とおせんぼ

 ポッケには アメ玉一つ

 スマホは邪魔なだけ

 時間なんかに縛られたくないから 時計もいらない

 電車にのって ぼくは止まらない

 どんなに 楽しくなくたって ぼくは進むよ


 いつもの景色を飛ばして まだ見ぬ光に身を置きたい

 だからこの 黄色と黒の 看板も

 ぼくには何の 邪魔になる? とおせんぼなんて しないでほしいな

 すすむ 進め どんどんすすめ

 気の遠くなる距離を歩いて 自分の行くべきところを見つけるんだ


 もう日が暮れる 足元はぬかるんでいるけど

 脚にはまっかな血が 流れ続けるから

 止まらないと そう決めたんだ

 前 前……前 前を目指す


 でもこの風景 何かを思い出す 

 きっと君の笑顔?

 ずるいじゃないか

 だって昨日は真反対 


 一度思えばあとはずっとまとわりつく

 この夜景も 

 きみと君がいるところのぬくもりを思えば 無景

 前へ歩きたいのに 記憶と感覚がとおせんぼ

 ひどいじゃないか ここまで来たのに  

 ……帰りたい


 電車に揺られて

 夜に照らされた アメ玉一つ

 結局ぼくは 何を目指せばいいんだろう? どこに行けば正解なのか?

 ひょっとすれば 君と二人で――

 一人じゃたどり着けないのか

 電車にいくら揺られても


 には

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