第15話 脱獄映画4
4.
ハッとして、すぐさま追いかけようとした僕を、シミズさん達が制した。
「こんな天気だ。君まで行ったら死にかねない」
外は先程よりも雨風が激しさを増し、すぐ近くで雷光が轟いた。その音に小柄なテツさんがビクビクと怯えている。
「……僕には貴方達がわかりません。監禁の件はもういいとしても、どうして彼女の正体を知っているんですか?」
震える声で早口にまくし立てた。一刻も早く彼女を追わなきゃいけない、僕はその事で頭がいっぱいになっていた。
「お前、少しは冷静になれって」
背の低いテツさんが戯けた口調で茶化した。
その言葉に思わず頭に来て、睨みつけると、テツさんはヒッと怯えてシミズさんの後ろに下がった。反対にシミズさんが一歩前に出て、僕との距離を詰めた。
「冷静になって、お互い話し合おう。彼女がいない方が、君とはゆっくり話せるかもしれない」
「話って……」
確かに色々と分からない事だらけだ。シミズさん達が何者なのか、どうして彼女が自立型処刑用アンドロイドと知っていたのか、そして何故未だにこの街に残っていたのか、それから……
「感情的にさせたみたいで悪かったな」
キムラさんが眼鏡をクイっと上げてニヤリと笑った。
「それとも頭を冷やす為に一回外に出るか?」
「おい」
シミズさんが低い声で制した。
「ジョークですよ」
キムラさんとテツさんはクックックと笑っており、シミズさんはやれやれといった表情を浮かべていた。
3人の一つ一つの動作からは人間らしさが溢れ出ているようで、あぁ、この人達は間違いなく人間なんだなと、僕はなんだか思い知らされたような気分になった。
それから僕はふうと息を吐いて深呼吸し、
「すみません、取り乱してしまって……でも彼女が心配なのは本当です。だから色々と教えて下さい。シミズさん達の事、それから彼女の事も」
と切り出した。
「あぁ、勿論」
優しげに、それでいてどこか悲しそうに笑って、シミズさんは口を開く。
僕は彼女を心配する感情を押さえつけて、今はシミズさん達の話に集中した。
それじゃあという前置きから、まるで用意してあった台詞を並べるかの如く、スラスラとシミズさんは語り始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます