第2話 夕日を蹴る その2

Ⅰ:猫のあくび

Ⅰ-2:木漏れ日


物言わぬ草花たちのざわめきが春風に乗りこの窓たたく


降り注ぐ真珠色した木漏れ日にカーテン揺れる春の一日


漆黒の光をまといて文字だけの人となりたる六月の君


まだ消えぬ花火のけむり身にまとい蚊帳より見ゆる満点の星


深夜二時吠える隣の犬に吠えるそのまた隣の犬がいて


雨上がりふらりと歩きたどり着く土の香けぶる紫陽花の園


秋空にもゆる紅葉を眺めてる我が足元に火の子はありや


静かなるオーケストラに耳寄せて時を味わう残暑の季節


ぱりぱりと足の裏にてする音にいつかの別れが重なる晩秋



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