ、とりあえずはこんなところね」

「私は幻が作れて、火が自由に扱える……。でもいっぺんには五個まで……」


 千亜希は兎鞠の洗脳にずぶずぶハマっていく。


「そしてその耳としっぽ。その二つが火を纏い続けていれば、あなたに火は効かないわ。熱くない熱くない。あなたは何者も惑わす焔の狐よ」

「焔の……狐……」


 どうやら兎鞠の洗脳作業は終了したようであった。千亜希は完全に『焔の狐』に入り込んでしまったようである。


「ふぅ、陽平、援護しっかりね」

「は、はい……。これ終わったらちゃんと本当のこと言ってくださいね? 俺にも千亜希さんにも」

「ふぅ、当たり前でしょ。さっさと行きな」


 兎鞠は隙を見計らって攻撃を仕掛けると言い、陽平を送り出した。陽平はマチェーテを握り直し、千亜希とともに校庭のど真ん中に立った。


「これは夢、これは夢……」


 信じ切っているとはいえ、千亜希は興奮状態であった。そしてそれを煽るように女が黒煙から姿を現した。


「そんな弱い娘に何が出来るのかしらね?」


 女が姿を現すと、千亜希の様子が変わった。


「これは、夢、なのよね?」

「え、えぇ。そうですよ」

「これも運命なのかしらね。私の母が相手なんて……」

「母と申しました?」

「えぇ、あれは間違いなく私の母よ」


 陽平はその言葉に戸惑いを隠せなかった。それに気づいた兎鞠は陽平に落ち着くようアイコンタクトをする。しかし陽平はまったく落ち着きを取り戻さない。


「ふぅ……陽平! しっかり相手を見な! 今は目の前の敵に集中しなさい!」


 その掛け声で正気に戻った陽平は、しっかり敵に目を据えた。

 ……しかし陽平も千亜希も動きださない。それは敵も同じことであった。


「ところでなんだけど、この私の周りを浮いている炎はどうすればいいの?」


 千亜希は兎鞠に聞こえないように、陽平に耳打ちする。


「えっと、こう、手でフワッと」


 陽平は、何かを相手に投げつけるようなジェスチャーをして見せる。


「あぁ、なるほど! やってみるね」


 千亜希は掌を軽くポンと叩き、早速行動に移す。周りに飛ぶ火の玉から千亜希は一つを選び、触れないように玉の下に手を添える。そしてそれが動くかどうかを確かめる。……玉は千亜希の右手に合わせ、左右に動く。陽平と千亜希は顔を合わせ、千亜希はそれを対峙する女に投げつけた。

 火の玉はフワフワと相手に近づいて行く。女はその場から動こうとはしない。そして再び口の前に手を広げると、息を吹いた。


「またアレか!」

「何なんですか、アレとは?」

「あの動きの後、なぜか爆発が起きるんだ」

「むぅ~なるほど。とりあえずあの玉を操って、母に似た女に当てればいいんですね?」

「あ、あぁ。簡単に言えばそうなりますね」

「やってみますね」


 千亜希は火の玉に集中を向けた。玉は女の頭上まで昇ると、そのまま女に向かって降下を始める。


「母らしき人の軌道に入らなければ、玉は当たるんじゃないでしょうか。ってことです」

「なるほど……。それは考えつかなかった。いや、考えついても出来なかった。か」


 女は当然頭上の火の玉に気を取られる。陽平はその隙を見逃さなかった。


「今だ!」


 ――陽平は右手のマチェーテを女に向かって投げつけた。女は火の玉を躱そうと一歩後ろに下がる。しかし火の玉はそれ以上降下しない。女が目線を平行線に戻すと、目の前にはマチェーテを振る陽平がいた。


「決まっただろ!」


 陽平の一撃が敵を捉える。女は大きく後ろに飛び、下駄箱付近でうずくまっている。


「決まったみたいですね?」

「はい、やっと一発入りました」

「くふ、くふふふふ。哀れね……。そんなので私が倒せると思ったの?」


 女は砂ぼこりで汚れた程度で、傷は腕にかすり傷が付いただけであった。


「マジかよ……」

「やっぱり私の脳みそが、喧嘩は良くないって思ってるんだわ!」


 千亜希はその場にしゃがみ込む。


「ちょ、ちょっと、とりあえず今は逃げますよ!」


 陽平は千亜希の手を引き、木陰に隠れる兎鞠のもとに駆け付ける。そして二人で兎鞠を担ぐと、鏡屋の方に走り始める。


「逃げるのね? まぁ良いわ。私も魔力が尽きてきたころですからね。それではまた」


 女は黒いワームホールを出すと、その中に消えていった。


「消えちまった……?」

「ふぅ、収穫もあったみたいよ」


 兎鞠はワームホールが消えたところを指さした。そこには気絶した千夏の姿があった。


「千夏!」


 千亜希は千夏のもとに駆け寄る。焦る気持ちを抑え、ゆっくりと千夏を抱きかかえる。


「大丈夫、千夏?」


 しかし千夏の意識は戻らない。


「ふぅ、ひとまず鏡屋に戻りましょ。それまでにいろいろ話すわ」


 兎鞠は陽平を振りほどき、一人で歩き始める。千亜希は千夏を抱きかかえ、四人で鏡屋を目指して歩き始める。

 その道中、兎鞠は先ほどの説明が嘘だったことを正直に告げる。そしてこの世界の仕組みを簡単にまとめ、千亜希に説明した。千亜希は物分かりの良いほうで、世界の仕組みを理解するのは早かった。しかし一刻も早くこの世界から出ようと速足に鏡屋に歩いて行ってしまう。


「注射の話はしないんですか?」

「ふぅ、本人が気にしないんだから良いでしょ?」

「聞かれたら?」

「それは説明するわ。ただ、試作品の一つだからすべてを伝えることは出来ないわ」

「俺にもですか?」

「ふぅ、そうね。アレには見た目そのまま、狐と火を融合した細胞が入っていた。で良いかしら?」

「ハハハ、さっぱりっす」

「ふぅ、だと思った」


 二人は千亜希の背中を追いながら、鏡屋のある大通りまでたどり着いた。


「さぁ、今日は帰ってゆっくり休みましょう」

「ふぅ、そうね。今日は久しぶりに疲れたわ」


 二人は鏡屋の戸を開けた。そこで兎鞠の様子が一変する。


「参ったわね……」

「どうかしたんですか?」

「あのバカ二人に言い忘れたのよ。入ってきた鏡から出ないと、目覚めるのに時間がかかるって……」

「いや、それは前に親父から聞きましたよ?」


 陽平は笑いながら階段を上っていく。


「違うのよ。ふぅ、マズいのは雪月よ」

「え、マズいって何が……」

「現世の彼女、あれは彼女の本当の体じゃないのよ……」

「どういう……ことっすか……」

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