灰色の部屋


 灰色で 雑多で

 濁って 卑怯で


 その全てが 灰に染まる部屋に

 引き出しひとつ

 引き出しにはアメ はぐれもの

 またはいつか見つけた ギザ十


 あの灰のような綿ぼこりは どんな味がするだろう?


 窓外

 ストレッサーのセミの鳴く音

 八雲立ち 色は灰そのもの

 曇天が憂いをかき立て 泡立て

《日の大神 天岩屋に籠りき》

 伝説を 脳細胞へ 

 灰色の記憶を もう一度塗りなおし

 塗りなおしたいから 本を開いた

 紙面は ぼやりと鈍い

 曇りに照らされ 光る文字 

 にび色の 鉛文字



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