第111話 意外や意外、魔王達の正体
安藤達が魔王城に突入すると、二体の魔王が現れた。
「そんな……あれが魔王!?」
「はい、ユウト様。あれが人々を苦しめている魔王です」
二体の魔王は安藤を見て口を開く。
「よく来たね。ユウト」
「よく来ましたね。先輩!」
二体の魔王を見た安藤は愕然とする。
「ま、魔王って……まさか……」
「はい、あれが二大魔王『ヒシタニ・シキ』と『ミシマ・ユカリ』です」
安藤の目の前にはマント姿の菱谷と三島の姿があった。
「な、何してるの。二人とも!」
安藤が思わず叫ぶと、菱谷も三島も顔を紅くしてモジモジし始めた。
「別に、先輩のために魔王になったわけじゃないんですから!」
「世界を征服して優斗にプレゼントしようだなんてこれっぽっちも思ってないよ」
「……二人とも」
安藤は頭を押さえる。
「二人とも、ダメだよ。人に迷惑かけちゃ駄目だよ……」
「迷惑?」
「迷惑って?」
「二人が争うから、魔力が拡散して色々と被害が出てるみたいなんだ。だから、喧嘩なんてやめて……」
「それは出来ません!」
「それは出来ないな」
「ええっ?なんで?」
安藤は首を傾げる。
「そもそも、喧嘩の原因は何なの?」
安藤が尋ねると、菱谷と三島はますます顔を紅くした。
「べ、別に先輩のために喧嘩してたんじゃありません!」
「そうとも。別に『優斗に相応しいのはどちらか決めようじゃないか!』なんて言って喧嘩を始めたけど、未だに決着が付いていないなんてわけじゃないからね!」
安藤は絶句する。
(えっ、もしかして全部……俺のせい?)
安藤は頭を抱える。どうしよう。
「ところで先輩。さっきから気になっていたんですけど、その女達は誰ですか?」
「ところでユウト。別に私はこれっぽっちも気にしていないのだけど、その女性達は一体誰だい?」
冷たい声で菱谷と三島は言った。
魔王にふさわしい殺気を放ちながら、菱谷と三島は、ホーリー、アイビー、ハナビシ、クロバラを指さす。
「説明してください。先輩」
「説明して。優斗」
魔王城の中にバチバチと雷のような電流が流れた。
「わ、分かったよ!説明するよ!」
かくかくしかじか。安藤はホーリー達四人の事を説明する。
「なるほどね」
「分かりました」
三島と菱谷から一瞬、殺気が消える。
安藤が「ほっ」と息を付いたのも束の間。
「殺す」
「殺してしまおう」
再び凄まじい殺気が二人から放たれた。
「なんで!?」
「ユウト様。こうなったらもう戦うしかありません」
「おう、もう戦うしかねえぜ!」
「戦おう、アンドウ君!」
「アンドウ。戦おう」
ホーリー、ハナビシ、アイビー、クロバラに背中を押され、安藤は決意する。
「くっ、仕方ない!」
安藤は剣を菱谷と三島に向けた。
「二人とも少しだけおとなしくして。大丈夫。絶対に傷付けないから!」
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