第9話 おせっかいなカウンセラー
「僕・・・いえ、私と同い年ですか?ということは・・・」
「23歳よ」
あかりが話に入ってきた。
「でも、どうして私の事を・・・私は公の場には、出た事ありませんが・・・」
「確かに、公の場では、見かけた事はない。じゃが・・・」
「じゃが?」
次の言葉で、頭の中でパズルが組み合わさって行った・・・
「良くん、まだわからない?相変わらずだね・・・」
「えっ」
あかりは、そういうと束ねていた髪を下ろし、メガネをかけた・・・
「あっ、君は」
「やっと気が付いた?私の本名は、飯島ルナ。」
そうだ・・・高校時代の同級生の女の子・・・
女の子は20歳過ぎれば変化するというが、変わり過ぎだ・・・
でも、女子高生の格好をするのは、童顔のせいか・・・
「良くん、全く気がつかないんだもん。」
「でも、どうして今更僕に・・・」
「それはね・・・」
「うん」
ドッキリか、冷やかしか・・・
むしろネガティブな理由の方がありがたいな・・・
「おせっかいだけど、カウンセリングよ」
「カウンセリング?」
あかりは続けた・・・
「良くんは、鈍感だから気付いてなかったと思うけど。、
私は高校の頃から、君を見てた・・・」
「えっ」
「君は、自分の殻に閉じこもっていた・・・
君は、確かに孤立していた・・・」
「いまさらですか・・・」
あかりの発言には、さすがにカチンと来た・・・
「人は君を、『奈良みたいだ』と言っていた・・・でも・・・」
「でも?」
「確かに陸は繋がっていなくても、空は繋がってるんだよ」
「えっ」
「だから、何とかして君を助けてあげたかった。だからこの仕事についた。」
「この仕事」
あかりは間を置いて答える・・・
「カウンセラーよ。でも、誤解しないでね。
これは君でも気付いていると思うけど、私の発言には矛盾が多い」
「確かに・・・」
「だけど、君を助けてあげたかったのは本当」
あかりの眼は真剣だった・・・
「確かに、君の両親からの依頼もあった。でも、君の力になれる・・・
こんなに嬉しいことはなかった・・・」
「でも、あかりには友達がたくさんいたじゃない・・・」
「半分はね・・・でも・・・」
「でも、もう半分は君と同じ・・・絶えず見えない敵と戦っていた」
「見えない敵?」
「君と同じだよ・・・もう、わかるでしょ?良くん」
そうか、そういうことか・・・
あかりも、冷たい視線に耐えていたのか・・・
「でも、どうしてここに連れてきたんだ・・・」
「だって・・・おじいちゃんは、私の会社のオーナーだもん」
そういえば、聞いたことがあるな・・・
カウンセラーに関わっている、落語家さんがいるって・・・
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