妹(お、お姉ちゃんとデート!)[015-029]

015

姉「お待たせ。結構遅くなっちゃってごめんね」

妹「ううん、今来たところ」

姉「それはデートで待ち合わせしたときのセリフでしょ。一緒に説明会聞いてたんだから……」クスクス

妹(お、お姉ちゃんとデート!これってそういうシチュエーションでもあるね!!)ドキドキ

妹「それはともかく、もう16時になるんだね。名古屋城とかは閉館の時間だー」

姉「……それは残念」

妹「でも私がとっておきの名所に案内してあげるから!期待しててね!」

姉「楽しみにしてる」ニコッ


016

妹「今乗ってる名城線・名港線は名古屋城とか名古屋港に行くことができるんだけど、今回は栄とかどうかなって思うんだ」ガタンゴトン

姉「さかえ?」ガタンゴトン

妹「そう、栄。SKE48は栄のアイドルグループだよね」マモナク-ナゴヤド-ムマエヤダ-

姉「観に行くの?」ナゴヤド-ムマエヤダ-

妹「それもいいかもだけどね」オデグチハミギガワデス

妹「栄は街としても結構綺麗だって口コミで聞いたから、ちょっと散歩してみるとかどうかな、お姉ちゃん。この時期はまだ日が落ちるのが遅いから、いろいろ回れると思うよ」

姉「うん。楽しそう。さすが観光担当」

妹「えへへー」

姉「あと、おいしい味噌カツの店がちょうど栄の近くだから、観光してそのまま食べに行けるね」ピッピッピ

姉「うん。予約できた。19時に予約したから、18時半までに出れればちょうど着けるかな」

妹「さすがグルメ担当。抜け目ないね」


017

妹「ここは緑の大地だよ」

姉「緑の大地」

妹「眼下に広がるは銀河の広場」

姉「銀河の広場」

妹「そして天井には水の宇宙船」

姉「……急に話が壮大になってるけどいつからSF小説になったんだっけ」

妹「Sakae Funnyって感じだね」

姉「栄も観光客を呼び込むためにいろいろ工夫してるんだねぇ……」

妹「Sakae Funny」

姉「屋上も気になるけど、1階にも何かあるみたいだからそっちから行ってみようか」

妹「Sakae FunnyをSikato Foreverしないでよ!」


018

妹「お姉ちゃん隊長!銀河の広場にウサギだか鳥だか謎の生命体がいるであります!」

姉「まさかそんな不思議生命がいるわけ……ほんまや」

妹「剪定アートっていうのかな。赤いライトで瞳をつけて、葉っぱで胴体を表そうと」

姉「赤と緑のコントラストがまた銀河という異世界感を醸し出してるね」

妹「でもよくみると……反対側は葉っぱがほとんどなくて鉄組みが丸見えって感じだよ……」

姉「日の当たり方のせいか……いくら銀河とはいえ光合成の効率を求める植物のたくましさよ……」


019

姉「水の宇宙船ってこういうことかー。下から見て天井がキラキラしてると思ってたけど」

妹「くもりガラスの屋上に水が張ってあったんだね。左にテレビ塔、右に観覧車と。栄のレジャースポットが逆さに映ってて……うんうん、まさにインスタ映えスポット!って感じだね」カシャカシャ

姉「といいつつ私の顔をアップで撮ってるのは何で?」

妹(無意識に画面をお姉ちゃんで埋めてた)ハッ

姉「……そ、そんなに私の魂を奪いたいの?」アセアセ

妹「何時代だよ!」ビシッ

姉「ほら、せっかく撮るなら一緒に写ろ」カタギュッ

妹「あ……うん、そ、そうだね//」カシャ


020

姉「せっかくだから、あのテレビ塔にも登ってみようか」

妹「そういえば知ってる?お姉ちゃん、テレビ塔っていうと北海道ってイメージだけど、実はここ、名古屋の電波塔が日本最初の電波塔らしいよ」

姉「へえ、さっきのところはSFチックだったのに、こっちは日本最古かぁ……」

妹「ちなみに今セントラルパークを歩いてるんだけど、向こうのロサンゼルス広場にはマリリン・モンローの手形があるんだって」

姉「SFかと思ったら日本最古で、日本最古かと思ったらここはアメリカだったのか。時空の歪みが……」


021

姉「入場券は……高校生1枚と、中が……あ、もう高校生になったんだっけ」

妹「ひどいよー。2ヶ月前にお姉ちゃんと同じ高校に進学したんだよ!もう子供じゃないんだから!!」

姉「ハイハイゴメンゴメン」ナデナデ

妹「また子供扱いしてー!!」プンスコ

妹(……でも大人になったらナデナデしてもらえなくなるのかな……)

妹「って何考えてるの私はー!」ドカ-ン

姉「!?」


022

妹「地上90mにとうちゃーく!」

姉「スカイツリーとかと比べると顔負けしちゃうけど、このくらいの高さのほうが街並みが楽しめていい感じだね」

妹「セントラルパークも緑が綺麗で、名古屋城とか特徴的な建物も見えたりもして、見てて飽きないね」

妹「あと、もう夕日が沈みそうだから、ちょっと待てば夜景まで見れちゃうかもね」ワクワク

姉「待ちながらタワーを1周してみよっか」


023

妹「ここから階段登ると屋外展望台があるんだって!行ってみよ!お姉ちゃん!」

姉「うん、いいね」

妹「今日はそこまで蒸し暑くないから、きっと屋上は風が気持ちいいよ」トビラガチャ

カップル「」イチャイチャ

カップル「」イチャイチャ

カップル「」イチャイチャ

妹「」ガチャ

姉「カップルでいっぱいだったね」

妹「『恋人の聖地』なんだって。なんか邪魔しちゃ悪い雰囲気だったよ」

姉「恋人かぁ……//」

妹「……」


024

妹「沈みそうで沈まない、でもやっぱり沈む気配のない夕日」ガッカリ

姉「夏至も近いしね。18時半でもこの明るさとは……」

姉「あ、セントラルパークの街灯が点り始めたよ。オレンジ色なんだね」

妹「むぅ。いまいちパッとしない……もうちょっと、もうちょっと暗くなれば……」ムムム

姉「19時にお店予約しちゃったからそろそろ出ないと」アセアセ

妹「観覧車もライトアップするだろうし、ビルの明かりも……」

姉「続きは恋人と一緒に見るのがいいんじゃない?」

妹「え………………?」

姉「ほら、屋外展望台は恋人の聖地だっていうし、好きな人と初めて見る夜景を一緒に楽しめたらすごくロマンチックでしょ、ね?」ジョウダンメカシ

妹(…………!)

妹「……………………うん。……わがまま言ってごめんなさい。お姉ちゃん……」シュン…

姉(……?)


025

姉「本場の味噌カツは鉄板でやってくる!」

ミソカツ「」ジュ-

妹「ジュージューいってるトンカツなんて見たことないよ」


姉「さらにタレを一滴も逃さない味噌カツ丼にすることも可能!」

ミソカツドン「」ジュワ-

妹「濃厚な味噌ダレがご飯にとろけてるね」


姉「カラシ、七味、ゴマという三種の神器で味の違いを楽しみながら食べるのが名古屋流だ!」

妹「すごーい」

姉「というわけで2つ注文したんだけど、どっち食べたい?」

妹「……あ、えっと、じゃあ、鉄板の方で」

姉(……さっきから妹、ちょっと元気ない?)

姉「じゃあ、注文するね。すみませーん、妹の分の鉄板味噌カツ1つ追加でー」

妹「……」

姉(……)

姉(『2つともお姉ちゃんが食べるんかい!』みたいなツッコミを期待してたんだけど……!)


姉「あ、店員さん。ご飯おかわりで」ペロリ


026

妹「美味しかったね。さすがお姉ちゃんの選んだお店だよー」

姉「はっはっは。食べ物のことならお姉ちゃんに任せなさい」エッヘン

姉「ところで新幹線まであと1時間くらいあるんだけど、どこか行きたいところある?」

妹「えっと……お姉ちゃんは、どこか行きたいところ、ある?」

姉「え、私?……うーん、そうだ、さっきのお店に名古屋銭湯マップっていうのが置いてあったけど、銭湯とかどう?昔よく行ったよね」

妹「//////」ポ-

姉「あ、いやなら別のところでいいんだよ」アセアセ

妹「……ううん、別にお風呂でもいいんだけど、こうなんか、うん、ちょっと気恥ずかしい感じがして……//」

姉(思春期だとそんなものなのかな)


027

姉(行きたいところって言っても、妹はどこに行きたいんだろう……?)

姉(……夜景かな?さっきも駄々こねて見たがってたし……)

姉(とはいえ、彼氏と一緒に、とまで言った手前ここからテレビ塔に戻るのは……うーん)

妹「ああ、ごめんね。行きたいところって急に言われても困るよね。私の役目だったのに」アハハ…

姉「ううん、そんなことは!ええとね、そうだ、名古屋港に行きたい」

妹「名古屋港?」

姉(工業地帯の夜景は綺麗って聞いたことがあるから、港の夜景ならきっと……)


028

妹「名古屋港って言えば水族館が有名だよね。ちょっとした遊園地とか水上バスとかもあって、子供連れのファミリー層に人気のスポットだよ」ガタンゴトン

姉「へえー」マモナク-トウカイドオリ-

妹「でもこの時間だと水族館とか遊園地とかはもう閉まってるかも」トウカドオリデス

妹(何でお姉ちゃんは港がいいって思ったんだろう?)

妹(うーん……わからない。やっぱりお姉ちゃんが本当に行きたいところを案内するなんて絶対無理なのかな。テレビ塔を案内したのだって、結局私の自己満足で…………)

妹(血は繋がっててもお姉ちゃんと私の好きなものって……たぶん……全然ちがうから……)

妹「……………好きな、人も」ボソッ

姉「何か言った?」

妹「ううん、なんでもない!」

妹(お姉ちゃんが笑顔でいるだけで幸せだって、そう、思わないと………………)


029

妹「静かな場所だね。水族館で賑わってる昼とは大違いなんじゃないかな」

姉「そうだね」

姉(名古屋港着いたけど……思ったより派手な夜景ではない。観光客も少ないし……適当に散歩しながらいい感じに取り繕わないと)

姉「あ、見て。南極観測船が泊まってる。ライトアップされててキレイだね。中に入れたりするのかな」

妹「えっと……19時までだって。もう20時だから入れなそう」

姉「あ、観覧車!虹色にライトアップされててキレイだよ」

妹「ほんとだ。船のライトアップと相まって結構きれ……」


ブツン


妹「あ、観覧車も消灯の時間だ……」

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