31話文学青年

次は「走れメロス」でも制覇しようかな。


文学青年とまではいかないが、


やや目覚めつつありそうだ。


終了を告げるチャイムが鳴る。


お馴染みの放送があったが、


今日の放送担当は彼女じゃない。


別の女子のようだ。


「お待たせ敬君」


急いできたのか、息乱れて、髪も乱れていた。


「おい!やめろよ。その呼び方。まだ図書委員もいるだろうが」


と彼女に言ってやりたい気持ちはヤマヤマだったのだが、


ここまで来てくれた女子に対してそんな酷いことは言えない。


まあ、そんな彼女が、


今度はどこに、


連れて来たがっているのか、


楽しみにしている僕なのであった。



同じ時刻でもあの神社の時よりは夏ということもあってか幾分明るかった。


彼女の足取りもいつも通り軽やかだった。


そしていつものように彼女の後ろをすたすたとついていく僕なのであった。


着いた先は丘の上の公園だった。


そこは公園とは名がつくが、遊具なんてものはない。


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