第3話 朝

翌日、包丁の音で目が覚めた・・・

みそ汁のいい匂いがする・・・


「あっ、良さん、おはようございます」

え・・・、何で女の子が・・・


あっ、そっか・・・

思い出すまでに、いささかの時間を要した・・・


「今、朝ごはん作ってますからね。待っててね」

「・・・そこまで、しなくても・・・」

「いいえ、泊めてもらうんですから、このくらいは・・・」

居座る気か・・・


昨日の、あかりとの会話で奇妙なところは、たくさんある。

でもそれは、今は追及しないほうがいいだろう・・・


「出来ました」

あかりが、料理を運んでくる。

ご飯、みそ汁、目玉焼き・・・・

朝食らしい朝食だ・・・


みそ汁を口に含む・・・

「どう、良さん」

あかりは、ニコニコしている・・


「うん、上出来だよ・・・」

おせじぬきで、かなりの出来だ・・・

おそらく普段から、料理はよくしているのだろう・・・


「良さんは、今日はお仕事?」

「うん」

「どんなお仕事なの?」

「デザイン関係」

「わー凄い」

あかりは、感心していた・・・


「あかりは、どうするの?」

「もちろん、学校だよ」

「ここから、近いの?」

「うん、電車で10分くらいかな・・・」

エプロンに隠れていたが、あかりは制服を着ていた・・・

ああ、あそこかと、すぐに分かったが、それを口にはしなかった・・・


女子高とだけ、言っておこう・・・


「会社はどこなの?」

「ここから、電車で20分かな・・・」

他愛のない会話をする・・・

こういうのも、いいかもな・・・


「あかり」

「何?」

「登校前に、シャワーだけでも、浴びといた方が・・・」

「いいの?」

「ああ、構わない・・・」

風呂を沸かしている時間はない・・・

俺は・・・まっ、いいや・・・


「洗面所の引き出しに、バスタオルがあるから使って」

「ありがとう。良さん・・・」

そういって、あかりは浴室へと向かう・・・


「良さん」

「何?」

「覗かないでね」

「しねーよ」

あかりは、笑いながら浴室へと行った・・・


そろそろ出かけないとな・・・

俺は鍵と、メモ書きを残して、出社した・・・


一応声はかけておこう・・・


「先、行くね」



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