第3話

「なにここ…」

「なにって?」

「体格が違うから危ないんでしょう?高学年どころか、高校生みたいな人達がいるじゃない!」

「みたいな、じゃなくて高校生だよ」

「〜っ!」


落ち着きなよ、と彼女は言う。


「別に決まってるわけじゃないんだけどね、ここは高校生が使うエリア。向こうに小さい子たちがいるでしょ。あそこが小学生が使えるエリア。ただし」


「ただし?」


「勝負に勝ったらね」

彼女はウィンクをしてそう言った。


「すみませーん、試合したいんですけどー」

「え?君達がかい?シュート届く?」

「届きますよー、外からは無理ですけど、この辺からなら…」


そう言って彼女はフリースローラインの少し前からジャンプしてシュートを打った。綺麗な弧を描いてネットが揺れる。


「おぉ…」

小学生と言えど、自分が何年もやっているスポーツだ。彼女の洗練されたシュートフォームに一瞬目を奪われている。


「両手打ちは久しぶりすぎてズレるなぁ…」

彼女が何やら呟いたが聞き取れなかった。


「よし、じゃあやるか。といっても俺達の中じゃ、こいつらが一番若いんだ」

どうやら小学三年生が一番年下らしい。


「こいつらに勝ったら、一時間はこのコート好きに使ってくれていいぜ」


「負けたら?」


「負けたらまた一時間後にきてくれ、勝負したかったらな」


ルールは普通の3on3で10点いれた方の勝ち。

交代はなし。ファールもなし。ただしフェアプレイで。


「とりあえず身長の高いアキちゃんとミーちゃんを入れて、私か、さっちゃん…ってさっちゃん目ギラギラさせすぎ。いいよ、行ってこい。その代わり…、勝て」


うちの初めての試合が始まった。

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