第109話 吸血鬼に出会う。皆がくっ付いて歩きにくい
安藤達は吸血鬼が住むと言われている森に来た。
この森は昼間でも常に薄暗い。
「不気味な森だな」
安藤が独り言を呟くと、それに応える声がした。
「何だ?アンドウ。ビビってるのか?」
「アンドウ君は、私が守るから大丈夫ですよ!」
「情けないですね。それでも英雄ですか?スーハ―」
「あ、あの……ハナビシさん。アイビーさん」
「なんだ。アンドウ?」
「何?アンドウ君?」
目を輝かせるハナビシとアイビーに安藤は言った。
「どうして、二人は此処に居るの?」
現在、安藤の右腕にはハナビシ。左腕にはアイビー。そして、背中にはホーリーがピタリとくっ付いている。
「お前達の旅の目的が魔王討伐だと知って、協力する気になっただけだ。魔王を倒すのは人類の悲願だからな」
「そうですか……」
「か、勘違いするなよ!別にお前とあんな事やこんな事をしたいって思ってるわけじゃないからな!」
「は、はい……」
「わ、私も……人類のために何か役立ちたかったからで……べっ、別にアンドウ君と子作りしたいだなんて思ってません!」
「………………………………………………………はい」
なんだか、凄いセリフが聞こえたがスルーした。
「スーハ―。スーハ―」
「ホーリーさんは、また俺の匂いを嗅いでませんか?」
「いいえ、嗅いでいません。ええ、嗅いでいませんとも。スーハ―」
「分かりました……」
安藤は、そのまま歩き続ける。
すると、目の前に突然少年が現れた。
「よく来たね。『最強剣士』の新しい英雄」
紅い髪と目をした少年はクスクスと笑う。
「吸血鬼ですね」
ホーリーが背中越しに教えてくれた。
「あれが……吸血鬼……」
吸血鬼と名乗る少年は、ヒラヒラと手を振る。
「僕の名前は、クロバラ。よろしくな」
「……あの、念のためにお聞きしたいんですが……」
「何だい?」
「どこかでお会いした事ありませんよね?」
吸血鬼―――クロバラは首を傾げる。
「君とは初対面のはずだけど?」
「……ですよね」
安藤は剣を抜く。
「クロバラさん。そこを退いてくださいませんか?」
「それは出来ないね」
クロバラは首を横に振る。
「ここから先に魔王様が住む城がある。通すわけにはいかない」
吸血鬼は、スッと構える
「此処を通りたければ、僕を倒して行く事だね!」
「……分かりました」
安藤は、クロバラに剣を向ける。
「すぐに終わらせます。大丈夫です。殺しはしません」
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