第110話 魔王城到着!いざ、世界の平和のために!!
「もうすぐ魔王城か……」
「うん、そうだね。アンドウ君」
「気を引き締めないとね」
「そうだな。アンドウ」
「油断大敵だ」
「そうですね。ユウト様」
「世界を救うんだ」
「ああ、頑張ろうね。アンドウ」
安藤は自分にピタリとくっ付く女性の一人に言った。
「クロバラさん。なんで居るんですか?」
「君が魔王を倒してくれれば、私が新しい魔王になれるかもしれないからね」
何故かクロバラは、少年の姿から美しい少女の姿に変わっている。
その頬は、まるで薔薇のように紅い。
「べ、別に君に惚れたわけじゃないからね!『静かで優しい愛』を持っているからって勘違いしないでよね!」
「あっ、はい」
クロバラの言う『静かで優しい愛』が何なのかは知らないが、安藤は深く掘り下げない事にした。
「ユウト様、見てください。あれが魔王城です」
ホーリーが指さす先には巨大な城があった。
「あれが魔王城……」
なんとも禍々しい城だ。
「魔王城には二匹の魔王が住んでいます。二匹の魔王はとても仲が悪く、常に争っているのですが、もう何百年も決着が付いていません」
「何百年!それは……」
それだけ、年月が経てば決着が付きそうなもんだが……いや、その前に仲直りしそうなものだが……。
よっぽど仲が悪いのだろうか?
「二匹の魔王が争うせいで、魔王達の魔力が拡散し、色々な場所に悪影響が出ています。どうか、人類の平和のために魔王を倒してください」
「分かりました!」
安藤は大きく頷く。
「良し。じゃあ俺一人で魔王城に乗り込むから。皆は……」
「馬鹿を言わないでくださいユウト様。私も行きます」
「私も勿論行くぜ!」
「わ、私も……」
「私も行かせてもらうよ」
「皆……」
「勘違いしないで下さい。ユウト様のためじゃありません。人類のためです」
「勘違いするなよ!アンドウのためじゃないぜ!人類のためだ」
「か、勘違いしないで、アンドウ君のためじゃないからね!人類のためだから!」
「勘違いしないでね。アンドウのためじゃないよ。私自身のためだから」
「うん。分かったよ」
安藤はクスリと笑う。
「じゃあ、行こう皆!」
安藤の声を合図に、皆が一斉に魔王城の中に突入した。
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