四月一日 最強剣士とツンデレ魔法使い

第101話 可愛くて美人な妹に起こされる

 ××××年4月1日。


「お兄ちゃん!起きて、お兄ちゃん!」

「ん?ン~?」

 眠りから目を覚ました安藤優斗は、ベッドに横になっている自分の上に乗っている少女に言った。

「……どちら様ですか?」

「もう、何言ってるの!お兄ちゃん!」

 少女は腕を組み、フンと荒く息を吐く。


「詩織よ。安藤詩織!お兄ちゃんの妹!」


「……詩織?」

 安藤は首を傾げる。確かに自分には妹が一人居た。だけど……。

「どうして、お前が此処に居るんだ?」

「一緒に暮らしてるからに決まってるじゃない!」

「……一緒に暮らしてる?どうして?」

「家族なんだから、当たり前でしょ!」

「当たり前……」

「お兄ちゃん。いつまで寝ぼけてるの?」

 詩織は安藤の手を掴み、ベッドから降ろす。

「とっくに朝ごはん出来てるよ!早く行こ!」

「あ、ああ……そうだな」

 安藤は目を擦り、大きく欠伸をした。

「なぁ、詩織」

「何?」


「お前って、そんな性格だっけ?」

 

 兄の言葉に、詩織は大きなため息を付いた。


「お兄ちゃん、まだ寝ぼけてる。私は、ずっとこうだったでしょ!」


「……あれ?そうだっけ……」

「ほら、ごはん冷めちゃうよ」

 妹に手を引かれ、安藤は一階まで下りた。

 テーブルには二人の人間が座っている。

「おはよう。優斗」

「おお、優斗。やっと起きたか。ご飯できてるよ」 

 安藤は目を大きく見開く。


「父さん?母さん?」


「どうした優斗……そんなに驚いて」

「具合でも悪いの?」

「いや、別に……」

「お兄ちゃん。寝ぼけてるみたいなんだ」

「あら、そうなの?」

「ダメだぞ!ちゃんとしないと」

「……ごめんなさい」

「さぁ、座りなさいご飯が覚めるわ」

「うん……」

 安藤は母に言われた通り、椅子に座る。

「あっ、今日のご飯。お父さんが作ったでしょ?」

「うっ、なんで分かった?」

「分かるよ。お母さんのご飯の方が美味しいもん」

「ううっ」

「こら、詩織。お父さんだって一生懸命やったんだから、本当の事でもそんなこと言ったら駄目よ!」

「お母さん……フォローになってないよ」

「あははははっ」


 一家団欒。どこにでもあるような家族の食事


「どうしたの優斗。ぼうっとして」

「えっ?」

「そうよ。お兄ちゃん。ちゃんと食べないと。お父さんがせっかく作ってくれたんだから。まずくてもちゃんと食べないと駄目だよ」

「うん、詩織。ちょっと一言多いかな?」

 優斗以外の家族が皆笑う。

「ねえ、父さん。母さん」

「何、優斗?」

「何だ?優斗?」

 首を傾げる父と母に、安藤優斗は尋ねた。


「父さんと母さんって、そんな性格だっけ?」

 

 父と母は目をパチクリをする。

「まだ寝ぼけてるのか?」

「しょうがない子ね」

 父と母は嘆息し、答える。


「お父さんと母さんはずっとこうだっただろ?」

「私達はずっとこうだったじゃない」


「ああ……そうだっけ?」

「ほら、馬鹿なこと言ってないで早く食べなさい」 

「うん……いただきます」

 俺は目の前に置かれている味噌汁を一口飲んだ。


 味噌汁は何の味もしなかった。


***


「じゃあ、行ってきます!」

「いってらっしゃい」


 父と母に見送られながら、安藤と妹は学校に向かう。


「えい!」

「ちょっ……何で腕組むんだよ?」

「何でって、学校に行く時はいつもこうしてるじゃない」

「いつも!?」

「さぁ、行こう!お兄ちゃん!」

「お、おい。引っ張るなよ!」

 妹に手を引かれ、安藤は学校へと向かった。

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