第3話 ~才能~
ドンドンッ! ドンドンッ!
「なんだ……?」
夢も見ずぐっすりと眠っていたようで、目覚まし時計の無いこの世界では、朝起きることは困難であった。そして早速初汰は寝坊をかましたようであった。
「起きていますか? そろそろ行きますよ?」
「悪い! 今起きた!」
初汰は寝起きで出る限りの声で返答する。
「下で待っています。あ、あと変えの洋服も置いておきますね」
「ありがと、着替えたらすぐ行くよ」
初汰はゆらゆらと立ち上がり、ドアの前にたどり着く。ドアを少し開けると、そこには何着か服が置いてあり、初汰はそれを拾い上げると部屋の中に持っていく。その中から気に入った服に着替えると、初汰は急いで階段を下っていく。
「悪い。寝坊した」
「大丈夫ですよ。そんなに遅かったわけではありませんからね」
「ならよかった」
「さぁ、行きましょうか」
「ちょいちょい、俺らだけ?」
「えぇ、そうですよ。いつも襲撃の片づけは私が一人でやっております」
「一人で!? すごいな」
「村の皆様にはお世話になってますので、それに一人の方が都合がいいので」
「なるほど。それが恐らく秘密に関係してるってことか?」
「こほん、行きますよ」
どうやら図星だったようだ。リーアは少し顔を膨れさせて外に出ていく。初汰は少し嬉しそうにリーアの後を追って村に赴いて行く。
昨夜大木をどけたおかげで、二人はスムーズに村まで出ることが出来た。昨日見た木の家や、レンガの家は魔法によって破壊され、おとぎの国は一瞬にして地獄と化していた。
「な、なんだよこれ……」
「これがこの世界の戦争です」
「これを一人でいつも……?」
リーアはその問いには答えず、村の中心、ちょうど井戸があるあたりに突っ立った。
「な、なぁ、何するんだ?」
初汰は井戸の近くに立つリーアに問うが、リーアは答える気が無いのか、いや、まるで初汰の声が聞こえていないようであった。
リーアは両手を胸に重ね、目を瞑ってブツブツと何かを唱え始める。
「我に過去の全盛の記憶を与え、汝に我が生命の一部を授ける……」
然程離れていない初汰には、リーアの呪文がはっきりと最後まで聞こえた。
リーアは眩い光に包まれ、初汰は思わずその光に目を瞑った。
……。少しの間、目を瞑っていても光に包まれているような感覚に陥る。まるで天国にでも来てしまったようだった。初汰は一分ほど目を瞑った。ようやく光が弱まり、瞼を落としている瞳は徐々に闇に飲み込まれていった。初汰はそれから逃れるように目を開ける。
「な、なんだったんだ……。目がチカチカするぞ?」
「ごめんなさい。でもこれで作業はおしまいよ」
初汰はまだチカチカする瞳で辺りを見回した。するとそこに、初汰が村に来た時と何ら変わりない風景が広がっていた。
「さ、さっきまで、村はほとんど全壊だったよな!?」
「……。これが私の秘密の力です。ゴホッゴホッ!」
リーアはせき込み倒れこんでしまう。しかし初汰が咄嗟に彼女を支え、地面にぶつかることは免れた。
「大丈夫かよ?」
「え、えぇ、いつもこんなですよ」
「いつもこんなって……」
リーアの右掌には、真っ赤な血が付いており、口元にもわずかに血が付着していた。
「さぁ、屋敷に戻りましょう……」
リーアは初汰の手から抜け、よろよろと体を左右に揺らしながら屋敷に戻っていく。初汰はすぐにその背中を追い、リーアの横に付く。肩を貸そうか迷っているうちに、二人は屋敷についてしまった。
「今日はありがとう。また今夜、部屋に伺いますね……」
「お、おう……」
リーアは先に屋敷内に入っていく。村人や獅子民に見つからないよう、音をなるべく立てずに階段を上がり、左端の部屋に入っていった。それをただ立ち尽くして見守った初汰も、我に返って自室に戻った。
「なにが起きたんだろ……。あの光に包まれた途端、村が元通りってヤバいだろ。リーアは力って言ってたけど、自分の身を削ってまで使う力なのか……?」
初汰はベッドに寝転がり、あの時の光景を思い出そうと必死に目を瞑る。しかし思い出すのは血を吐き倒れるリーアの姿であった。
「クソ。違うんだよ、俺が思い出したいのはそれじゃないのに……。はぁ、ちょっと寝るか」
初汰はひと眠りしようとリラックスして目を閉じる。すると、
「み、みんなぁ~! 村が、村がまた復興しているぞ!」
外に出た村人が、以前となんら変わりない姿に戻った村を目撃したようであった。そしてここで、村人の口調から、リーアが複数回村を直しているのだと初汰も察した。
「やったわ! また森の精霊様のお力よ!」
「そうだ、そうに違いない!」
村人達は森の精霊様のおかげだと騒ぎだし、獅子民にお礼を伝えると、皆慌てて村に戻っていった。
「ふわぁあ。やかましい人たちだな……。それにしても、なんでリーアはさっきのことをみんなに教えないんだろ。変な宗教が出来そうだぜ」
初汰は寝言のようにそうつぶやき、体を起こした。先ほどの騒ぎですっかり目が覚めてしまったのであった。
「リーアのところに行くか……」
初汰は徐に歩き出し、リーアが入っていった部屋の前に立ち、ドアをノックした。
「リーア、起きてるか?」
「え、えぇ。ゴホゴホ。何でしょうか?」
「あ、いや。どうしてるかなって」
「焦っているんですか?」
「な、なにがだよ?」
「昨夜あなたの力を見てみたいと私が言ったから、気になっているのでは?」
「あ、あぁ。そうだ! そうそう、それだよ」
初汰はリーアが心配で見に来たが、そんなことを素直に言えるほどの男ではなかった。
「ごめんなさい。でももう少し休ませてください。まだ体調が優れなくて」
「お、おう。全然平気だよ。ゆっくり休んでくれ」
初汰はリーアの部屋から離れ、再び自室に戻ろうとする。その途中、ふと頭を過ったのは、村での出来事を獅子民が知っているのか否か。これが気になり初汰は部屋に戻る寸前で歩みを変え、階段を下って会議室に赴く。
「おーい、獅子民のオッサンはいるか?」
「……ん、なんだ?」
会議室の奥で眠っていたようで、寝起きのライオンが会議室の入り口に向かって歩いてくる。
「なんだ、初汰か。町の惨事は見たか?」
「あ、あぁ。ちょっとな。でも村は元通りになったらしいぜ?」
「なんだと? またか……」
「また。って、何か知らないのか?」
「あぁ、いつも私が寝ているときに村が修繕されているのだ」
「ははぁ、なるほど。ま、俺には関係ないか」
「そうだな、しかしこの屋敷に居たいなら、リーアや使用人の手伝いくらいはしてくれ。でなくては村人の反感を買ってしまう」
「俺のことを伝えたのか?」
「あぁ、もちろんだ。今のところは皆快くお前を迎えるそうだ。だから挨拶もしっかりしてくれ」
「ん~、わかった。挨拶と皿洗い程度なら手伝うよ」
「頼んだぞ、戦わないものにはそれくらいしてもらわないとな」
獅子民は後半の言葉をやけに強調して初汰に伝えた。初汰はその言葉を聞き、逃げるように部屋に戻っていった。
「ちっ、なんだよ。俺が戦う理由がどこにあるってんだ」
初汰は愚痴を垂れながらベッドに腰かける。そしてそのままの流れでベッドに寝転がる。
「俺も魔法が使えたらなぁ~。少しは戦う気になれんのにな……」
先ほど獅子民に言われた言葉が引っ掛かり、流石の初汰も少しやる気になっていた。しかし魔法のイメージが全くわかず、頭の中は結局いつも通り、諦める。の文字が浮かんでいた。
「あぁ~やめだやめだ。俺の性に合わね。夜まで寝よ」
初汰はこうしてまた、責任や期待に背を向けて、逃走の一途をたどった。
…………。遠くから声が聞こえる。
「……けて……」
(誰の声だ……。女性っぽいな……)
「たす……けて……。逃げちゃ……ダメ……」
(見たことある髪色、聞いたことある声、あれ、あれはリーアか?)
ぼやける視界には、リーアが映っている。何かに苦しんでいるようだ。初汰は助けようと前に進もうとするが、それに相反しリーアはどんどん遠くに行ってしまう。
(なんだ。追いつけないぞ。こりゃ無理だな……。諦めよう……)
初汰は心の中でそう思った。すると次の瞬間、リーアの影は空中で爆散し、暗闇の中で赤い飛沫があちこちに散る。
(な、なにが起きたんだ?)
初汰はその赤く染まっていく影から目を背け、足元を見る。するとそこには、
「タス……ケテ……?」
リーアの生首が転がっていた。
「ハッ! はぁはぁ、夢か……」
初汰はリーアの生首と目が合うと同時に、一瞬にして夢から覚めた。鼓動は早まっており、息もだいぶ荒くなっている。
「な、なんだ今の夢……。いや、夢……なのか? 妙にリアルだったような……。あぁ、ダメだ! もう考えるな!」
初汰は頭を左右に強く振り、今の夢を忘れようと尽くす。しかしその夢は頭にこびりつき、なかなか落ちない。初汰は諦めて洗面所に向かうことにした。
一階に下り、エントランス右側の、玄関から四番目の一番奥の部屋に入る。そこは洗面所兼脱衣所となっており、部屋の奥には浴室がある。初汰はそこへ行き、洗面台で顔を洗う。
「ッパァ! ふぅ、これで少しは目が覚めたかな?」
「ふふふ~ん。ふんふふふ~ん」
「なんだ?」
顔を洗って意識がしっかりした初汰の耳には、鼻歌が聞こえてくる。歌のする方を見ると、そこは浴室であった。
「げ、誰か入ってたのか……。さっさとずらかろう」
初汰はすぐに部屋を出ていこうとするが、脱衣かごに女性ものの服が入っていることに気が付く。
「これ……、リーアのじゃんっ」
初汰は大声が出るのを抑え、ドキドキと胸を鳴らしながらその服を見る。やはり先ほどリーアが着ていた服である。
「ふんふんふ~ん。ふふふんふ~ん」
リーアは機嫌よく鼻歌を歌っており、こちらの存在にはまったく気付いていない。
「ゴクッ。パンツの色位見てもいいよな……」
初汰はゆっくりと手を服に近づける。おそらくリーアが今日穿いていたパンツが、この服の下に……!
初汰の手が服に触れる寸前であった。服の下に隠してあったブローチが、突然光り始めたのであった。
「んだこれ?」
初汰はそのブローチを取ろうとそれに手を伸ばす。すると、
「誰!?」
先ほどまで上機嫌で歌っていたリーアが、脱衣所の方を向いて声を荒げた。
初汰はその声で浴室の方を見る。するとそこにはリーアの影が映っていたのだが、なぜか胸のあたりだけが燦然としている。
「やっべ、部屋に戻ろっ」
初汰はその光に一瞬目を留めたが、今にもリーアが浴室から出てきそうだったので、急いで部屋に戻っていった。
そしてその覗きから数分後、初汰の部屋にリーアが訪ねてきた。
コンコンコン。
「起きてますか?」
「あ、あぁ。起きてるよ?」
「良かった。今朝言っていた、あなたの力の検証をしに行きませんか?」
「お、おう。今行くよ」
初汰は一瞬浴室でのことを問われるのかと思ったが、そうではなく、今朝話した検証のことでほっとしていた。
「おまたせ、そんでどこ行くんだ?」
「少し村を出て、村に害が及ばない場所に行きましょう」
「んー、なんで?」
「初汰の力が強大だったら村に危害が及ぶでしょ?」
「ははー、なるほどね。それなら村の外に行かないとな」
二人は綺麗に直った村を抜け、橋を下ろして村の外に出る。
「夜分遅くにすみません。少ししたら戻ります!」
「あいよ~、気を付けなよ~!」
リーアは村の門番にそう告げ、村への橋は上がり、二人はそのまま森の中に直進していく。
「やっぱり夜の森は暗いな~」
「そうですね。明かりを付けましょうか」
パチンッ。とリーアが指を鳴らす。すると人差し指の先端に小さな青白い光の玉が生まれる。
「そんなことも出来るのか……」
「これは魔法入門程度ですよ」
「へぇ~、俺も出るかな?」
初汰はリーアに倣って指を鳴らす。パチンッ。いい音が鳴っただけで、初汰の指先に光の玉は現れない。
「ん~、やっぱ無理か……」
「あなたは別世界の人ですからね。違う力があることを信じましょう」
「あ、あぁ。なんか出来ればいいけどな」
その後二人は黙って森を歩き、村がぼんやりと見えるあたりで立ち止まる。
「この辺りで大丈夫でしょう」
「よし、やっとか。さぁ、俺はどんな力が使えるんだ~!」
初汰は現実では味わったことのない興奮を感じていた。
「早速で悪いのだけれど、さっき光の玉が出なかったということは、初汰は魔法を使えないわ」
「え、マジかよ?」
初汰の興奮はあっけなく打ち消される。
「本当よ。あれは魔力。つまりは体力が少しでもあれば出せる初級魔法よ。それすら出なかったということは、初汰に魔法の素質は無かったってことよ」
「マジかよ……。だいぶやる気無くなったわ」
「そう言わないで。魔法が使えないってことは、私達こちらの世界の人とは違う力が使えるってことにもなるのよ?」
「ま、裏を返せばそうなるか……」
初汰はリーアの言葉に流されて、別の力とやらに期待することにした。
「さて、かと言ってやることはないのですが、元の世界で何かやってました?」
「え、やることねぇーの? 元の世界でなんて何もやってなかったよ」
「そうですか……。体術や剣術を習っていたなら特殊な力なんて必要無いと思ったのですが……」
「悪いな、あいにく何も特技はねーよ」
初汰は拗ねて近くの大木に寄り掛かり、腕を組んでリーアを見る。
「何ですか、私を見たってなにも変わらないですよ?」
初汰は黙ってリーアを見ていた。顔。と言うよりは、服に付いたブローチと首にかけたネックレスを観察していた。
「あの、どこ見てるんですか?」
リーアはいやらしい視線を感じたのか、両手を胸の前で組み、少し体を横に傾ける。
「あ、いや。珍しいブローチだなって思ってたんだけど、異世界じゃ普通なのかなって」
「ややこしいことを考えていたんですね。これは母の形見です。これを残して母は消えてしまったんです」
リーアは少し悲しそうな顔をして、服に付けているブローチを握る。
「あ、ごめん。思い出させるつもりじゃ」
「いえ、大丈夫です。私がこうして思い出さなければ、母が本当にこの世から消えてしまいそうな気がしているので、時々ブローチを握って思い出していますから」
「そっか……」
場の空気は明らかに重くなった。そしてそこに冷たい夜の風が吹く。
「おぉ、寒い。もう帰るか?」
「力は良いのですか?」
「いいよ。どうせ俺には何も出来ないから」
初汰は自分の無力を鼻で笑いながら、村に向かって歩き始める。リーアもそれに続いて村に戻ろうとした時であった。
「おいおい、夜にこんなところで何やってるんだぁ!?」
リーアの背後にある大木の陰から、フードを被った細身の男が現れた。
「あなたは一人でしょう? ここは穏便に見逃してもらえませんか?」
「いいぞぉ。なんて言うと思ったかぁ!?」
男は体を低くして、リーアに向かって突進する。
リーアはそれを咄嗟に躱し、細身の男は初汰とリーアの真ん中に立つ形となった。
「おいおい、やめろよ。暗いし寒いし、また今度にしようぜ」
初汰は頭を掻きながら男を説得する。しかし、
「あぁ!? 雑魚は黙ってろや! 待てよ、そうだなぁ、その女を俺に渡せば、お前を見逃してやってもいいぜぇ?」
「マジか。どうしよっかな~」
「ちっ、だりぃなぁ。これ見ればすぐに引き下がってくれるかぁ?」
男は被っているフードに手をかけ、徐々に手を引いて行く。緑色の髪が見え、鋭く目つきの悪い瞳、良いとは言えない歯並びに、妙に長い舌をチロつかせている。
「うえ、何だお前。気持ち悪」
「ほぉ、逃げないのかぁ? ならこれでどうかなぁ?」
男はそう言うと、フード付きの服を脱ぎ、それを地面に落とす。そしてアンダーアーマーのような服一枚になると、徐々に透明になっていく。
「な、これも魔法か?」
「いいえ、こいつはキメラです!」
リーアが奥からそう伝える。そしてそのやり取りの後、男は完璧に透明となり、二人の視界に映らなくなる。
「これはマズい感じか?」
「えぇ、恐らく」
止まっていても埒が明かないと思った初汰は、背後にある大木に背中を預ける。
「リーア! 君も木のある所まで下がるんだ!」
「分かりました! 初汰も気を付けて!」
「おう、分かってる――」
初汰がリーアに答えた瞬間であった。初汰は透明になった男から、思い切り腹にパンチを入れられる。
「ぐはっ!」
初汰はその場に倒れこみ、土下座状態になって必死に息をする。
「はぁはぁ。く……そ……」
「雑魚が調子に乗るからそうなるんだぜぇ!?」
姿は無く、声だけが初汰の周りを飛び回る。
「やっぱり俺は……何も……出来ないのか……?」
「なんだなんだぁ。こいつは本当に雑魚だったなぁ。そんじゃ、あの女は貰って行っちまおうかなぁ」
ザッザッザッ。男の足音がリーアに向かって行くのが分かる。しかし初汰は息が苦しく追うことが出来ない。
「クソ……こうなるなら……やっぱ死ぬべきだった……」
初汰は諦めて地面に目を落とす。するとその時、
「きゃぁ!」
「さてとぉ、まずはこのネックレスから頂こうかなぁ?」
男は透明のままリーアの首を絞め、宙に浮かす。
「たす……けて……」
「リーア!?」
リーアが助けを求める声がする。初汰はその声に反応して顔をあげる。そして初汰は一瞬にして気が付く、そう、この光景は……ここに来る前に屋敷で見た夢に酷似していることに。
「あんな雑魚に何が出来るってんだぁ? さっさとネックレスを渡せぇ!」
リーアは苦しそうに息をし、必死に男の手を振りほどこうと暴れている。しかし男にその攻撃はまったく通用しない。
「クソ……もしあれが正夢にでもなったら……。いや、そんなこと考えてる場合じゃねぇ。とにかく助けなきゃ!」
初汰は自分の周りを見回した。とりあえず何かを投げ、相手の気をこっちに向けようと考えたのである。すると手頃な木の枝が落ちていた。
「よし、これで……」
初汰は目一杯手を伸ばし、ギリギリその木の枝を握る。すると、握った木の枝が閃光のように煌く。
「うお、なんだ!?」
初汰は咄嗟に目を逸らす。そして光が消えるとすぐ、右手に握った木の枝を見る。するとそこには、先ほど握った木の枝と同じほどの長さをした、鉄の剣を握っていた。
「ど、どうなってんだ!?」
「今の光は何だぁ!?」
男は閃光に驚いたことにより、リーアから手を離し、透明状態も解除される。
「おい雑魚ぉ。それはなんだぁ?」
「へ、へへへ。見れば分かるだろ。鉄の剣だよ」
「チッ、生意気だなぁ。どっから出したか知らねぇがぁ。その理由を知る必要もねぇ、お前はここで死ぬんだからなぁ!?」
男は透明にならず、標的を初汰に変える。
「へへ、俺もよく分かんねーけど、とりあえず作戦成功だな……」
初汰は左手で腹を抑えながら、剣を持った右手を前に構えた。
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