第2話

俺と兄貴は、六歳離れた兄弟だった。

それだけ歳が離れていたのに、転勤の多い父親のお陰で、俺も兄貴も二人とも、小学校は二回変わっている。いま実家が仙台なのだって、親父の最後の勤務地が仙台だったからだ。生まれ育った土地なわけじゃない。俺の子供のころの記憶の背景は、千葉だったり神戸だったり福岡だったりする。

つぎはぎの舞台の上を、自分じゃない誰かの意志でふらふら渡り歩くのが、嫌だったのかもしれない。

兄貴も俺も、大学進学と同時に、家を出た。

俺は神奈川の大学に入り、卒業後は四苦八苦しつつも東京都内でどうにかこうにか就職した。

だから、大学入学以来、両親の顔は、大体一年に一度、盆か正月に眺めるくらいだった。

そして、兄貴の顔を見る頻度は、さらに低かった。

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