【姉妹百合ss】姉「早すぎた夜景」妹「遅すぎた夜景」【@名古屋観光】

瑞奈ありさ

妹(お姉ちゃんの寝顔……かわいい)[001-014]

001

姉「来週末なんだけど、名古屋に行ってくるから留守番よろしく」

妹「名古屋?こんな梅雨真っ盛りに……急にどうして?」

姉「志望大学の説明会がある」

妹「へえ、そうなんだ〜。名古屋って言うと、のぞみでいくの?」

姉「そう。私がどうしても行きたいと思ってる大学だから。私の望みで行く」キリッ

妹「ごめん、新幹線で行くかどうかって質問のつもりだったんだけど……」ニガワライ


002

妹「でもそんなに行きたいってことは、深〜い理由でもあるの?」

姉「それは聞くも涙、語るも涙の物語……」

妹「うん……」ゴクリ

姉「ってわけではないんだけど」

姉「担任の先生、物理を教えてくれてる先生なんだけど、授業で難しいところもすごく面白く教えてくれたり、そう、悩み相談とかにも乗ってもらっちゃったりして……」カクカクシカジカ

妹「つまり、その先生が通ってた大学に行きたいと?」

姉「うん……//」ポッ

妹(この恋する乙女のような目つき……!まさか、あのお姉ちゃんが……!)

妹(これは聞くに驚きの大スキャンダルだよ!!!)ガ-ン


003

姉「というわけで留守番を……」

妹「ちょ、ちょっと待った、お姉ちゃん!私も名古屋に行く!!」ビシッ

姉「そう言われても……」アセアセ

妹「だってほら、その、せっかく名古屋に行くんでしょ!?説明会だけで行って帰ってくるなんてもったいない!!んだけど……」

妹「お姉ちゃん!名古屋といえば?」

姉「え、味噌カツ?」

妹「他には?」

姉「きしめん、手羽先、どて煮、ひつまぶし、天むす、あんかけスパゲティ、マウンテン……」ジュルリ

妹「ほら全部食べ物じゃん!!」


004

妹「そんなにいっぱい、一回の旅行じゃ食べられないよね!」

姉「大丈夫。食べきれる」キリッ

妹「食べきれる(キリッ)とかいう問題じゃなくて!!太るよ、お姉ちゃん!最近だって体重(ピ-)キロ増えたんでしょ!!」

姉「な、なぜそれを……!」

妹「ほら、名古屋城とか熱田神宮とか、時間の限り私が案内してあげるから。ね、私も連れてって!」

姉「でもお母さんがなんていうか……」

妹「聞いてくる!」ダダダダダ

妹「オッケーだって!」

姉「早っ!私が行くって言ったときにはあんなに時間がかかったのに…….」ズ-ン


005

妹「それだけ私が信頼されてるってことだね」エッヘン

姉「はいはい。じゃあ一緒に来てもいいけと、とっておきの観光名所を教えてね」

妹「うん、わかった!」キラキラ

姉「ちなみに名古屋グルメは私が予約しておくから任せておいて!」フンス!フンス!

妹「うん、わかった…」ニガワライ


006

姉「そして出発当日になったが、肝心の妹は悪の秘密組織に連れ去られ、地球の平和のために犠牲となったのだ。彼女は今も私たちを見守り続けている……」ウルウル

妹「勝手に殺さないでよ」

姉「あ、妹だ。生きてたんだ」

妹「生きてたんだ、じゃないよ!お姉ちゃんの方からいなくなったんでしょ!!もう、結構探したんだから!!」ポコポコ

姉「ごめんごめん、出発前にどうしてもさ、これ、買いたかったから……」スッ

妹「……! これって……!」

天むすの箱「」ヤッホ-

妹「名古屋名物じゃん!たしかに東京駅なら日本各地の駅弁買えるけど!!」

姉「」モグモグ

妹「ってかもう食べてるし!駅弁は駅で食べるものじゃないよ!!?新幹線に乗ってからにしよう!?」


007

姉「天むす美味しいね」パクパク

妹「うん。やっばり名物って名乗るだけのことはあるね」モグモグ

妹「でもまだ品川なんだけど……こんなハイペースで食べちゃって大丈夫?」

姉「大丈夫。たくさん買っておいたから……ってアレ?」

天むすの箱「」カラッポダヨ-

妹「ほら言わんこっちゃない」ヤレヤレ

姉「お婆さんや、朝ご飯はまだかのう……」

妹「さっき食べたばかりでしょう……って受験生がそんなボケ老人じゃダメでしょ」

姉「お母さん厳しい……」

妹「私2個下の妹だからね!?」


008

妹「富士山が見えて来たね」

姉「……あれ富士山なんだ。雪かぶってないと分からないもんだね」

妹「春とか秋だったらまだ雪は残ってると思うんだけど、夏の時期だとさすがにね」

姉「雪、暑いからってサボってるのかな。ダメだよ夏もキリキリ働かなくちゃ」プンスコ

妹「明らかな過重労働だよ!白い雪がブラックになっちゃう!!」


009

妹「見てお姉ちゃん!あれがね、浜名、湖……」

姉「ぐー」

妹(……)

姉「ぐー」

妹(……お姉ちゃん寝ちゃった。昨日の夜あんまり眠れてないみたいだったし、ゆっくり寝かせてあげたほうがいいね……)

妹(……)

妹(……それにしてもお姉ちゃんの寝顔……)

妹(……かわいいなぁ)


010

妹「お姉ちゃん、もうすぐ名古屋着くよ」ユサユサ

姉「ふぇ、もう名古屋?結構早く着くんだね」フワァ

妹「中学の修学旅行は京都だったし、2回目の新幹線で慣れとかもあるんじゃない?あと名古屋っていうと京都とか新大阪へ行くときの通過駅って感じもするから…」

妹「ところで修学旅行でもないのに、私たち制服ってどうなの?大学の説明会って制服じゃなきゃいけないの??」

姉「制服は万能」


011

妹「名古屋から大学までは地下鉄で行くんだよね」ピッ

姉「そう。というか当たり前のようにやってるけど、関東のスイカを名古屋の、しかもJR線じゃない地下鉄でも使えるってすごいよね」ピッ

妹「でもご当地ICカードはご当地ICカードで、また味があっていいよねー」

妹「そういえば関西はイコカ、北海道はキタカって聞いたことがあるけど名古屋のICカードは……へえ、マナカって言うんだ」

姉「……! 3文字の『カ』で終わる言葉だったらなんでもICカードっぽくなる説」

妹「例えば?」

姉「イナカ」

妹「ぷっ」

姉「タナカ」

妹「ぷっwあはははっ」

姉「オウベイカ」

妹「もうっwもういいからっwwてか最後なにww」


012

妹「駅直結の大学っていいね。私たちの高校って徒歩20分くらいかかるから羨ましいよ」テクテク

姉「駅名がそのまま大学名っていうのもすごいよね」テクテク

妹「説明会の会場ってあの建物でやるんだよね?」

姉「……」テクテク

妹「お姉ちゃん?」

姉「……」テクテク

妹「おねーちゃーん!」

姉「え、あ、ごめん。なんだっけ」

妹(……お姉ちゃん、憧れの大学に来て、やっぱり緊張してたりするのかな……)

妹(……いや、というよりまずツッこむべきは……)

妹「そっちは会場じゃなくて食堂だよ!!」


013

妹「結構人来てるんだねぇ……って大体の人が制服で来てるよ!私服じゃ浮くとこだったよ」ホッ

姉「制服は万能」エッヘン

妹「あと……ふむ、やっぱり出席者は名古屋民が多いね」

姉「?? どこ出身か見るだけでわかるの?」

妹「セーラー服の襟の大きさね、関東や北海道と比べて西の方は襟が大きいんだよ。名古屋は特に大きい高校が多いからなんとなくそれで判別できるね」

姉「確かに言われてみればそういう傾向はあるかも……?」

妹「あと、名古屋のセーラー服といえば……ほらアレ!真っ白な襟カバー!!絶滅危惧種って聞いてたからあれ見れただけでラッキーだよ!!ザ・名古屋って感じだよ!」

姉「へえ、すごい。詳しいね。」

妹「絶滅危惧種って言えば、ファスナーの位置。私たちの学校の前が完全に開くファスナーも今じゃ減ってきてらしいよ。途中までだったり横ファスナーだったり。あ、前ボタンっていうのもあるよ。名古屋の高校は結構前ボタンのセーラー服が多いね。そこから発展したセーラーブレザーって亜種も……」

姉「……そこまで詳しいともう逆にこわい」


014

妹(大学説明会の内容……学校の特色、学部紹介、進路情報、入試制度、先輩の1日……最初に配られたパンフレットを見ればなんとなくわかる内容ばかりな気もするけど)

姉「……」キラキラ

妹(憧れの大学で、憧れの先生や先輩の声を聞けるっていうのは、それだけ魅力的なことなんだろうな……)

姉「個別相談もできるみたいだから、ちょっと行ってくるね!」

妹(お姉ちゃんにとって一番の名古屋の観光名所は、名古屋城でも熱田神宮でもなくて……)

妹(ううん、今日はお姉ちゃんにとっておきの観光名所を教えるって約束したんだもん!勝負はここからだよ!)メラメラ

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